学生時代の挑戦から始まったマイセンド
家族に支えられた創業
幼少期はブラジルのサンパウロで暮らしていました。中学時代からいろいろなことに取り組んでいて、高校に入ったころには、自分がやってきたことをもっと広げてみたいという気持ちがあったんです。それまでの活動を事業としてやってみたいと思い、大学1年生のときにマイセンド株式会社を創業しました。
中学時代には1年半ほど寝たきりで、1日のうち元気に過ごせる時間が1時間くらいしかない時期もありました。両親には起業への挑戦を認めてもらい、機材を少しずつ購入する際にも、親からの借り入れを含めて協力してもらいました。大学は卒業しています。
仲間とつくった会社
創業当時は大学の友人たちと会社のロゴやサイトをつくり、最初の案件も一緒に進めていました。今も当時のロゴを使っているんですよ。その後は、友人の紹介などを通じて出会った、より専門的に取り組んでいる人にも取締役として入ってもらいました。
取材時点では正社員はまだ採用しておらず、経営陣は私を含めて3名です。恩師にも取締役に入っていただき、ファイナンスの面で現在、関わってもらっています。大学時代の友人とのつながりも続いていて、教育に関わる新しいものを一緒につくろうという話もしているところです。
見せ方ひとつで、伝わる価値は変わる
映像を軸にした表現
人や地域、企業は、見せ方ひとつで大きく変わると思うんです。ホームページや動画を見たときの印象から、学生も含めて、ある程度その会社の雰囲気を感じ取れる時代ですよね。弊社では、映像を通じてどう見せるかというところに挑戦しています。
主な事業は映像制作です。Web CMの制作やライブ配信、SNSの運用に加え、コンテンツのコンサルティングも手がけています。映像をつくるだけではなく、そのコンテンツをどう届けるかも含めて関わっています。
地域で積んできた実績
たとえば、ワイン会社のプロモーション映像や、山梨のサッカークラブのYouTube(ユーチューブ)動画などを制作し、行政の案件などにも関わってきました。配信業務では山梨県の仕事を受けることも多く、さまざまな映像の見せ方に取り組んでいます。
山梨では学生起業が珍しかったこともあって、地元メディアや日本経済新聞などに取り上げていただきました。自分としては会社を立ち上げたということなんですけど、若いからこそ注目していただき、実績を積めた面はあると思っています。
相談相手を探す難しさ
一方で、同世代には同じようなことをしている人があまりいなくて、誰に相談すればいいのか、自分の悩みをどこで消化すればいいのかという難しさはありました。
仕事は、主に人からの紹介を通じて広げてきました。ものをつくって実績を少しずつ増やし、次につなげてきたという感じです。取材時点では営業体制をまだつくれていないので、これからどう整えていくかは課題だと感じています。
学んできた特別支援教育を、次の形へ
学びをこれからの取り組みへ
大学で学んできたのは特別支援教育です。その経験を活かして、これから教育関係の取り組みも行なっていきたいと考えています。
AIと向き合い、自分たちの哲学を持つ
映像に残したい温度
AIが出てきたことで、私たちがつくる映像にはどんな価値があるのかを考えなければいけないと感じています。口で表現するのは難しいんですけど、空気感や温度感のようなものがあると思うんです。
人間にはしわもほくろもあって、完全なものではありませんよね。AIはきれいに映すことが得意だと思うので、そこに対して、人間らしさや、そのものが持つ本質的な価値とは何なのかを意識しています。
コンテンツにどんな価値があるかだけでなく、何を大事にしてつくるのか。人間の匂いなのか、美しい光の表現なのか。すべてにおいて、自分たちなりの哲学を持っていきたいんです。表現するとは何なのかを考えながら、今つくるコンテンツを磨いていきたいと思っています。
映像だけにとどまらない
同時に、AIの技術は本当にすごいので、どう一緒に使っていくかも考えています。社内で使うシステムや、外部のクライアントとやり取りするシステムを自社で開発するなど、映像業界ならではの知見を生かしたソリューションづくりにも取り組んでいます。
映像はものを伝えるコンテンツとして価値がありますけど、それがすべてではないと思うんです。何かを伝えるときに、複数の表現を組み合わせたコンテンツの制作にも挑戦してみたいですね。
やってみたい気持ちを、小さな一歩に
違う視点で一緒につくる
弊社に関わってみたい、興味があるという方とは、一緒にものをつくってみたいです。私自身、これまでは周りを巻き込むことが十分にできていなかったので、皆さん一人ひとりが持つ視点や、面白いクリエイティブを組み合わせたコンテンツをつくってみたいと思っています。
挑戦を押しつけない
高校などで講演する機会もあるんですけど、今は物事に取り組みやすく、挑戦しやすい時代だと感じています。学生の期間は守られていて、失敗も成功の糧になる大切な時間だと思うんです。
やってみたいことがあって悩んでいるなら、少しやってみる。時間やお金の面ではマイナスになったとしても、長い目で見れば人生のプラスになると思っています。
ただ、誰にでも「チャレンジしろ」と言いたいわけではありません。やってみたいことがある人にとって、一歩踏み出すことは勉強にもなりますし
、人生観を変える経験にもなるのではないかと思うんです。挑戦したいけれど、どうすればいいかわからないというときは、ご連絡いただければと思います。
編集後記
学生起業にも関心を持つ大学3年生として印象に残ったのは、小川さんが挑戦を勧めながらも、誰にでも押しつける言葉にはしなかったことです。友人とロゴやサイトをつくり、紹介から実績を重ねる歩みには、自分にも考えられる一歩がありました。また、映像制作と特別支援教育という異なる分野を、ご自身の経験からつなげようとする姿勢も学びになりました。AIを活用する一方で、何を大事にして表現するのかを問い続ける。その両方を考えることが、これから仕事をつくる私たちにも必要だと感じました。