車好きの青年が、IT業界へ
勉強よりバイトと遊び
地方から東京に出てきた大学時代は、とにかく楽しかったですね。勉強はほとんどしなくて、アルバイトとサークル活動ばかり。お金もあまりなかったので、バイトと遊びでほぼすべての時間が埋まっていました。ギリギリで卒業できた、というのが正直なところです。
自動車メーカーへの入社
就職先を選ぶ基準は、実はシンプルでした。昔からずっと車が好きで、どうせ働くなら自動車関係に行きたいという思いが強かったので、自動車関係に絞って就職活動をしていたイメージです。そうして入社したのがマツダでした。
「課長まで20年」は待てない
ただ、当時のメーカーは終身雇用が当たり前でした。自分のやりたい仕事ができるようになるのは、だいたい課長になってからだったんです。ところが調べてみると管理職になるまでには数十年かかるのが一般的で、「これは待てないな」と感じたんです。入社5年で転職を考え始めました。
独立へ、エンジニアとしての確信
ガソリンスタンド会社を経て
マツダを離れて2社目に選んだのは、1社目の経験を活かせるガソリンスタンド関係の会社でした。しかし、1社目とはまったく異なる環境で、大企業の仕事のやり方が通用せず、キャリアで一番悩んだ2年間でした。ただ、この時期にもがき葛藤したからこそ、「相手目線に立たなければ仕事はできない」という意識が芽生えたのも事実です。
Windows 95の時代からエンジニアへ
もともとパソコンを自分で触るのが大好きだったので、独学で勉強してエンジニアを目指したいという気持ちがずっとあったんです。ちょうどWindows 95が発売された頃にソフトウェア開発を手掛ける小さな会社に転職し、そこからエンジニアとして働き始めました。
「自分で稼げる」という確信
エンジニアとして6〜7年仕事をしていくなかで、ITって本当にすごいなと思っていました。仕事はたくさんあるし、自分が勉強したことがそのままお客さまにとってプラスになる。そういう仕事が本当に楽しくて。そしてITの仕事というのは、個人の能力や経験がすごく活きる。これがあれば、独立してもやっていけるんじゃないかという感覚が出てきたのが、まず最初のきっかけです。
働く環境への問題意識
当時のエンジニアはいわゆる客先常駐という形での仕事がほとんどでした。その働き方に対して疑問を持っている人もいたし、改善すべき余地があると感じていて。せっかくこの業界に入って、チャンスもあるし、独立にも挑戦しやすい。だったら独立して、エンジニアとしての経験を活かしながら、働き方の問題を解決できる会社を作れたらいいな、というのが独立した経緯ですね。有限会社という形でスタートしました。
1人から1,000名超へ
未経験者採用という突破口
今となって振り返ってみると、どうして当時あんなに成長できたのかというと、シンプルにエンジニア未経験者を積極的に採用し、教育してからお客さまに配属し、現場で経験を積ませるという仕組みを作ったんです。当時、エンジニア不足のなかで自社育成というスキームをやっていたのは、おそらく当社が初めてだったと思います。最初はほぼゼロからのスタートでしたが、このやり方へのニーズがとても大きかった。エンジニアを目指す人にとってもメリットがあるし、お客さまにとってもメリットがある。そのバランスがうまく決まって、成長できたんじゃないかなと思います。
エンジニアの環境改善が原動力
元々、働く環境を改善したいという気持ちがすごく大きかったんです。それに対してチャレンジしていくなかで、ある程度の成果が出たりとか、世の中の動きとしても後押しがあったりとか。当時に比べると、エンジニアの環境は本当に改善されたなと今は思います。弊社がやってきたことが少しはプラスになっているんじゃないかなと感じています。
AI DRIVEN COMPANYとしての今
AIとインフラ、セキュリティに注力
AIに注力しているのは間違いありません。基本的には「AI DRIVEN(社員一人ひとりが日常業務の中でAIを当たり前のように活用できる状態)」というかたちで動いています。AIと優秀な人材を組み合わせることで、2倍~3倍、もっと言えば5倍~10倍というアウトプットを出すことができると感じています。それを世の中に対して価値として届けられるようにしたい。
