インタビュー

33年勤めた外資系を離れ、日本人が世界で輝く場をつくる

33年勤めた外資系を離れ、日本人が世界で輝く場をつくる
PROFILE
株式会社LeadGL 代表
岩田 俊之

株式会社LeadGLで代表取締役をしている岩田俊之です。企業向けに、海外でも通用するリーダーを育てる研修事業を手がけています。英語を教えているわけではなく、日本人がもっと世界にインパクトを出せるようにする、ということが私たちの会社理念です。

日本人はもっと世界で活躍できる

英語を教えているわけではない

日本でとても優秀な人でも、世界に出るといまいち活躍できないことが多い傾向にあります。技術や知識はあるのに、それをうまく伝えられない。そのような展開を救いたいという思いが、私たちの会社理念です。日本人はもっと世界にインパクトを出せるはずだと、私は思っています。

外から日本を見ていた33年間

私は30数年ずっと外資系の会社へ勤め、海外にも合計11年ほど住んでいました。基本的に英語の職場で過ごしてきました。日本に住んでいるときでも、感覚としては外から日本を見ている状態で、英語のニュースで日本がどう伝えられているか・日本が海外のニュースをどう伝えているか・現地のメディアが同じニュースをどう伝えているか、という比較で追っていました。

海外へ出ると、日本人だけの世界に閉じこもってしまう方が多いのを、もったいないと感じていました。現地に溶け込めず、自分たちの世界だけで固まってしまう。日本には品質のよいものや機能的に優れたものがたくさんある。たとえば、新幹線をはじめとする「一分の遅延でもお詫び放送が流れる」ほどのサービス品質を、世界にうまく売り込めていない気がしています。

起業してからの2年間、売り上げはゼロだった

中高生向けでは反応は薄かった

最初は中高生向けに英語でリーダーシップ教育をおこなうことを考えていました。ですが、お客様の反応は乏しいものでした。

学校営業では会社が回らない

そこで今度は私立の高校に営業をかけました。たまたま一校だけ話がとんとん拍子に進み、契約が決まったのです。ただ、学校の場合はそもそも話を聞いてもらうこと自体が難しいうえに、契約が決まっても導入は翌年の春から、という話になる。これでは会社が回っていかないと感じました。

グロービスでの経験がすべてを変えた

ボランティアで見えた本当のニーズ

経営大学院の英語コースでクラスメンターをボランティアでやっていました。クラスでの発言を躊躇している方の背中を押したり、終わった後の飲み会で、彼らにMBAをやりきるために自分の経験を共有したり、相談に乗ったりする役割です。

私が思っていた以上に英語で苦労している人が多いことに気づきました。コツやマインドセットを教えるようになりました。この人たちのために何かできることはないかと思い、大人向けのコースを作ろうと思い立ちました。

募集したところ、何人か集まってくれました。三クラスほど、3人、4人といった少人数でしたが、これは当社にしかできない、とてもユニークな強みだと確信しました。

個人向けから法人向けへ

個人向けだけでは、集客がとても大変でした。そこで今度は企業向けに展開していくことを決めました。

研修と一対一コーチングを繰り返すサイクル

すべて英語、日本語は禁止

今おこなっているのは、企業向けに海外でも通用するリーダーを育てる研修です。一般的にイメージされる研修とは違い、研修を受けて実際の仕事に応用してもらい、翌週にワンオンワンコーチングをおこない、また研修に戻るというサイクルを繰り返します。すべて英語でおこない、日本語は禁止です。

対象は「ある程度英語を使える方」

対象になるのは、外資系企業の日本支社や、日系の大手企業です。すでに海外と連動してビジネスをしている企業が中心となります。

まったく英語を話せない方は、実は受け入れていません。ある程度仕事で英語を活用しているうえで、苦労している方が対象です。TOEICのリスニングとリーディングで高得点を取っていても、仕事ではまったく話せないという方は多いのです。ボキャブラリーも文法も理解しているのに、話せない。そうした方が非常に多いと感じます。そういった方たちを支援しています。

拡大期に必要なのは「仕組み化」

手作業だった講師契約とクラス運営

会社のビジョンは創業当時からまったく変わっていません。「世界のあちこちで日本人が活躍できる未来」それが私たちのビジョンです。

一方で今後事業を急激に拡大していける可能性も見えてきた今、経営課題としてシステムづくりが欠かせないと感じています。人事マネジメントをどうするか、新しい講師をどんどん契約してクラスを増やしていくときに、これまで手作業でおこなっていたクラスのセットアップなどを、きちんと仕組みにしていく必要があります。

認知拡大はこれから

これまでの顧客は、すべて私個人の知り合いから始まっています。近いうちに事例紹介記事を公開して、それをSNSマーケティングに乗せていけば、認知が広がり問い合わせが増えると期待しています。ちなみにSNSは経営者や外資系マネージャーなどが普段使われているLinkedInを軸にしています。

質の高い講師を見つけることの難しさ

求めるのは経験とコーチング力

もう一つの課題が、質の高い講師を探すことです。やりたいという人はたくさんいますし、時間給もかなりの額を用意しています。ですが、外資系でリーダーポジションを長年経験していて、英語でディスカッションやファシリテーション、ワンオンワンコーチングができる人でないと務まりません。ワンオンワンコーチングでは英語を教えているのではなく、相手の日々の仕事の話を聞いているので、それに対応できる人でなければいけないのです。

講師についての考え  

二十代の講師はどうかと聞かれた際、私は、基本的には難しいと考えています。経験がまだ足りないからです。

現在、共同経営者は私を含めて四人います。ただ、フルタイムで働いているのは私だけです。創業当時からのメンバーが私ともう二人いて、もう一人は、営業のエキスパートとして最近加わってくれたメンバーです。

失敗を恐れず、自分が信じる道を進む

一歩を踏み出せない学生や、何をしていいかわからない学生へ伝えたいのは、まず何でもいいので行動してみる、ということです。失敗を恐れないこと。本当の学びは失敗からしか生まれてこない。

本を読んで学ぶことにも価値はありますが、それは誰かの知識を受け取っているだけです。これから必要なのは、自分で行動して新しいことに気づく力だと思っています。AIがどんどん賢くなっていく時代、人から教えてもらう、本から学ぶということの意味は相対的に小さくなっていきます。もちろん基礎知識としての読書や勉強には意味がありますが、それだけでは足りません。

特に、まわりから「それはやめておけ」と言われることほど、やる価値があると思っています。私自身、中学や高校のころから、まわりに反対されるようなことをやんちゃにやってきました。それがある意味、リーダーシップだったのかもしれません。技術畑にいると「もう無理だ」と思う場面がたくさんありますが、そこを研究していくと、あとから振り返って「なるほど、そうだったのか」とわかる方法が見つかるものです。見つかるまでは、誰も気づかないものです。自分が信じることを、まわりの反対を押しのけてでもやっていく。それが成功へつながる大事なことだと思っています。

編集後記

早稲田大学三年生です。今回のインタビューでは、三十三年間という長い時間を外資系企業で過ごしたあとに起業するという、なかなか聞くことのできない決断のお話を伺うことができました。特に印象的だったのは、失敗を恐れずに行動することの大切さです。学生のうちは、つい安全な選択肢を選びがちですが、まわりから反対されることにこそ挑戦する価値がある、という岩田さんの言葉は、私自身の背中も押してくれるものでした。海外で見える景色や文化の違いについてのお話も新鮮で、視野を広げるきっかけになりました。