インタビュー

「楽しく働こう」を本気で言える会社へ。NATECT・根津薫が語る、愛と尊敬と感謝の経営

PROFILE
株式会社NATECT 取締役
根津 薫

大学を辞め、社会で学ぶことを選んだ

大学はほぼ行かなかった

正直に言うと、大学にほとんど行っていませんでした。遊んでいたというより、アルバイトにどっぷりはまっていたんです。山梨出身で、日本大学に入学するために上京してきて、当時友人に誘われてクラブのバイトを始めたのがきっかけでした。ちょうど与沢翼さんたちが勢いのあった時代で、芸能人や社長がバンバン飲みに来るような場所で働いていた。そこで受ける刺激が、授業で学ぶことより圧倒的に大きかったんです。

用意された道をそのまま進むより、自分なりの道を探したかった 

もともと経営がしたいという気持ちは学生の頃からありました。ただ、当時はそこまで深く考えていたわけじゃなくて。兄は商社に就職して、姉は公務員で。

そういう道があんまり楽しそうに見えなかったんです。社会に敷かれたレールに乗っかるのが嫌で、自分の存在意義を証明したいという、ちょっと尖った考えが当時はあったかもしれません。

3年で中退した

働くことにフォーカスしていたら、単位が取れず、気づけば大学に行かなくなっていました。3年ほどで中退しています。アルバイトが中心の生活でしたね。でも後悔はなくて、社会の中で学んだことが今の自分の土台になっていると思っています。

見切り発車で始めた創業と、人材へのピボット

飲食コンサルの現場で出会った

最初に就職したのは飲食コンサルの会社でした。そこで今の代表(神崎)と、所属は違えど同じ現場で仕事をする機会があって。波長が合うな、相性がいいなというのをお互い感じていたんだと思います。一緒に働く期間が終わった後も、代表がずっと「一緒にやりたい」と声をかけ続けてくれていて。定期的にご飯を食べながら、こういうことやりたいよね、という話をしていました。

「2人で夢を追いかけよう」で創業した

私は1人でやりたいと思っていたわけじゃないし、社長になりたかったわけでもない。経営がしたい、自分のチームを作っていきたい、というざっくりとしたイメージだったので、2人でやるのもありだなと。同じ船に乗って夢を追いかけようという感じで、2021年に株式会社NATECTを創業しました。

アパレルから始めて、すぐにお金がなくなった

社名は「自然(ネイチャー)」と「保護(プロテクト)」を組み合わせた造語で、自然を守るビジネスをやりたいという思いからついています。最初はサステイナブル素材を使ったアパレル商品を作ろうとしていました。ただ、2人ともアパレルの経験はゼロで、工場を電話で探すところから始めて。デザイナーさんにも入ってもらって、なんとかサンプルまでは作れたんですが、自己資金がどんどん減っていって。このままでは資金ショートすると判断して、人材にシフトしました。2022年頃のことです。

未経験層に寄り添える理由

ポテンシャル層に特化している

人材紹介というと競合もたくさんいますが、私たちが一番フォーカスしているのは「ポテンシャル層」と呼ばれる人たちです。年収300万円くらいで、自分がやったことのある仕事以外は未経験、という状態の方々ですね。ハイ・ミドル・ローという転職市場のレイヤーで言うと、さらにその下の層になります。

自分たちも未経験だったから

なぜそこに特化しているかというと、私も代表も、人材業界は未経験でこの事業を始めているからです。今いる社員もほぼ全員、未経験からスタートしています。だからこそ、ポテンシャル層の気持ちがすごくわかる。相手目線で話せることが多い、それがうちの差別化になっていると思います。

相手の頭の中を一緒にする

メンバーへの教育でも、求職者との面談でも、とにかく意識しているのは「相手の立場で考える」ことです。言葉では簡単ですが、実際はすごく難しい。だから私は、相手がどんな性格で、どんな生い立ちがあって、なぜ今ここにいるのかを、できるだけ想像しながら関わるようにしています。

例えば、社会人経験も営業経験もなくて、どちらかというと自己肯定感が低そうなメンバーがいたとします。そういう方って、成功体験が少ないから自信が持てないケースが多い。だとすれば、まず成功体験を引き出す動きをする。本当に基礎的なところから一緒に考えて、「この場面でお客さんはどう感じると思う?」とか、認識のずれがどこで起きているかを探るような関わりをしています。相手の頭の中と自分の頭の中を一緒にするところから始める、という感じです。

