「やれるものならやってみろ」から始まった、HR×デザインの会社
当時は私が起業するとは想像していなかった
大手通信会社から、人材・情報サービス企業へ
2008年に新卒で大手通信会社に入社しました。
当時は、自分が将来起業するとはまったく想像しておらず、このまま会社員としてキャリアを積んでいくのだろうと思っていました。
ただ、働くなかで先輩たちから「仕事とは何か」「これからどう働いていきたいのか」といった話を聞く機会が増え、自分自身のやりたいことや得意なことについて考えるようになっていきました。
その後、大手人材・情報サービス企業へ転職しましたが、そこで最初に驚いたのは、組織文化の違いでした。
前職は規律や役職を重んじる組織でしたが、転職先では社長を含め、役職に関係なくフラットにコミュニケーションを取る文化がありました。
同じ「会社」でも、組織のつくり方や人との関わり方によって、これほど働く人の感覚が変わるのか。
その経験をきっかけに、私は「人」や「組織」というテーマに強く惹かれるようになりました。
そこから、人事・組織領域のプロフェッショナルになりたいと考え、人事コンサルタントの仕事へ進みます。
さまざまな企業の組織開発や人材育成に携わり、その後も複数の企業で経験を重ねながら、人と組織の課題に向き合ってきました。
「それなら、自分でやってみろ」
人と組織を扱う仕事だからこそ、プロでありたい
キャリアを重ねるなかで、次第に強くなっていった思いがあります。
それは、人や組織を扱う仕事だからこそ、もっと高い専門性や品質が求められるのではないか、ということでした。
企業の人事施策や人材育成は、その会社で働く一人ひとりのキャリアや成長に関わります。
だからこそ、既存のプログラムをそのまま提供するのではなく、その企業が抱えている課題を深く理解し、本当に必要なものを考え抜く必要がある。私はそう考えていました。
そんななか、ある企業の事業に関わっていた際、サービスのあり方をめぐって経営陣と意見が激しくぶつかったことがありました。
「そこまで言うなら、自分でやってみたらいい」
その言葉をきっかけに、それなら自分が理想とするプロフェッショナルファームをつくってみようと決意しました。
企業の人事や組織に本気で向き合い、品質に妥協しない会社をつくる。そうして独立したのが、現在のNOLKAの始まりです。
HRとデザインを掛け合わせる
社名「NOLKA」に込めた意味
株式会社NOLKAという社名は、私たちの仕事をコピーライターが「企業の成長を風に乗せる仕事」と表現してくれたことから生まれました。
「風に乗る」という言葉から「乗るか」、そしてNOLKAという名前になりました。
私たちが掲げているミッションは、「組織に上昇気流を起こす。」というものです。
企業が変わろうとするとき、人が成長しようとするとき、その変化を加速させる風をつくる。それがNOLKAの役割だと考えています。
HRに「デザイン」という考え方を持ち込む
私自身、美術やデザインを学んできたこともあり、人事・人材領域に「デザイン」という視点を持ち込んでいることがNOLKAの大きな特徴です。
人事や人材育成の世界には、専門的で価値のある知識がたくさんあります。
一方で、その内容が本当に働く人に届いているのか、使いやすい形になっているのかという点では、まだ改善できる余地が大きいと感じていました。
例えば、研修資料を開くと、何十年も前から使われているような表現がそのまま残っていることがあります。人事制度についても、非常に重要な内容なのに、大量の文章や複雑な資料になってしまい、実際に使う人に十分理解されていないケースもあります。
企業の人たちのためにつくるものである以上、もっと「使う人」のことを考えて設計できるはずです。
そこでNOLKAでは、人事・組織の専門性とデザインの考え方を掛け合わせています。
「思考のデザイン」と「形のデザイン」
私たちが考えるデザインは、資料をきれいにすることだけではありません。
NOLKAでは、デザインを大きく二つに分けて考えています。
一つは「思考のデザイン」です。企業が抱えている複雑な課題を整理し、何が本当の課題なのか、何を実現すべきなのか、その構造を組み立てていくことです。
もう一つは「形のデザイン」です。整理した考え方を、研修、ワークショップ、制度、映像、ツール、デジタルサービスなど、実際に人が使える形に変えていくことです。
考えるところから、実際に使われる形にするところまでを一気通貫で手がける。これがNOLKAの考える「HR×デザイン」です。
現在は、人事コンサルティング、組織開発・人材育成、クリエイティブ開発、HRテックなど、さまざまなテーマを扱っています。
ただし、それぞれを別々の事業として考えているわけではありません。企業が抱える人と組織の課題に対して、必要であれば制度を考え、学習体験を設計し、映像やツールをつくり、テクノロジーも活用する。その全体をデザインすることが、私たちの仕事です。
