インタビュー

「自分がどういう人生にしたいか」を先に決める。25歳で描いた理想を、一つひとつ叶えてきた経営者の話

「自分がどういう人生にしたいか」を先に決める。25歳で描いた理想を、一つひとつ叶えてきた経営者の話
PROFILE
株式会社LifeLab 代表取締役
志賀香織

就活で気づいた、「自分が何者かわからない」という事実

なんとなくで決めた大学進学

愛知県出身ですが、途中で6年ほどタイに住んでいた時期があり、その後また愛知に戻ってきました。中高と進学校に通っていたんですけど、将来これになりたい!みたいなのが特になくて。地元の国立大学がいいかな、というくらいの感覚で、名古屋大学の経済学部に進みました。

大学1年目って、キャンパスライフへの期待みたいなものがあるじゃないですか。でも入ってみたら、なんかつまなさそうだなって最初から決めつけてしまって(笑)。授業も、好きな先生や興味のある科目は一番前の席で熱心に受ける一方で、そうではないものはテスト前だけ顔を出す、みたいな学生でした。大学生活の中心は、アルバイトと旅行でした。アルバイトも3つ、4つ掛け持ちするのが当たり前で、結婚式場や居酒屋でずっと働いていました。

就活で本気になった自己分析

2年生のとき、簿記が面白くて3級を取ったのをきっかけに、ほかの資格の勉強にも取り組むようになりました。ただ、正直なところ「自分が何をしたいのか、何者になりたいのか」がまったくわからなくて、それがずっとコンプレックスで。部活もサークルも特に続けていなくて、「私の強みって何だろう」って早く見つけたいし、社会に出たときにもっと活躍できる人になりたいなという憧れがありました。

だから就活は本当に頑張りましたね。名古屋の学生なのに東京まで何度も行って、就活の学生団体のイベントにも参加してました。就活イベントを自分でも主催しようと思い、名古屋で100人規模のイベントを開催しました。人の人生に本気になることが面白いんだな、と気づいたのもそのころで。その後、人材系・教育系に絞って就職活動を進め、縁あって株式会社リクルートに入社しました。

リクルートで得た確信、25歳で「全部取り」を決意

充実していても、ぼんやりした違和感

株式会社リクルートに入社するタイミングで上京して、仕事も面白くて、人も素敵な方が多くて。数字に向き合う厳しさはありながらも、成長実感があって、割と満足しながら働いていたんですよね。

ただ、入社当初からずっと、「この働き方を60歳まで続けるイメージが持てない」という感覚があって。旅行も好きで学生時代にオーストラリアやイタリアにも行っていたんですが、社会人になってからどこかへ行こうとすると、周囲に申し訳なさを感じながら休みを取らなければならない。それは少し違うな、と思っていました。

25歳、「理想の状態」を全部書き出した

社会人4年目、25歳のときに改めて「自分の人生ちゃんと考えよう」と決めました。会社って学校みたいに卒業がないので、自分で動かないとこのまま何も変わらないな、と気づいたんです。

株式会社リクルートを卒業した先輩に連絡を取って、今何してるか聞いてみたら、「自分はゆくゆく独立を考えて動いてるよ」って言う人がいて。全然そういうタイプに見えない先輩だったので、「えっ、あなたが!」と思って(笑)。でも「自分は会社のために生まれてきたわけじゃないから、自分がどういう人生にしたいかをちゃんと考えて決めた方がいい」って言葉が刺さりましたね。

理想の状態を全部書き出してみたんです。働く場所を自分で選んで仕事がしたい。子どもを育てながら仕事がしたい。旅行にも行きながら仕事がしたい。「仕事も、家庭も、趣味も、全部取りの人生にする」と決めて、その先輩の周りにいた経営者の方々に「教えてください」とお願いし、メンターになっていただきました。そこから準備を進め、独立しました。

キャリア支援と整体サロン、二つの事業に込めた思い

自分の体験が、一番の確信

独立してから一番よかったと思うのは、25歳のときに描いた理想が、気づけば一つひとつ実現していたことです。「ちゃんと目指して努力すれば叶えられるんだな」という確信が、今のキャリア支援の一番の根拠になっています。

キャリアデザインワークという、2時間ほどかけて自分のキャリアをしっかり考えるワークショップをやっています。ただ、あくまでも「考えるきっかけを一緒につくる場」で、その先に転職したいとかフリーランスになりたいとか独立したいという人には、必要な人を紹介したり、実際に仕事を紹介したりもしています。

