オハヨウプロダクションズ合同会社でクリエイティブディレクターをしている、代表・谷津郁騎 (やつ ゆうき)です。弊社は広告制作を中心としたクリエイティブ制作と、ウェブ広告の運用代行を手がける広告マーケティング、そして地方創生・地域活性化の3つの事業を軸に活動しています。今回は創業までの経緯や事業内容、そしてこれから就職活動をする学生のみなさんへのメッセージをお伝えできればと思います。
高校時代に見つけた「映像」という軸
サッカー部からデジタル放映部へ
高校時代、映像の世界に興味を持ったのがすべてのはじまりでした。それまで続けていたサッカー部をやめて、デジタル放映部という少し特殊な部活動に入りました。そこでNHK杯全国高校放送コンテストのテレビドラマ部門に挑戦して、脚本と監督を務めました。全国大会にも複数回出場していて、中編の映画を撮って映画甲子園に出場した経験もあります。
大学では広告学研究会で受賞を重ねた
大学に進学してからは広告学研究会というサークルに所属していました。アドフェスをはじめとする学生向けの各種コンペにも参加して、ありがたいことにいくつかの賞をいただいたりもしていました。この頃から広告というものづくりに、自然と向き合っていたのかなと思います。
セガサミーグループから独立まで
ダーツライブでIPタイアップを担当した新卒時代
新卒ではセガサミーグループの事業会社に入社しました。ダーツライブという、ソフトダーツの筐体を扱う会社です。ソニックやサクラ大戦、ペルソナといったSEGAのIPとのタイアップ企画やプロモーションを主に担当していて、手前味噌ですが、シーンの成長に少なからず貢献できたのではないかと思っております。
VOYAGE GROUPで新設事業部の成長に携わる
その後、ボヤージュグループ(現:CARTA HOLDINGS )に転職しました。ここでは新設事業部の初期成長を担う立場として、商品開発やブランド設計、ウェブマーケティングという側面から創業期を支える仕事をしていました。
コロナ禍、ラジオの言葉がきっかけで独立を決意
VOYAGE GROUPがCARTA HOLDINGSへ統合されるタイミングで、独立を決めました。弊社の創業はちょうどコロナ禍のさなかです。学生時代からよく聴いていたラジオ番組で、放送作家の小山薫堂さんが話していた「世の中の足りないところにテコ入れする」という考え方に強く共感していたことが根底にありました。新型コロナウイルスに関するニュースが続く時代に、自分がずっと関わってきたクリエイティブという強みで世の中を明るくすることを考えたい。そう思って起業を決意したのが、創業の経緯になります。
レッドカーペットへの憧れが原点だった
学生時代から起業や社長という立場に強い憧れがあったわけではありません。むしろ、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルという世界的な広告の祭典でレッドカーペットを歩くという夢がずっとありました。その夢への近道として、広告制作会社の太陽企画でインターンをしていましたし、人とのつながりを広げるために衆議院議員事務所でもインターンを経験しています。ここで培った人脈と、広告制作の技術やフローが、今につながっています。
3つの事業を掛け合わせて生まれる「余剰」が強み
弊社の事業は大きく3つの軸で構成されています。
1つ目はクリエイティブ制作事業です。テレビCMやウェブCM、商品キービジュアルやOOH広告 のデザインなど、広告を中心としたクリエイティブ制作を手がけています。
2つ目は広告マーケティング事業です。Yahoo!、Google、Meta、TikTokといったアドネットワークを活用したウェブ広告の運用代行や、そのインハウス化・内製化支援を行っています。
3つ目は地方創生・地域活性化事業です。インハウス化支援事業の延長として、地方に向けたマーケティングセミナーの開催や、弊社が得た知見・経験をライブで伝える活動をしています。ありがたいことにわかやま産業振興財団様とのお繋がりを契機に、「WAKA-CHEER」広報戦略アドバイザー という役割もいただいていて、県単位・自治体単位で中小企業を活性化させるための施策に携わっています。
広告宣伝費に「余剰」を生み出す仕組み
