インタビュー

「当たり前を当たり前に」――女性専用フィットネスLBCが貫く筋トレの原理原則

「当たり前を当たり前に」――女性専用フィットネスLBCが貫く筋トレの原理原則
PROFILE
女性専用フィットネスLBC(レディースボディークリエーション) 代表
高橋 広行

高卒からフリーター、そして建築業へ

就職氷河期をフリーターで過ごす

私は高校を卒業してから、もう33年ほどになります。いわゆる就職氷河期の世代で、結局就職はせずにフリーターとして過ごしていました。そこからご縁があり、建築業の個人事業主として働くようになったんです。景気もあまり良くなかったですし、正直なところ今もそこまで良いとは言えませんが、当時から学生時代に始めたトレーニングだけはずっと続けていました。

アームレスリングで京都1位に

とくに今も表立って語れる経歴として挙げられるのが、アームレスリングです。無差別級で京都1位になったことがあり、西日本大会にも出場しました。無差別級というのは体重を問わずに戦う階級で、正直なところ西日本大会は出場者がそこまで多くなかったという事情もありますが、京都では1位を獲得できました。

30歳で訪れた「第二の思春期」

建築業に見えなかった未来

30歳くらいの頃、建築の仕事にあまり明るい未来が見えないと感じるようになりました。男性というのは、30歳くらいでもう一度思春期のようなものが来るんじゃないかと思うんです。少なくとも私自身は、そのころに一度、人生を見つめ直しました。

専門学校を経てジムを開業

30歳から2年間、社会体育の専門学校に通いました。その後スポーツジムでも働いてみたのですが、雇われの立場ではどうもしっくりこなくて。34歳のころに倉庫のような場所を借りて、ほぼ男性向けのボディビルジムを始めたんです。

女性向けへの転換

そのジムを6年ほど続けていたころ、ふと気づくと年配の女性が通ってくるようになっていました。理由を聞くと、よくある女性専用フィットネスに通っていたけれど物足りない、という声だったんです。そこから、これは女性向けに需要があるのではと考えるようになり、13年前にショッピングモールでのご縁もあって、今の女性専用フィットネス「LBC(レディースボディークリエーション)」を始めました。今は店舗をたたんだ経験もあって1軒のみの運営ですが、下は9歳から上は91歳まで、幅広い年齢の方に通っていただいています。

トレーニングの5原則を大事にする理由

当たり前のことを当たり前に

健康効果を考えたとき、トレーニングには絶対的なルールともいえる原則があります。全身をまんべんなく鍛えること、継続すること、今の能力に見合った適切な負荷をかけること、少しずつレベルを上げていくこと。これは勉強にたとえるとわかりやすくて、引き算ができるようになったら次は掛け算、割り算、そして因数分解や二次関数へと段階を踏んでいきますよね。トレーニングも同じで、今日10kgを10回できたなら、来週は11回を目指す。これは若い人でも年配の方でも変わらない原則です。

派手なやり方には惑わされない

この十数年、SNSやYouTubeで「3分で10分ぶんの効果」といった、少し現実離れした情報が広がっているように感じます。もちろん最新の科学的な知見が悪いわけではありませんが、私は原理原則に従って、当たり前のことを当たり前に積み重ねる「凡事徹底」を大切にしています。もちろん一人ひとりに無理に負荷を押しつけるようなことはしませんが、理念としては、年齢や性別に関係なく、少しずつ着実に取り組んでいきましょうという姿勢を伝えています。

コロナ禍を乗り越えて、今は返済の日々

大赤字を抱えた3年間

10年ほど前までは、店舗を増やして事業を広げていきたいという気持ちもありました。ただコロナ禍が状況を大きく変えました。当時45歳、店を続けるかどうかの決断を迫られましたが、その年齢で無職になるのも厳しく、銀行から融資を受けて継続する道を選びました。結果として3年間はまるまる大赤字。ほぼ毎日働き詰めの日々が続きました。

今はまず人並みの暮らしを

今はその借入をとにかく返していく段階です。夢のある話ではありませんが、まずは人並みの暮らしを取り戻すことが目標です。ただ、やっていること自体が間違っているとは、主観的にも客観的にも思っていません。選んだ道のどこかでルートを誤っただけで、これからも成功の芽は十分にあると信じて続けています。

学生へ伝えたいこと

人と違う生き方には覚悟がいる

学生の方に伝えたいのは、人と違う生き方はそれなりに大変だということです。誰も責任を取ってくれるわけではありません。コロナのような予測できない事態も起こり得ることを考えると、公務員やサラリーマンという選択肢も十分に良いと思います。そのうえで、本当にやりたいことがあるなら、挑戦してみたらいいと思います。

若いうちから基礎体力を意識してほしい

もうひとつ伝えたいのは、若いうちから基礎体力を意識することの大切さです。どれだけ良い車に乗っても、おしゃれをしても、服を脱げばすべてがさらけ出されます。将来の見た目のためにも、健康のためにも、運動習慣を持つことをおすすめします。

編集後記

今回お話をお伺いして印象に残ったのは、流行りの手法に流されず、原理原則を貫く姿勢でした。コロナ禍という大きな逆境のなかでも、地道な取り組みを続けている姿からは、事業を続けるということの厳しさと同時に、信念を持つことの大切さを学ばせていただきました。学生へのメッセージも、理想論だけではないリアルな視点があり、とても考えさせられるお話でした。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。