今特に注目している業種はインフラ系です。インフラ領域のAIはまだそこまで進化していないので、チャンスがあると思っています。加えて、セキュリティ分野。外圧として需要が圧倒的に大きくなるのが見えているので、先行できるかたちで進めていきたいです。
テレワーク推進は創業からのテーマ
10年ほど前から在宅勤務・テレワークを推進してきました。「働く環境の改善」というのは弊社を立ち上げた時からのテーマなので、AIとの2本立てで進めていきたいと思っています。最近また出社回帰の動きも聞きますが、弊社としてはこれからもテレワークを進めていく考えです。
社内AI教育の取り組み
ChatGPTが出てきたときに「これはすごいものが出てきた」と感じて、すぐに社内でAIの勉強会を開きました。その後間もなく、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が生成AIパスポートという資格試験を始めたんですが、これを1000名以上の社員に取ってもらっています。あとは毎月、AIを使った「いいね事例」を集めて、ナレッジを共有する場を設けたり、新しいサービス開発のアイデアを出し合うような勉強会を月1で定例化したりするなど、AI教育にかなり力を入れています。
変われる会社、チャレンジできる環境
部署を移動できる制度もあって、変わりたい人が手を挙げれば社内での異動ができる仕組みも試しています。新しいサービスのアイデアコンテストを開いたり、年に1回活躍した社員を表彰するMVP制度もあります。変わること、変われることを大事にしているので、そういう素養がある人にとっては働きやすい環境だと思います。
在宅でも結果を出すことが前提
在宅だと管理しきれないとか、サボっているんじゃないかという見方をされるのも間違いなくあります。ただ、弊社が在宅勤務を推進できているのは、「結果さえ出れば、どこで働いてもいい」というシンプルな考え方があるからです。結果を出すことが前提。その分、働く場所の制約を少しでもなくしたいと思っています。
未来に何かを残したい
AIの変革期に若者へのメッセージ
今はまさに、若い世代にとって絶好のチャンスの時代だと思います。AIによって変革が起きる、これは間違いない。こういう変革の時期でないと、成長する機会はなかなか見えづらいんです。AIを活用することで、これまでエンジニアとして10年~20年の経験が必要だったことが、経験のない人でも追いつける可能性がある。未経験の学生でも、トップクラスのエンジニアにすぐ追いつけるツールが今あるわけですから。
まずは自分でどんどん使いこなしてみる。そのうえで、どういう仕事において先輩との差を埋めることができるのかを理解していく。それが以前よりも圧倒的に速いスピードで実現できるので、そのチャンスをぜひ生かしてほしいなと思います。
好奇心がある人と働きたい
一緒に働きたいのは、やっぱり好奇心が強い人ですね。AIが出てきた時もそうですが、新しい技術に対して、拒否感を示す人と興味を持つ人に必ず分かれます。否定から入る人はやっぱり伸びない、というのが見ていて明らかです。まずは興味を持って触ってみる、そこから何か肯定的な動きをしてもらえる人と一緒に仕事をしたいですね。
未来に価値を残すために
いかに未来に対して価値を残していけるかということが今一番大事だなと感じています。AIとエンジニアの技術で、未来に対して何か価値のあるものを残したい。それが今、私が一番やりたいことになっています。
編集後記
河原さんのお話を聞いていて、一番印象に残ったのは「変革の時期にいかにチャンスをつかむか」というメッセージでした。エンジニアの働く環境を変えたいという思いで有限会社を一人で立ち上げ、今では1,000名を超えるグループになった。その裏には、時代の変化を拒否せずに飛び込み続けてきた行動力があったんだなと感じます。AIによって経験年数の差が縮まる今、私たち学生世代は先輩よりもフラットなスタートラインに立てるかもしれない。その可能性を、河原さんの言葉があらためて気づかせてくれました。まずは使ってみること、その一歩を踏み出したいと思います。