インタビュー

「なりたい自分」があれば、頑張ることはワクワクに変わる。急な承継を乗り越えた二代目社長が学生に伝えたいこと

「なりたい自分」があれば、頑張ることはワクワクに変わる。急な承継を乗り越えた二代目社長が学生に伝えたいこと
PROFILE
株式会社NMR流通総研 代表取締役
中坊 崇嗣

突然の代表就任

創業社長の急逝で代表に

私は弊社の創業者ではありません。創業社長が体調を崩して入院され、そこからわずか2ヵ月ほどで亡くなってしまったのです。あまりにも急だったこともあり、「会社を支えられる人を立てなければならない」という状況に陥ったのです。そして、私に「白羽の矢が立った」という次第です。当時は勤めて25年ほど経っていました。

売上の6割を支えていた

選ばれた理由をあえて挙げるならば、おそらく「実績の面が大きかった」のだろうと思います。当時、私は「会社全体の売上と利益のうちの6割くらいを担って」いました。要するに、「会社経営の根幹を担うような実績を持っていた」というわけでした。長くコンサルタントとして積み重ねてきた経験が、「急な事態の中で会社を任せていただく理由に繋がったのかな」と分析しています。

マーケティング・経営・組織の3領域

製品開発から街づくりまで

弊社の事業は、大きく3つの領域に分かれています。ひとつ目は「マーケティング」です。メーカー様の製品開発のためのマーケティングやショッピングセンターなど商業施設開発に向けた基本構想の策定をおこなっています。他にも食品スーパーさんの新店舗出店のための判定やニュータウン再生構想の提案、大手旅行会社さんの高校生・大学生向け卒業旅行コンテンツの提案なども手がけてきました。

経営戦略から海外支援まで

2つ目は「経営コンサルティング」です。経営戦略の策定や経営改善、新規事業の立ち上げ、業務の効率化・標準化などを支援しています。ショッピングセンターや食品スーパーさんの経営改善を通じた地域活性化にも取り組んでいます。海外企業様の支援実績は、現在は中国企業さんが中心ですが、商業施設を開発する海外企業さんの日本の先進事例視察研修や食品スーパーを展開する企業の経営者向けに日本の事例を紹介するセミナーもおこなっています。

現在注力中の組織力向上コンサルティング

3つ目が、「組織力向上コンサルティング」で、現在最も力を入れています。理念を作るだけでなく、場合によっては再構築することで、社員全員が足並みを揃え、同じ方向を目指せるためのベクトル合わせや価値観の共有を図っています。「経営理念の定着・浸透の支援」はそのひとつです。また、事業承継支援として、経営幹部や次期経営者の育成にも取り組んでいます。

制度と教育の両面で支援

人事制度では、等級制度・人事評価制度・目標管理制度・給与体系の4つを連携させ、効果的な制度の構築と運用を支援しています。社内資格制度の構築も特徴のひとつで、プロフェッショナルな社員を育てるため、専門スキルを体系化し、教育プログラムと試験で検証する仕組みを作っています。さらに、階層別研修や管理職研修、評価者研修、新入社員研修などの人材育成やメンター制度の構築、健康経営優良法人の認定取得支援もおこなっています。

組織力向上はすべての土台

弊社が得意としているのは、まさに「組織力向上」です。マーケティングや経営コンサルティングの仕事をする際にも、ここで培ったエッセンスを含めて支援しています。どの領域の支援でも、「組織の力を高める視点は土台にある」という観点こそ、弊社ならではの強みだと自負しています。

承継の苦労とこれから

引き継ぎのない事業承継

代表になってから大変だったことは、「会社の承継そのもの」でした。先代があまりにも急に亡くなられたため、一般的に「事業承継」と呼ばれる「次の経営者になるための引き継ぎ」がほとんどできなかったからです。しかも先代は「現役でコンサルタントの仕事もされていた」ため、その仕事も急遽引き継がなければなりませんでした。先代から引き継いだ仕事と自分の仕事をこなしながら、会社全体の経営も見ていく必要があり、未経験だったことも含めて、本当にたくさんの経験をしました。

知名度を高めて新領域へ

今後も、成長していきたいと考えています。海外企業様との取引にも挑戦しているのですが、中小企業のためか、「知名度の面で課題がある」のが実情です。海外企業様に対しては、弊社のことを「広く知っていただく機会がまだ少ない」こともあり、「新領域の開拓時に制約が出てしまう」こともあります。そのため、「そこを乗り越えていくこと」こそ、「現在弊社が取り組むべきテーマ」だと考えています。

新たな価値を生み続ける

弊社では企業理念とともに「私たちのビジョン」を掲げています。そのビジョンとは、「これからも新しい価値を生み続けて、新たなソリューションを提供していく」ことです。マーケティング、経営コンサルティング、組織力向上と、弊社が積み重ねてきた支援の幅を活かし、お客さまに新しい価値を届け続けていきたいです。

バンドかコンサルかの二択

夢の期限は卒業まで

私は学生としてマーケティングを学ぶ傍ら、大学院生の頃までバンドをやっていました。もちろん、目標も持っていて、「卒業するまでに目標達成できればバンドの道を選び、届かなければコンサルタントになろう」と決めていました。結果として、「バンドのほうは目標に届かなかった」ため、必然的にコンサルタントの道を選びました。

量販店で小売経営を学ぶ

将来「コンサルタントになる」べく、最初は大手量販店企業に就職しました。理由としては、「小売店の経営をひと通り経験しておきたかった」からです。「責任者として予算を持ち、販売計画を立て、その計画で予算を達成できるよう仕入れをおこないながら、在庫管理や従業員のマネジメント、さらには売上と利益をしっかり確保していく」という一連の経験を3年ほどかけて積みました。

学生へのメッセージ

自分の「キラッ」に気づく

弊社では社会貢献活動として、中学生や高校生の企業訪問学習を受け入れ、キャリア教育とSDGsの教育をおこなっています。そこでお伝えしていることは、おそらく、「大学生の皆さんにも共通する」かと思います。人には誰しも、「他の人が持っていないキラッと光る良いところ」があります。しかし、「それに気づいていない人は案外多い」と思います。だからこそ、「自分の良いところに気づいたら、それをもっともっと伸ばしていってほしい」と思います。

そのうえで、「将来何をしたいのか」、「どんな人間になりたいのか」を見つけてほしいです。そうは言っても、自身が抱く将来像は「成長と共に変わっていって」構いません。「将来なりたい自分」をしっかり持っていれば、さまざまなことに興味を持て、吸収できるため、早期の大きな成長に繋がるはずです。そして本当に「なりたいイメージが固まれ」ば、「実現のために頑張ることはしんどくなくなる」はずです。むしろ、「ワクワクしながら頑張れるようになる」はずなので、ここはぜひ頭の片隅に留め置いてほしいです。

編集後記

中坊社長のお話で印象に残ったのは、「引き継ぎがほとんどできない状況で会社を受け継ぎ、先代の仕事と自分の仕事、そして経営のすべてを同時に担われてきた」という点です。私自身も学生ながら事業に挑戦していますが、予期せぬ事態に向き合う覚悟の大きさに背筋が伸びる思いでした。また、コンサルタントになるために、「あえて量販店で小売経営をひと通り経験された」というキャリアの描き方にも学びがありました。「なりたい自分を持てば頑張ることがワクワクに変わる」という言葉を胸に、私も自分のキラッと光る部分を探していきたいと思います。貴重なお話をありがとうございます。