多くの企業では、動画制作費やインターネット広告費といった形で、広告宣伝費が多段階的に積み上がっています。弊社はクリエイティブ制作事業と広告マーケティング事業の両方を持っているため、企画・撮影・編集から運用・効果検証までをワンストップで対応できます。その分、トータルでかかっていた広告宣伝費をグロスで圧縮でき、余剰が生まれます。この余剰を内部留保や事業投資に充てていただけるところが、弊社の強みだと考えています。
地方創生こそ、最初にやりたかったこと
会社の出発点は「港」をつくることだった
実は弊社は、クリエイティブ制作会社やマーケティング会社としてではなく、地方創生・地域活性化をする会社としてスタートしました。最初に描いていたのは、地方の拠点にコワーキングスペースをつくり、それを「MINATO」と呼ぶ構想です。港は古くから文化や歴史が行き交う、情報発信や文化の源となる場所だと定義しています。そうした港を各地につくり、得意分野であるマーケティングや制作の面から支えていくというビジョンが最初にありました。
その根底にあったのは、自分自身が地元のヒーローになりたいという思いです。群馬県出身の私自身の話ではなく、いろいろな人が持っている「地元」というものを、企業体としてヒーローにしていきたい。それが、地方創生を先行させた最初の経緯です。
地元では当たり前の価値を、県外に伝える役割
和歌山県にて「WAKA -CHEER」広報戦略アドバイザー として活動する中で、地方にはよそから見ると魅力的な観光資源や地場産業、地場企業の技術力が眠っていて、地元ではそれが当たり前のように地産地消されている現実を目の当たりにしました。だからこそ、弊社の得意分野であるクリエイティブとマーケティングの知見をもとに、その価値を県外に伝える手段を一緒に考え、内向体質を外向思考に 変えるお手伝いをすることを大切にしています。
地方創生や地域活性化を掲げる企業の中には、伝統工芸や特産品をリブランディングして広めていく取り組みも多くあります。ただ、それが単発の取り組みで終わってしまうと、本質的な解決にはなりません。徹底的に考え抜くことを重視した結果、弊社は一度きりの支援ではなく、伴走型のモデルにたどり着きました。
コンペ文化がもたらす厳しさと、そこからの学び
創業してから今日まで、日々大変なことは尽きません。新規事業としてボールジョイントドールのフォトスタジオ事業に参入し、その後撤退した経験もありますが、それ以上に大変だったのは日々の業務そのものかもしれません。
私たちの業界にはコンペという文化があります。練りに練った企画や提案が、あっさりと見送られてしまうことも少なくありません。信頼関係を築いていたはずのお客様にお断りされることもあり、正直なところメンタルが削られますし、瞬間的なショックで立ち止まってしまう経験を積み重ねなければならない、残酷な一面を持つ仕事だと感じています。
バスケの神様に学んだ、失敗との向き合い方
こうした経験があったからこそ、会社を第二創業期に変えていく過程で、新しい評価制度を設けようとしています。それがチャレンジ数を軸とした評価制度です。
きっかけは、バスケットボールのマイケル・ジョーダンのエピソードを本で読んだことでした。圧倒的なパフォーマンスで世界を魅了し続けた彼も、キャリアを通じて9,000本以上のシュートを外し、およそ300試合に負け、ウイニングショットを任されて外したことが26回あったそうです。彼は、負けた直後の行動として「チャレンジには失敗がつきものだ」という理屈を逆手に取り、失敗数を成功の種として再定義していました。
このエッセンスを取り入れて、コンペで断られた、企画が通らなかったといったショックからすぐに立ち直れるよう、会社の制度としてフォローアップできる仕組みをつくっているところです。
目指すのは「日本一幸せに働けるクリエイティブエージェンシー」
弊社の理念は、『クリエイティブとマーケティングで世の中を明るくする』というものです。この根底にあるのが、日本一幸せに働けるクリエイティブエージェンシーを全員でつくるという考え方です。
