Links株式会社で代表取締役CEOをしている佐渡山貴大です。沖縄で中古物件のリノベーションをワンストップで手がける会社を経営しています。
中古物件×リノベーションをワンストップで
弊社が目指しているのは、不動産領域をトータルプロデュースできる会社です。自社で不動産事業とリフォーム事業の両方をおこなっているため、施工管理までを自社で担っています。それに加え、昨年からはコンテンツ部署というマーケティングを専門におこなう部署も新設しました。この部署は不動産事業のSNS運用などのベースとなっていて、この業界としては珍しい体制だと思います。
不動産とSNSは、実はとても相性が良いと感じています。全国的にはSUUMOやアットホームなどのポータルサイトが主流ですが、沖縄には「うちなーらいふ」や「グーホーム」といった、県内に根付いた不動産情報サイトがあります。沖縄ではこうした独自のプラットフォームが広く利用されており、「物件をどう見せ、どう届けるか」という情報発信の部分も、不動産事業において非常に重要だと考えています。
弊社は創業当初、プラットフォーム事業に取り組んでいた経験があります。現在はそうしたポータルサイトを利用する立場ですが、当時培った情報の見せ方や届け方、ユーザーとの接点のつくり方に関するノウハウを生かし、自社メディアやSNSなど、自社で情報を届ける仕組みづくりにも力を入れています。
不動産を扱うだけでなく、その情報をどのように届けるかまで自社で考え、仕組みをつくれることは、弊社の大きな強みであり、これまで積み重ねてきた資産の一つだと感じています。
組織の立て直しも経験した
最も苦労したのは、判断を下す際の「当たり前とされる基準」がわからなかったことです。「何が正しくて、何が間違っているのか」という判断を自身でつけられないがゆえに、人任せにしてしまっていた時期があったのですが、それが最大の失敗でした。
かつて、創業当初におこなっていたプラットフォーム事業からの撤退を余儀なくされた結果、組織が機能不全に陥るまで社内があやうくなったことがありました。そして、なけなしの費用を払い、組織コンサルに入ってもらうことで、無事に立て直しました。「会社を潰したほうが早い」と言われたこともありますが、そうならないように頑張ったおかげで、社員には、「第2創業期の会社に来い」と伝えられるようになっています。今では、当時の3年間を「第1創業期」と呼べるくらいにはなりましたが、その時に体験した立て直しの経緯が、現在の経営に最も生きていると感じています。
海外で出会った顧客に救われた
組織があやうくなった時は、自身の精神状態をどう保つかで必死でした。何をしても面白く感じられない時期もあり、その時期に救いになったのが、海外にいた頃に出会った顧客との関係です。当時、資産運用として不動産を購入いただく仕事をしていた関係で、彼らとの付き合いがありました。
今では成功しているように見える彼らには、共通点がありました。全員、「一度どん底の状態を経験していて、そこからどうやって立ち直らせてきたのかが、現在の底力になっている」ことです。それを知った時、自分の悩みは、「まだささやかな問題である」のだと気づけました。費用を払わなければならない状況や税金の問題など、大変なことも多くありましたが、できないなりに何かしようとする姿勢を見せることで、むしろ付き合いのある方々を巻き込んでいくようにしていました。
沖縄から世界を見る視点
弊社が今携わっている「中古物件の再生」というテーマにたどり着いたのは、元々私自身が海外での仕事が長く、沖縄で働いた経験がなかったことが大きいと思います。海外という大きな視点から日本を見た場合、日本での当たり前は海外では当たり前ではありませんし、逆もまたしかりです。マクロとミクロ双方の視点を持てるようになったことで、日本や沖縄に対する見方がだいぶ変わりました。
この国は人口が減少傾向にありますが、少し前まで新築物件が増え続けることが一般的でした。しかし、個人的にはそれがずっと違和感でした。今後は海外なのか、他の地方なのかはまだ未定ですが、かつて自分がいた場所での事業展開も視野に入れています。沖縄県は外に出る人が少ない土地柄のため、弊社としてはグローバルで通用する人材を輩出することを経営ビジョンの大きな柱として据えています。そのため、未経験の方にも早い段階から権限の移譲をしていくことを大事にしています。
認知拡大がこれからの課題
現状、課題として挙げられる要素としては、組織を構築していくことです。それだけでなく、住宅・不動産領域は、この先も一定の需要があり続けると考えています。最近では、リノベーション後、弊社で客付けから管理までをおこなう事例も増えてきました。
リフォームやリノベーションだけを請け負う会社では、エリアや広さ、駐車場の条件、賃料相場などを見据えることが難しい場合もあるかと思います。しかし、弊社は不動産事業者としての視点を持っているため、出口から逆算したプランニングができ、オーナー様にとっても任せやすいはずです。ただ、両方の機能を合わせ持つ会社は沖縄県内では少なく、弊社のような企業があること自体がまだあまり知られていません。今回の取材を通じて、弊社のことをどのように伝えていくべきかが、今改めて感じた一番の課題でしょうか。
学生へのメッセージ
大学時代にしかできないことは、たくさんあると思います。私自身、当時はFacebookでの実名のやり取りが主流だったこともあり、怖いもの知らずで、さまざまな業界の経営者にDMを送っていました。「話を聞かせてください」などの連絡をして、そこから出会いが生まれています。
肩書きがない大学生だからこそ、社会人が同じように話を聞きに行くこととは受け止められ方が全く違います。そのため、「大学生」という肩書きは、うまく使いこなすべき武器だと思っています。それに加えて、海外にはぜひ行って欲しいですね。2泊3日や3泊4日程度の何気ない旅行でも、価値観を広げるきっかけになり得ます。自身の常識とは異なる幸せの作り方や仕事のやり方を知ることは、学生のうちにしかできない経験だと思います。就職活動をする際も、固定化されていない視点から会社を見られるようになるはずです。自分が関わったことのないコミュニティに飛び込んでみることを心からおすすめします。
編集後記
今回、佐渡山さんのお話をうかがって、失敗をそのままにせず、次の挑戦の土台に変えていく姿勢がとても印象に残りました。会社が一度立ちゆかなくなった経験を隠さずに語ってくださったからこそ、今のビジョンに説得力を感じました。沖縄という地域に根ざしながら世界を見据える視点は、就職先やキャリアを考えるうえでも参考になりました。学生のうちに一歩踏み出すことの大切さを私自身も改めて感じた取材でした。