海外への憧れから始まった事業の原点
産業用ロボットの海外営業を担当
大学卒業後、新卒で川崎重工業に入社しました。担当していたのは、工場に導入する産業用ロボットの海外営業です。
中国やインド、タイ、台湾など、主にアジア圏のマーケットを担当させていただいていました。留学時の経験から、日本の良いものを海外へ広めたいという思いがあって、海外営業を志望して配属してもらったという経緯です。
中国留学と野球部コーチの経験
海外への思いが強くなったきっかけは、大学生のときに中国に留学したことです。留学の前もバックパッカーとしてインドや東南アジアを回っていて、異文化に触れて自分の世界が広がる感覚に面白さを感じていました。それに、訪れた土地で日本製品を見かけると、素直にうれしかったんですよね。
また、私は学生時代に10年ほど野球をしていたのですが、留学先の中国の大学から野球指導を依頼され、一年ほど野球部のコーチも務めました。全国大会出場という同じ目標に向かって、国籍も言葉も違う中国人の大学生たちと手探りで進んでいく過程が、とても面白かったんです。
日本の良いものを広めたいという思いと、バックグラウンドの違う人たちと一緒にプロジェクトを進める面白さ、この二つが今の事業の原点になっています。
留学生の就活支援から事業化へ
就職活動の時期には、会社からリクルーターとして駆り出され、学生さんの面接やエントリーシートのチェックを担当していました。この経験を通じて、採用側の視点が徐々に培われていきましたね。
並行して、周りにいた留学生の友人たちが、就職活動に苦戦している姿も見ていました。そこで培った視点を活かして、留学生の友人からの依頼を受け、ボランティアとして無償で就職活動を手伝うようになりました。面接の練習やエントリーシートの添削をしているうちに、少しずつ評判になってきたんですよね。
それがボランティアだけでは、対応しきれないぐらい依頼が増えてきたタイミングで、独立と事業化を決意しました。これが留学生専門の就職塾を立ち上げたきっかけです。
独立や社長になりたいといった思いは、もともとありませんでした。就職活動のときも将来の起業などは想定せず、長く安定して勤められる会社という軸で、日系の大手メーカーを中心に受けていたくらいです。
ただ、社会人として四年ほど過ごすうちに、二十代のうちに挑戦してみたいという気持ちが徐々に芽生えてきました。
外国人材紹介という事業
紹介料と支援料の二本立てのビジネス
弊社の事業は、外国人に特化した人材紹介業がメインです。人材を採用したい企業様から求人票をいただき、それにマッチする人材を集めてご紹介し、入社が決まった際に成功報酬として紹介料をいただくビジネスモデルになっています。
加えて、弊社が主に取り扱っている特定技能のビザで入社された方には、入社後の生活支援も必要になります。これに対して、月額の支援料という形でお金をいただいており、紹介料と支援料の二本立てで、売り上げを立てています。
東南アジア出身の人材が中心
紹介している人材は、インドネシアやベトナム、ミャンマーなど、東南アジア系の方が多いですね。国籍はあえて絞っていませんが、共通しているのは、現地では日本ほど就職先が多くないため、出稼ぎに出るのが一般的な方が多い点です。家族を支えるために、日本に来て頑張っている方が多くいらっしゃいます。
紹介先の業界は、介護施設や建設会社、外食のレストランなどが多いですが、それ以外の業界でも幅広くご紹介しています。
十カ国語対応の手厚いサポート
競合が多い人材紹介業のなかで、弊社の強みはサポートの手厚さにあると思っています。各国の文化と言語に精通した社員が揃っており、フィリピンやベトナム、インドネシアをはじめ、外部のパートナーも含めると十カ国に対応できる体制です。
言語の壁をしっかりケアできることに加えて、外国人材や企業様のためになりたいという思いから、入社してくれたメンバーが揃っています。対応の丁寧さとスピード感には、高い評価をいただいています。
