インタビュー

東大・大手広告代理店・外資系生命保険会社を経て「日本を元気に」 伴走型支援で経営者の想いを形にする株式会社Doooxの挑戦

PROFILE
株式会社 Dooox 代表取締役
久保寺 亮介

「ドラゴン桜」を真に受けて東大へ。ラグビー漬けの日々から学んだこと

建築家・内藤廣氏への憧れと、ラグビーで培ったエネルギー

岐阜の養老という田舎町で育った私にとって、大きな転機となったのはドラマ「ドラゴン桜」でした。両親も中卒という環境でしたが、ドラマを見て「自分も東大に行けるのか」と真に受けて受験を決意したんです。

もう一つ大きなきっかけになったのは、建築家・内藤廣(ないとう ひろし)さんの本との出会いでした。「この人の考え方、面白いな。直接教わりたい」と思って本の裏表紙を見たら「東京大学教授」と書いてあった。それで迷わず東大を目指しました。

運よく内藤研究室に入れたのですが、学生時代は週6回ラグビー部に捧げる生活でした。工学部で都市計画やインフラを学びつつも、思い出のほとんどはラグビーですね。でも、スポーツが人間に与える圧倒的なエネルギーを間近で感じたことが、その後のキャリアの原点になりました。

「本当に良い」と思えるものを届けたい。広告代理店からフルコミッションの世界へ

代理店時代に感じた「世の中への貢献」への葛藤

新卒で大手広告代理店に入社したのは、スポーツの持つ力で日本を盛り上げたいと考えたからです。ダイナミックな仕事ができると期待していましたし、実際に現場ではめちゃくちゃ鍛えられました。今でも本当に感謝している会社です。

ただ、働く中で一つの葛藤が生まれました。広告代理店という仕事柄、たとえばクライアントから多額の予算でプロモーションを頼まれれば、それがたとえ「おいしくない水」だったとしても、どうやって売るかを必死に考えなければなりません。優秀な人たちの時間とエネルギーをそこに注ぐことが、果たしてどれだけ世の中のためになっているのか。そんな疑問が拭えなくなったんです。

26歳での即断即決。自分が信じる価値を提案できる環境へ

そんな時、外資系生命保険会社に転職した知り合いから「フルコミッション(完全歩合制)の世界」の話を聞きました。自分が本当に役立つと思ったものだけを提案できる環境だと。

「そんな仕事があるなら、明日会社を辞めてきます」とその場で伝え、本当に1ヶ月で退職しました。26歳の時です。自分が「良い」と確信できる価値だけを届けたい。その一心での決断でした。

365日、23時間労働。死に物狂いで見つけた「経営者支援」という使命

突発性難聴を経験して気づいた「インパクト」の重要性

転職後の1年半は、とにかくがむしゃらに働きました。睡眠時間は1日1時間、365日休みなし。オンラインが普及していない時期に1日17アポをこなすような毎日で、凄まじい成果も上がりました。

でも、ある日突然、左耳が1週間ほど聞こえなくなったんです。体力の限界でした。それと同時に、これだけ命がけで働いても、個人向けの支援だけでは世の中に与えられるインパクトがまだ小さいのではないか、と気づいたんです。

もっと大きな影響を及ぼすには、雇用を生んでいる「経営者」の役に立つ必要がある。そう考えて、事業承継の支援に舵を切りました。

ユニクロ・柳井氏の経営スタイルから着想を得た「Dooox」のモデル

それから数年、多くの事業オーナーとお会いするなかで、皆さん素晴らしいアイデアやエネルギーを持っているのに、日々の業務に追われて「やりたいこと」が全く前に進んでいない現状を目の当たりにしました。

このエネルギーをダイレクトに世の中に還元できれば、日本はもっと活性化するはず。どうすれば支援できるか悩んでいた時、ユニクロの柳井(やない)さんのエピソードを聞きました。柳井さんは専門の直轄部署を持っていて、自分が「これだ」と思った最優先事項をそこに任せて推進させることで、巨大小売企業になってもスピード感を保っていると。

「これだ!」と直感し、その日のうちに辞意を伝えて立ち上げたのが、現在の株式会社Dooox(ドゥークス)です。

伴走者として、日本中の「眠っている価値」を形にする

経営者の「右腕」として事業を前進させる

私たちは、経営者がやりたいけれど手が回っていないプロジェクトに、弊社のメンバーが実務レベルで入り込み、伴走しながら形にしていきます。

現在は事業承継や地方創生など、多岐にわたるプロジェクトを推進しています。自分たちが介在することで、停滞していた挑戦が動き出し、日本中が活気づいていく。そんな景色を一つひとつ作っていきたいですね。

編集後記

今回お話を伺って、久保寺社長の「即断即決」のスピード感と、その根底にある「日本を良くしたい」という純粋な熱量に圧倒されました。東大合格も、大手広告代理店からの転職も、すべては自分の直感と使命感に従って動いていて、ビジネス未経験の私にはその決断力がとても眩しく映りました。

特に印象的だったのは、ご自身の限界まで働いた経験から「世の中へのインパクト」を再定義された点です。ただ頑張るだけでなく、どこにエネルギーを注げば社会がより良くなるかを逆算して考える姿勢は、今後私がキャリアを考えるうえで大きな指針になると感じました。