インタビュー

手に取った1冊の技術書から。高校中退・無職だった私が、技術支援のプロ集団をつくるまで

手に取った1冊の技術書から。高校中退・無職だった私が、技術支援のプロ集団をつくるまで
PROFILE
ネクスト株式会社 代表取締役社長
小川 貴之

技術で「本来やるべきこと」に集中できる世界を

AI・クラウド・データの技術支援

ネクスト株式会社は、企業向けのAI導入支援と、AWS(エーダブリューエス)を中心としたクラウドの導入支援をメインに事業を展開しています。企業のデータ活用基盤の構築や、データを可視化して意思決定を支援する領域も弊社の柱です。あわせて、それに関連する形で企業のセキュリティ支援も行っています。社内はオフィス業務を担うメンバー以外、私も含め全員が技術者です。グループ会社のネクストエンジニアリング株式会社では、SES(客先常駐)の形態でお仕事をさせていただいています。

創造的な活動に集中できるように

仕事でも普段の生活でも、時間を取られてしまう煩雑なことが結構たくさんあると思っています。営業でいうと、実際の営業活動ではないことに時間を割いていると、成果が出づらかったりしますよね。こうしたことを技術の活用で解決し、イノベーションを支援することで、人々が本来取り組むべき創造的な活動に集中できるようにする。これを弊社のミッションに掲げています。事業もすべて、このミッションに紐づくものとして続けています。

専門性と500本超の技術発信

弊社の特徴は専門性です。直近ではAWSのサービスパートナーとして「セレクトティア」の認定を受けたほか、OpenAI(オープンエーアイ)のセレクトパートナーにも認定されました。これまでご支援してきた企業様の実績も強みのひとつです。変わり種でいくと、最近は技術ブログの発信に力を入れていて、技術情報全体で500本を超えて発信しています。業種にはこだわっていませんが、直近は年商数百億円から数千億円ほどの中堅企業様と直接やり取りする機会が増えてきました。

無職から始まった技術者人生

高校中退、無職だった20代

実は私、大学はもちろん、高校も卒業していません。途中で中退し、IT企業に勤めていたわけでもありません。本当にフラフラしている、無職のような感じでした。20代は正直、何もしていなかったというか、めちゃくちゃ遊んでいました。当時は大宮に住んでいたのですが、さすがに「そろそろ仕事のことをきちんと考えなければ」と思い始め、そう感じた事が転機となりました。

BOOKOFFで出会った技術書

当時、近所のBOOKOFF(ブックオフ)に足繁く通っていましたが、あるとき「ITって面白そうじゃん!」となる一冊に出会えました。その後、プログラミングの書籍をわさっと購入し、勉強をしてプログラミングができるようにまで成長しました。そこからWebサイトをつくり、技術ブログをやまほど書きました。そうすると、近隣の企業様よりお問い合わせを沢山いただくようになったのです。今の弊社の原点は、まさにこの一冊の本との出会いにあると思います。

数万円の仕事から始まった

一番最初は小さなサイトをつくる程度のお仕事で、本当に数万円ほどの案件でやりくりしていました。そのうち、徐々に大きな会社様からもお引き合いをいただけるようになり、「こんなことできる?」というご相談を受けるようにもなり、システムをつくったり、インフラを構築したり。できることが少しずつ高度化したり、多様化していきました。途中でSESの業態に取り組み、会社が大きくなり始めた時期もあります。

苦しいときほど逃げない

通帳の残高は数百円

苦労したことは、いっぱいあります。創業当初は、恐ろしく暇か恐ろしく忙しいかのどちらかでした。仕事がないからゲームをやっている、なんてことも最初は当たり前で、仕事が入ってこないので、やはりお金にはとくに苦労しました。預金通帳の残高が数百円、なんて時期もありました。

メンタルに来た経営危機

人数がどんどん増えていくなかで、経営危機に陥りそうになることも多々ありました。このときがメンタルに壮大なダメージをもたらしました。事業がうまく伸びていかない、手元に資金がない。そんなときは、基本的に心が折れています。世の社長様は皆さんそうだと思いますが、社員の人生も背負っている中で、簡単には人に言えないことも多かったのです。

