パズル好きの読者から社長へ
雑誌の読者が入社した
もともとパズルが好きで、弊社が出していた雑誌の読者だったんです。読んで解くだけでなく、自分でパズルを作ったり、それを投稿したりもしていました。そういうことを続けているうちに、大学を出るタイミングで「この会社に入りたい」と思い、入社しました。憧れの企業というよりは、好きなことをやりたいという気持ちのほうが大きかったですね。
社員から社長へ
私は創業には関わっていなくて、社員として入社してから、のちに会社を引き継ぐことになりました。入社した当時はまだ社員が7〜8人くらいの小さな会社だったんです。今は20数名で、もうすぐ30人くらいになる見込みです。今もそれほど大きな会社ではありませんが、結果的には入社したころの2倍以上の規模になりました。
出版とパズル提供の2本柱
創業から続くパズル出版
弊社は創業したときから、数独やクロスワードパズルなどのパズルの本を出版しています。創業してしばらくすると、新聞や週刊誌、社内報などから「パズルを掲載したい」という問い合わせをいただくようになりました。そこで、そうした媒体に向けてパズルを制作し、提供する業務も始めたんです。現在は出版とパズル提供が収入の2本柱になっています。そのほか、アプリやWebなどデジタルの取り組みもおこなっています。
現場から経営へ
経営はほぼ素人だった
私は好きなことがやりたくて入社し、20年以上、パズルの本の編集や制作、パズルを作ったり解いたりする仕事を続けてきました。社長になってからは、そうした好きな現場を離れて、経営に向き合わなければいけません。経営については、社長になる前はほとんど素人同然でした。そこから経営者としてなんとか会社をやりくりしていくことが、一番の苦労だったと思います。
将来を考える転機に
一方で、現場の仕事をずっと続けていると、このままやり続けられるのだろうかという不安も出てきていたんです。年齢も重ねますし、健康面の心配もあります。将来がこのままうまくいくのか、悩む時期が続いていました。そう考えると、そのタイミングで経営に移れたのは、将来を考えるという意味ではむしろよかったのかなと思っています。
数独の知名度と、社名の知名度
社名の認知が追いつかない
弊社の一番の強みは、数独というパズルです。さまざまな新聞に掲載していただいたり、本が売れたりして、数独の知名度は大きく上がりました。ただ、その割にニコリという会社の知名度が追いついていないんですよね。数独とニコリ、その知名度の差をこれからどう埋めていくか。それがひとつの課題だと考えています。
広告に消極的だった社風
会社の認知を広げるうえで、ひとつの手段は広告宣伝だと思っています。ただ、弊社は創業からずっと広告宣伝に消極的なところがあって、それが会社の文化のようになっていた部分もありました。まずは社内の意識から変えていかなければいけないと感じています。
広げ方のノウハウが課題
広告宣伝にはお金も必要なので、資金をどうやりくりするかという苦労もあります。それに、お金をかければ知名度が上がるというわけでもありません。どう認知してもらうか、どう広げていくかというノウハウも、まだあまり持っていないんです。知名度を広げることについては、いろいろな面でまだまだ課題があると考えています。
出版の先細りに備える
また、弊社はずっと出版を中心に事業を続けてきました。ただ、出版業界自体が先行きの細い、いわゆる先細りの業種でもあります。長く続けてきた出版を大切にしながらも、新しいビジネスを作っていかなければいけないんですよね。それをどうやって作っていくかも、これからの大きな課題になるのではないかと思っています。
パズルが役立つ場所を広げたい
固定ファンの輪を広げる
知名度はさておき、パズルがすごく好きだというファンの方々は、しっかりとついてきてくださっている感触があります。今後のビジョンとしては、まずそのファンの輪を広げていくことがひとつの目標になると思っています。弊社のパズルを楽しんでくださる方を、これからもっと増やしていきたいですね。
社会のなかにパズルを
もうひとつは、数独やパズル自体を社会のさまざまな場面で役立てていくことです。言葉にするのは少し難しいのですが、たとえば学校で何かを教えるときにパズルを使っていただくなど、パズルが役立つ場所をもっと広げていきたいと考えています。そうすることで、パズルが社会に広まっていくことを目指しています。
就活生へのメッセージ
好きなことに挑戦してほしい
パズルの読者だった私は、パズルを作って投稿するうちに、その会社に入社しました。好きなことを仕事にしてしまったんです。学生のみなさんのなかにも、同じように好きなことを仕事にしてみたいと考えている人は多いと思います。そういうチャレンジは、すごくいいことだと思うので、どんどんしてほしいですね。
「好き」の裏側も受け入れる
ただ、好きなことを仕事にすると、好きなことだけでは成り立たない部分も出てきます。今まで好きだったことの裏面というか、自分はこれをしたくなかったけれど、やらなければいけないということも同時に出てくるんです。それで生活していくには、好きなことも好きではないことも両方受け入れていく必要があります。覚悟とまではいいませんが、そういうものでもあるということは、ぜひ知っておいてほしいと思います。
編集後記
数独で知られるニコリの社長が、もともとは雑誌の読者で、パズルを投稿するうちに入社されたというお話がとても印象的でした。私自身も学生起業に取り組むなかで「好きなことを仕事にしたい」と考えていますが、好きなことの裏側も受け入れる覚悟が必要だという言葉にハッとさせられました。また、数独の知名度と社名の知名度の差という課題は、ブランドづくりの難しさを考えるうえでとても勉強になります。パズルが学校など社会のさまざまな場面で役立つ未来が、今から楽しみです。