実際、多くの外国人の方から応募をいただいており、厳選して採用している状況です。思いの部分も能力の部分も、しっかりとした方が集まってくれていると感じています。
板挟みの中で見つけた向き合い方
言葉と文化の壁が生む摩擦
多くの外国人の方を紹介させていただいておりますが、人材紹介の業界は、きれい事だけでは済まないことも少なくありません。多くの方は真面目に働いてくださっていますが、なかにはトラブルを起こしてしまう方もいらっしゃいます。
近隣トラブルや社内での人間関係のトラブルは、言葉が通じにくいことや文化・常識の違いが原因となって起こるものです。
そういったことが重なるタイミングでは、外国人材側の言い分も、企業様の気持ちも分かるからこそ、その板挟みになる大変さを感じてきました。まれにではありますが、仕事や生活面で悩みを抱え、支援中の外国人材と突然連絡が取りづらくなってしまうケースもあります。
早期発見のための綿密なコミュニケーション
そのような問題を乗り越えるために意識しているのは、早い段階で問題の芽を摘み取ることです。外国人材に関する問題は、ある日突然起こるわけではなく、必ず前兆があり、限界を超えたときに起こると考えています。
そこで定期的な面談により、企業様側にも人材側にも「何か問題はございませんか」とヒアリングしています。加えて、LINEでいつでも相談できるグループを作るなど、信頼関係づくりと綿密なコミュニケーションを心がけています。
唯一無二の存在を目指して
人材紹介からSNS運用代行へ
今後は、紹介人数と支援人数を増やしていくことはもちろんですが、最近力を入れているのが海外向けのSNS運用代行の事業です。弊社の外国人社員が、お客様の売りたい製品やサービスを紹介するもので、各国のSNSの特性や消費行動を熟知したメンバーが、お客様に代わってPRを担っています。
実際、人材の紹介からお取引が始まって、海外展開の支援やインバウンド集客の支援に発展するご依頼も増えてきました。
人材のご紹介と支援をさせていただきながら、プラスアルファでこういった付加価値を出せるのが強みだと思っています。人材紹介と、海外に特化したPR代行・SNS運用代行を掛け合わせながら、唯一無二の存在を目指していきたいですね。
AI時代を生きる学生へ
行動力と信頼が差になる
AIがこれだけ発展してきたなかで、文系のホワイトカラーの仕事が人余りになるといった統計もあります。確かに事務作業の多くの部分は、代替できるというのが実感です。
そのため人間に価値が残る部分に、自分の時間を使って能力を高めていかないと、淘汰される可能性があると思っています。きれいな計画やロジック的に正しいことも、AIで誰でも言えるような時代になるでしょう。
AIを使うことで皆が正論を言えるとしたら、それを実際に行動するかどうかで、やはり差が出てくると思うんです。まずは行動をしてみて、そこから修正をしていく姿勢が重要です。
加えて、行動する過程で培われる人脈や信頼も、人ならではの価値といえるでしょう。学生時代の過ごし方も、お仕事を選ぶときも、そういった視点が重要になるのではないかと思います。
起業したい、あのころの自分に伝えたいこと
学生時代を振り返ると、起業したかったなと思います。当時はまったく考えていませんでしたが、仮に失敗してもデメリットは少なく、経験値を得られる時期だったんですよね。
少資本で始められるビジネスはいくらでもありますし、うまくいけば続ければいいし、失敗すれば就活の糧にすればいい。インターンやアルバイトなども含めて、いろいろな会社を見られるチャンスだったと思います。いろいろな社会人に会ったり、会社に飛び込んでみたりしておけばよかったなと、今は感じていますね。
編集後記
外国人材紹介という難しい課題に、日々向き合い続ける姿が印象的な取材でした。私自身、AI時代のキャリアについて考えることも多く、森永さんの「行動する人にしか差はつかない」という言葉が強く心に残っています。
AIによる効率化が進む時代だからこそ、人にしかできない信頼構築の大切さを教えていただきました。就職活動を控える身として、恐れず行動してみようと思えるようになった取材でした。