大事にしていることは、「思い込みや決めつけを持ち込まないこと」と、「本音で話したくなる存在でいること」です。相談に乗るときは、8〜9割はひたすら話を聞くようにしています。話しながら本人が自分で気づいていくのが一番だと思っているので、「自分は本当はどうしたかったんだろう」と気づく瞬間は、相手自身の中にあると思っています。なんとなく就職とか、周りがそうだからとか、そうじゃなくて「あなたは本当はどうしたいか?」を一緒に掘り下げていく感じです。

体が整わないと、何もできない

整体サロン「-没入整体- わたげのまにまに」も運営しています。毎日ハードに働く人たちにとって、健康はすべての土台だと思っています。体を壊したら何もできない。そういう、自分の体を定期的にメンテナンスできる場所、ちょっとでも不調があったときに駆け込める場所を作りたかったんです。

ただ整体をするだけじゃなくて、空間づくりも結構こだわっていて。「海の部屋」と「森の部屋」があって、深くリラックスできる環境を整えながら、姿勢改善や眼精疲労など現代人の不調に向き合っています。今年中にもう1店舗出す予定で、来年以降も1年に1事業、または1店舗ずつ広げていけたらいいなと思っています。

人が集まる理由と、一緒に働きたい人

全員、ご縁でつながった仲間

今、業務委託で関わってくれているメンバーも含めると40人ほど、中心メンバーでいうと10〜15人ほどです。採用媒体は使っていなくて、全員が、直接出会った人、その友人、イベントでつながった人、知り合いの経営者から紹介された人たちです。

一緒に仕事をしている人たちは、本当に素敵な人が多くて。私は「何の事業をやるか」よりも「誰と仕事をするか」で、仕事の面白さも自分の成長も決まると思っているので、そこには誇りを持っています。

素直さと誠実さがあれば、ゼロから成長できる 

一緒に働きたい人のイメージはシンプルで、「素直で向上心があって、誠実な人」です。自分がこうしていきたいという気持ちに素直で、それに向かってエネルギーがあって、約束を守る。技術やスキルは後からついてきます。もちろん頭の良さもあった方がいいかもしれないけど、そういう姿勢がある人となら、ゼロから一緒に成長できると思っています。

雇用を生み出せて、その先にその人の人生があって、そのご家族もいる。経営していると、そういう「家族が増える」感覚があって、それがすごく嬉しいんですよね。

ビジョン——理想を描き続け、達成できる人生にする

私のビジョンはシンプルで、「常に理想を描き続けて、それを達成できる人生にすること」です。

自分が関わる人が、私をきっかけに一人でも輝いていく人が増えたら嬉しい。そのために、今の事業をつくっています。

家庭を持ちながら仕事を頑張りたい、という方って結構多いと思っていて。私がそういう人たちの一つのロールモデルになれたら、こういう働き方や生き方もあるんだと思ってもらえるのではないかと考えています。地方出身で、東京も好きだけど地方も好きで、2027年からは二拠点生活も始める予定です。

働く場所を選び、大事な人を大事にしながら、仕事の目標に向かって仲間と一緒に進んでいける。それが今、仕事も人生も幸せだと思いながら働けている理由です。

学生へのメッセージ

就活で、説明会や企業研究をしても、正直それだけじゃわからないことが多いと思うんですよ。でも、「自分がどういうことに心が動くのか」「どんな人生にしたいのか」を本気で考えるきっかけとしては、すごくいいタイミングだと思っています。

学生って、「学生だから会ってくれる人」が確実にいる。それは本当に特権だと思うから、ぜひ積極的に活かしてほしい。なんとなく就職するんじゃなくて、自分の人生に本気で向き合ってみてほしいです。

編集後記

今回取材させていただいた志賀さんのお話で、一番印象に残っているのは「理想の状態を全部書き出した」というエピソードです。25歳のときに「働く場所を選びたい」「子どもを育てながら仕事したい」「旅行しながら仕事したい」と書いて、それを一つひとつ実現してきたという事実が、キャリア支援の根拠になっているというのが、とても腹落ちしました。「こうなりたい」を言語化する力と、それを実行するエネルギーが両方ある方だと感じました。また、キャリアデザインワークで「8〜9割は話を聞く」というスタンスも印象的で、相手の中にある答えを引き出すことを大切にされているのが伝わってきました。また、事業内容よりも「誰と仕事をするか」を大切にしているという言葉からも、一緒に働きたいと思う人を引き寄せる理由がわかる気がしました。