インタビュー

日本の文化資産を、世界へ届ける仕組みをつくる

日本の文化資産を、世界へ届ける仕組みをつくる
PROFILE
株式会社InnoVest 代表取締役
畑田 真弥

会社を持つことになったきっかけ

きっかけは、お小遣い稼ぎ

会社を立ち上げた経緯は、正直そこまで大げさに語れるものではないんです。もともとは、単純にお小遣い稼ぎをしようと思って始めたことがきっかけでした。

21歳の頃には、トレーディングカードを軸に事業をしていました。ただ、当時から「会社をつくって何か大きなことを成し遂げたい」という明確な目的があったわけではありません。

事業を走らせていくなかで、やりたいことがどんどん増えていき、そこから少しずつ、今の事業に繋がる思いやビジョンが生まれていったという感じです。

高校生から培った「お金を増やす」感覚

修理して売る、を繰り返した日々

私は一般的な家庭で育っていて、父も普通の会社員です。小学校の頃は机を拭いて1円、中学生の頃はお小遣い500円という家庭だったので、それだけでは足りず、中学生の頃からポイ活などをしていました。

高校時代になると、お小遣いだけでは友人と遊ぶことも難しかったので、「なんとか自分で稼ごう」と考え、3DSの修理・販売を始めました。

当時のメルカリでは、ジャンク品の3DSを買い、壊れている部分を修理して販売することで利益を出すことができました。それを繰り返した結果、高校を卒業する頃には300万円ほどの貯金ができていました。

高校を卒業したら株をやりたいとずっと思っていたので、その資金を株式に投じ、さらに資金を増やしていきました。そして21歳の時、現在の事業の始まりとなるトレーディングカードを本格的に始める頃には、1,500万円ほどの貯金がある状態になっていました。

母はもともと株をやること自体には反対していたのですが、18歳の誕生日に両親から証券口座をプレゼントしてもらったことは、今でもよく覚えています。

日本の文化資産を、世界へ

日本発の価値を、世界で流通させる

今の事業で大切にしているのは、日本で生まれた文化資産を、貿易を通じて世界へ届けていくことです。

トレーディングカードには、世界的な人気を持つ日本発のIPが数多くあります。私は、それらも日本が生み出した文化遺産の一つだと思っています。

一方で、世界的な需要があり、大きな市場が形成されている領域には、海外の事業者も積極的に参入しています。日本で生まれたコンテンツでありながら、そのグローバルな流通では海外のプレイヤーが大きな存在感を持っている。その状況を見て、日本企業にもまだできることがあると感じました。

だからこそ、私たち自身が日本の文化資産を世界で流通させる仕組みをつくりたいと考えています。

国内外の価格や需要を把握し、必要とされる市場へ商品を届ける。その流通を日本企業である私たち自身が担うことができれば、貿易事業として成長できるだけでなく、日本初の文化資産の価値を世界へ広げていくことにも繋がると思っています。

まだ構想段階の部分もありますが、それを実現していきたいというのが、今の事業に込めている思いです。

トレーディングカード事業のいま

日本からアメリカ、アジアへ

現在は、トレーディングカードそのものを需要に基づいて流通させることに注力しています。

オリパについては、当社として法的な論点を慎重に検討した結果、現在は取り扱っていません。その分、国内外の事業者との輸出入やクロスボーダー取引を中心に、トレーディングカードの流通網を構築しています。

日本国内での郵送買取を一つの入り口として、買い取った商品をアメリカやアジア圏へ流通させるほか、アメリカからアジア圏へ届けるなど、国を跨いだ取引を行っています。

既にトレーディングカード事業を通じてアメリカに子会社を設立しており、現在の銀行口座も解説しています。さらに、事業を通じて輸出網だけでなく、現地の営業やマーケティングに関するネットワーク、金融面での基盤も構築してきました。

今後、世界各地へのネットワーク構築が進んだ先では、この基盤をトレーディングカードだけで終わらせるつもりはありません。

錦鯉や時計をはじめ、日本から世界へ届けられるさまざまな商品についても、これまで構築してきた輸出網や営業・金融の基盤を活用し、事業を展開していきたいと考えています。

この先描いている未来

税理士法人を起点に、事業継承・M&Aの領域へ

古物関係の商品を世界で動かせる体制を整えた、その先に考えているのが、税理士法人を始めとする士業領域への展開です。

事業継承やM&Aにおいて、経営者が日常的に接点を持つ税理士を始めとする士業は、非常に重要な存在だと考えています。

そうした方々とのネットワークを全国に構築することで、事業継承を考える経営者と、より早い段階から接点を持てる仕組みをつくっていきたいと思っています。

そのネットワークが広がれば、単にM&Aを仲介するだけではなく、双方にメリットのある形での資本提携や、私たちのグループに入っていただくといった選択肢も生まれます。

私たち自身が複数の事業を持つことで、会社を取得して終わりではなく、グループ内の事業との連携やロールアップなど、買取後の成長まで見据えた選択肢を持つことができます。

そうした仕組みを一つずつ構築し、将来的には事業投資や企業経営を通じて、複数の産業や企業の成長に関われるような会社をつくっていきたいと考えています。

数字が語る、いまの手応え

少数精鋭で走り続ける

事業は現在、想定以上のペースで成長しています。

トレーディングカード事業は「ポケリバ」という名前でスタートし、当初は月商1,000万円ほどでした。それが直近では月商5.6億円ほどまで成長しています。

この11か月間、増収増益を維持しており、会社自体は現在2期目、トレーディングカード事業をはじめてからは約11ヶ月です。

従業員は日本に約18人、アメリカに2人で、連結すると約20人の体制です。

この人数でここまで事業を成長させることができているのは、少数精鋭の組織づくりを意識してきたことが大きいと思っています。一人ひとりの生産性をさらに高めていくことは、これからも大切にしていきたい目標です。

過去には、お金を稼ぐこと以上に、使うことへ気持ちが向いていた時期もありました。ただ、今は仕事そのものを面白いと感じられているので、自然と浪費も減ってきています。

経営についても自己資金を中心に進めています。過去の経験があるからこそ、今はお金の使い方をしっかり考えながら事業をつくっています。

若い世代へ伝えたいこと

「一緒に頑張りたい」

若い世代に伝えたいメッセージは、シンプルに「一緒に頑張りたい」ということです。

私自身、いわゆる学生らしい時間をあまり過ごしてきませんでした。高校も通信制だったので、一般的にイメージされるような学生生活には、あまり馴染みがないんです。

青春と呼べるような時間にコンプレックスがあって、その分、仕事に打ち込んできたところもあります。

だからこそ、これから社会に出ていく皆さんに対して、上から何かを教えたいという感覚はありません。

同じ時代を生きる一人として、対等な立場で一緒に頑張っていきたいと思っています。

編集後記

畑田さんのお話をうかがって、まず驚いたのは、高校生の頃からすでに「お金を増やす」ことに真剣に向き合っていたという事実です。修理・転売という小さな行動の積み重ねが、今の事業の土台になっていることが印象的でした。日本の文化資産を守りながら世界に正しく届けたいという思いは、これからの時代を生きる私たち学生にとっても、ビジネスの新しい視点を教えてくれるように感じます。