原因を見つめて向き合う

では、どう乗り越えてきたのか。結局行き着くところは、嫌なことから逃げないということなのではないかと思います。心が折れているときこそ、そこから逃げずに、その原因をしっかりと見つめる。そして、そこへ対応していく。地味に聞こえるかもしれませんが、それこそが最も必要なことだと思います。経営危機を何度も経験してきたからこそ、今は強くそう感じています。

新しい技術なら「ネクスト」と言われる存在へ

選ばれる存在を目指して

今後伸ばしていきたいのは、AI・クラウド・データの3つの領域です。新しく出てくる技術に対して積極的に情報発信していき、新しい技術が出てきたときに「ネクストだよね」と言っていただけるようなポジションを取っていきたいと考えています。新しい技術を企業の皆様に活用していただくうえで、真っ先に名前が挙がる存在になっていけたら嬉しいです。それが、これからの弊社のビジョンです。

発信が最高のアンテナ

新しい技術へのアンテナという意味では、技術ブログが役立っていると思います。情報を発信するためには、もう1段、2段深い場所にいないとアウトプットできません。だからこそ、発信に取り組むことそのものが、アンテナを張ってキャッチアップしていくことに繋がっています。私の原点でもある技術ブログは、今も弊社にとって大切な取り組みです。

AI時代に何を届けるか

課題として考えているのは、やはりAIのことです。エンジニアの仕事の大部分が代替されていく、というニュースをよく目にします。作り手が置き換わっていけば、私たちは必要なくなるのだと思います。これまで培ってきた強みも、早ければ3年、4年後には必要なくなるかもしれません。そのとき、私たちはお客様に何を提供できるのか。それがこれからの課題になっていくのだと思います。

人が決断する領域を支える

AIが技術者をどんどん置き換えていく中でも、置き換わらない領域があると思っており、それがAI・クラウド・データの3つの領域だと考えています。最終的には、人が責任を持ったり決断したりするわけですから。技術のご支援だけではなく、そういった部分でもお客様をご支援できるようになっていきたい。時代の変化を前向きに捉えて、弊社の価値を広げていきたいと考えています。

学生へのメッセージ

夢中になれることを夢中で

アドバイスって難しいですよね。私も若いころ、自分くらいの歳の方に「こうしたほうがいいよ」と言われていたはずなのですが、まったく耳に届かなかった気がします。当時も悩んでいましたし、40歳になってもやっぱり悩みます。だから将来のことをあれこれ考えて「こうしておこう」と決めるよりも、むしろ夢中になれることを夢中でやったほうがいい気がしています。

好きなことの中にヒントが

もちろん、夢中になれることが見つからない場合もあると思います。でも皆さんにも、ゲームでも何でも、好きなことはあるはずです。それを一生懸命やりつつ、「自分は何が楽しいのだろう」と考えてみる。続けていると、この中なら自分はこういうことが好きだな、というものが出てくると思うのです。そう思ったときに一生懸命になれる原動力が見つかれば、素敵な人生になっていくではないかと思います。

遊んだから見えるもの

遊びに夢中になるなら、遊びに夢中になったほうがいいと思います。遊んだからこそ、「遊びはほどほどにしたほうがいいな」と思えるものです。仕事をしすぎた方が「仕事もほどほどにしよう」と思うのと同じで、そういう経験が原点になることもあると思うのです。どんなにつまらなそうに見えることでも、役に立たないことってあまりないのかなと思います。

気になったらやってみる

私が技術書を手に取ったのも、本当に何気ないきっかけでした。挑戦してみると、意外と何時間パソコンと向き合っていても大丈夫なのだと、偶然気づいたのです。気になったものを「やってみようかな」と思えるポジティブな気持ちがなければ、巡り合わせもなかったのかもしれません。何気ないことに挑戦してみて、楽しかったら夢中でやってみる。それが大事なのかなとも思います。

編集後記

高校を中退し、無職だった時期にBOOKOFFで何気なく手に取った技術書が始まりだったという小川社長。通帳の残高が数百円だった時期や、組織拡大に伴う経営危機など、決して平坦ではない道のりを「嫌なことから逃げない」姿勢で乗り越えてこられたお話が強く印象に残りました。将来のことを考えすぎて動けなくなりがちな私にとって、「今夢中になれることを夢中でやる」というメッセージは大きな後押しになりました。インタビューの最後には、学生の考え方が気になると逆に質問してくださる場面もあり、新しいものへの好奇心を持ち続ける姿勢こそが、ネクストの強さなのだと実感しました。