極めて厳しい船出だった創業初月
一番の壁は「お客さまと出会うこと」
もちろん、創業当初から順調だったわけではありません。
独立した時点では、お客さまは一社もいませんでした。初月の売上も、事業として成立しているとは到底言えない金額でした。「これはまずいな」と思ったのを今でも覚えています。
そこから、とにかく企業との接点を増やし、一つひとつ提案を重ねていきました。
創業初期から現在に至るまで、経営上の大きなテーマの一つは、新しいお客さまとどう出会うかということです。
いいサービスをつくることと、それを必要としている企業に届けること。その両方ができなければ、事業にはなりません。これは現在も変わらず向き合い続けているテーマです。
一つの仕事から、相談が広がっていく
一方で、NOLKAにとって大きな財産になっているのが、長くお付き合いいただいているお客さまの存在です。
一度仕事をご一緒した企業から、継続してご相談いただくケースが非常に多くあります。
最初は一つの研修だったものが、別の階層の人材育成へ広がったり、組織開発や人事施策の相談につながったり、映像やツールの制作に発展したりすることもあります。
現在では、研修や人材育成だけでなく、経営人材の育成やサクセッションプランなど、より経営に近いテーマをご相談いただく機会も増えてきました。
私は、この広がりこそがNOLKAらしさだと思っています。
決まった商品を売るのではなく、お客さまの課題に向き合いながら、その会社に必要なものを一緒につくっていく。その結果として、仕事のテーマが広がっていくのだと考えています。
AI時代だからこそ、人を扱う仕事は重要になる
現在、AIをはじめとするテクノロジーによって、私たちの働き方は急速に変わっています。
情報を得る速度も、何かをつくる速度も、これまでとは比較にならないほど速くなっています。
ただ、人間そのものが同じ速度で変化するわけではありません。
新しい考え方を理解すること。自分なりに納得すること。人との関係を築くこと。そして、行動を変えること。こうした人間の変化には、今も一定の時間が必要です。
テクノロジーの進化が速くなればなるほど、社会や企業の変化の速度と、人が変化する速度との間にはギャップが生まれます。
その間をつないでいくことが、これからの人材育成や組織開発の重要な役割になるのではないかと考えています。
だからこそ、人材育成や組織づくりという仕事は、これからますます面白くなると思っています。
HR業界に、いい意味での「荒波」を起こしたい
これからNOLKAでは、HRテックの開発や、人と組織について考える新しいメディア・コンテンツづくりなど、従来の人材育成会社の枠に収まらない取り組みを増やしていきます。
人材育成というと、どうしても「研修を受ける」「勉強する」という少し堅いイメージがあります。
でも本来、人が成長することや、組織が変わることは、もっと面白いものだと思っています。デザインやテクノロジーを使えば、その体験そのものを変えていくこともできるはずです。
NOLKAという名前には「風に乗る」という意味があります。
ただ、これからは風に乗るだけではなく、私たち自身が新しい風を起こしていきたい。そして、人事・人材育成業界に、いい意味での「荒波」を起こしていきたいと思っています。
共に、まだないHRの未来をつくる
現在のNOLKAは、少数精鋭のチームです。
だからこそ、一人ひとりが会社やサービスづくりに深く関わることができます。
今後は、マーケティングや営業の体制を強化すると同時に、新しいサービスを共につくり、それを企業へ届けていく仲間を増やしていきたいと考えています。
私たちは、決められたものをただ提供する会社ではありません。
「もっとこうしたら面白いのではないか」「この業界の当たり前を変えられないか」そんなことを考えながら、まだ世の中にないものをつくっていく会社です。
人と組織という領域に興味があり、新しいことを考えるのが好きな人。そして、仕事そのものを楽しみながら、これまでにないHRのあり方を一緒につくりたい人。そんな仲間と出会えたらうれしいです。
編集後記
今回は、株式会社NOLKAの代表取締役、林紀彦さんにお話をうかがいました。
「そこまで言うなら、自分でやってみたらいい」という言葉をきっかけに、自ら理想とするプロフェッショナルファームを立ち上げたという創業ストーリーが印象的でした。
一方で、今回のお話を通じて特に印象に残ったのは、NOLKAが掲げる「HR×デザイン」という考え方です。
デザインを単なる見た目の工夫ではなく、「思考を整理すること」と「実際に使われる形にすること」の両方として捉えている点に、NOLKAならではの特徴を感じました。
AIによって仕事のあり方が大きく変わるなか、人の理解や納得、行動変容をどう支えていくのか。これからの人材育成や組織づくりについて考えるうえでも、多くの示唆をいただくインタビューとなりました。