愛と尊敬と感謝を土台に

弊社の理念

弊社のミッション・ビジョン・バリューで言うと、「愛と尊敬と感謝を土台に、人の可能性を最大限に引き出し、そこから生まれた幸せや利益を社会に広げていく」というのが会社の理念です。ビジョンは「世界一愛があふれる会社へ」という言葉を掲げています。

お金より考え方が先にある

人材の仕事をしていると、「考え方を少し変えれば、もっと幸せになれるのに」と感じる方にたくさん出会います。愛とか尊敬とか感謝とか、人として大事なものを常日頃から誰に対しても持って接していたら、絶対に人生はいい方向に向かうと私は思っていて。お金が全てではないし、そういう在り方を続けていたらお金も後からついてくると思っています。

自分の人生を振り返って思うこと

私の原動力はどこかというと、自分の人生ってあまりうまくいかなかったことの方が多かったな、という感覚があって。それでも「なんとかなる精神」で頑張ってきたら、今はそれなりに幸せに生きられているという実感があります。だから、自分が人生を通じて学んできたことを、社員や大切な人、世の中で悩んでいる人に少しでも届けたい。会社を大きくして説得力を持てる人間になった時に、そういうことが伝えられたら満足できるんだろうなというのが、私のモチベーションになっています。

2人で引っ張る、阿吽の呼吸

「共同代表はうまくいかない」と言われた

創業当初、いろんな社長さんたちから「共同代表はやめた方がいい」「2名での創業はうまくいかない」と言われました。ただ、なぜうまくいかないのかという理由を聞いても、しっくりこなかった。むしろ私の中では、そういう固定概念をぶっ壊してやろうという反骨精神の方が強くなって、「絶対2人で成功しよう」と思っていました。

役割と強みが自然と分かれている

今は神崎が代表取締役、私が取締役という形です。強みという意味では、私はどちらかというと BtoB の経験が厚くて、組織づくりや採用、バックオフィス回りを担っています。一方、代表は誰とでも仲良くなれる、知り合いもとても多い、いわゆる「ザ・社長」タイプ。ワンピースで言うとルフィみたいな感じで、明るいパワーを周りに分け与えられる人です。

私は人脈で言うと狭く深くタイプで、10人くらいとめちゃくちゃ仲良くする感じ。代表とはキャラが全然違うんですが、だからこそ補い合えている気がします。どの分野は代表に任せる、この部分は私が判断する、という阿吽の呼吸が自然とできているんです。付き合い自体は10年近くなるので、こういう話を2人でわざわざすることもなくて、気づいたらできていたという感じですね。

「楽しく働く」が弊社の文化

今期5億、来期10億を目指す

弊社の今のチームは約20名です。来月からインターンも1名入ってくれます。今期の売上目標が5億で、来期は10億を掲げています。部活みたいな感覚があって、みんなで1つの目標に向かって頑張っているという雰囲気ですね。

バックボーンは一切問わない

採用でいちばん大事にしているのは「覚悟感」です。学歴も経歴も今まで何をしてきたかよりも、これからどうなっていきたいか、強い熱量で働けるかという部分を重視しています。弊社は理念経営をしている会社なので、バックボーンを気にするより、その人の気持ちや姿勢を見たいんです。

楽しく働けると思っていてほしい

新卒や就活中の学生に伝えたいのは、「楽しく働ける」ということです。働くって苦しいもの、義務だからやるものというイメージを持っている方もいると思うんですが、全然そんなことなくて。自分に合う仕事は絶対に見つかりますし、仕事を楽しむことと成果を出すことは両立できます。プライベートと仕事を完全に切り分けるのも違うと思っていて、だったら働くこと自体を楽しんだ方がいい。そういう環境を作っていくのが、私たちの会社の目指す姿でもあります。

編集後記

根津さんのお話を聞いて、「相手目線で考える」という言葉の重みが変わりました。それはただの姿勢論ではなく、相手の生い立ちや人間性まで想像した上で関わるという、相当深い実践なんだと気づきました。私自身も学生起業を経験しているので、共同創業の難しさや、軌道修正の痛さは少し分かるつもりです。それでも「なんとかなる精神」で走り続けてきた根津さんの言葉には、単なる励ましではない、経験の重さがありました。「楽しく働こう」を本気で言える会社をつくるために、これからも愛と尊敬と感謝を土台に走り続けるNATECT(ネイテクト)から、目が離せません。