世の中を「究極の他者」だと定義したとき、まずは自分自身の生活が安定し、欲求が満たされている必要があると考えています。家庭の安全、良好な人間関係、経済的な安心があってこそ、前向きに仕事に取り組めますし、そこではじめて他者への貢献という思考にたどり着けるはずです。だからこそ弊社は、社員全員が主体性と行動責任を持って説明責任を果たすことを前提に、自分の時間軸やルール、やり方で仕事をしてよいことにしています。クリエイティブとマーケティングを愛するすべての社員に、暮らしにも仕事にも快適さを感じながら自己実現してほしいですし、世の中に目を向けて足りないところにテコ入れできる業界人になっていってほしいと思っています。
優秀なフリーランスが安心して働ける「クリエイティブクルー制度」
今後の会社の成長という意味では、2026年10月から始める予定の「クリエイティブクルー制度」という新しい雇用制度が大きな柱になります。広告をはじめとするクリエイティブを愛してやまないクリエイターの多くは、さまざまな分野でプロフェッショナルな領域を持つ フリーランスとして活躍しています。この先もずっと安心してクリエイティブな仕事で生活していけるよう、安定的な基盤を持った会社にしていきたいという思いから生まれた制度です。
背景には、フリーランス新法の施行やインボイス制度の特例期間の終了など、社会制度が大きく変わっていく流れがあります。こうした社会の波に優秀なフリーランスの方々が巻き込まれてしまわないよう、制作会社として新しい制度をつくり、この先の将来不安を払拭した状態で、安心して創作活動に全集中できるような「新しい働き方」を設計する必要があるのではないかと考えました。 クリエイティブ業界で活躍する非課税事業者を対象とした特別社員制度、それがクリエイティブクルー制度です。優秀なフリーランスの方々を契約社員として雇用させていただき、 社会的なメリットや地位を確約したうえで、クリエイティブに真摯に向き合いながら生活を成り立たせられる土壌をつくること。これが、これからのオハヨウプロダクションズが目指す姿だと思っています。
この会社のよくある質問
- オハヨウプロダクションズはどんな会社ですか? クリエイティブ制作、広告マーケティング、地方創生・地域活性化の3つの事業を掛け合わせて、広告宣伝費のグロス圧縮という強みを持つ会社です。もともとは地方創生を目的として立ち上がった会社で、和歌山県内にて「WAKA-CHEER」広報戦略アドバイザーも務めています。
- どんな人が向いていますか? 主体性と行動責任を持って、自分のやり方で仕事に向き合える方だと思います。コンペ文化のように、努力が形にならないことも多い業界ですが、失敗を次への種として捉え直せるマインドセットを大事にしています。
- フリーランスの方でも関わることはできますか? はい。2026年10月から始まるクリエイティブクルー制度はフリーランスクリエイターを契約社員として迎え入れ、安定した基盤の中でクリエイティブに向き合ってもらうための制度です。
学生に伝えたいこと
キャリアという観点でお話しするなら、先ほどのコンペの話にもつながるかもしれません。バスケットボールのマイケル・ジョーダンほどの選手でも、9,000本以上のシュートを外し、300試合近く負け、ウイニングショットを26回も外しています。チャレンジには失敗がつきものです。だからこそ、たった3秒ほどで気持ちを切り替えて、次のアクションに移れるマインドセットをつくっていったほうがいいと思います。次にやるべき一歩目に焦点を当てて、できることからはじめてみる。そこに強靭なメンタルや特別な才能は必要ないと思っていて、それをすごいと言ってくれる仲間や、それを良しとしてくれる環境があれば十分です。同志だと思える人、この人とともに成功したいと 思える人とのつながりを増やしていく行動が、いちばん大事なのではないかと思います。あわせて「誰のために、何のために、なぜ、どうなりたいか」を自分自身に問いかけるセルフカウンセリングも、ぜひやってみてほしいです。
編集後記
今回お話をうかがって印象的だったのは、谷津さんの歩みが「映像への興味」からはじまり、広告、地方創生、そして今の3事業へと、一貫して「世の中の足りないところにテコ入れする」という軸でつながっていたことです。コンペで断られる厳しさを、マイケル・ジョーダンのエピソードから生まれた評価制度に転換していく姿勢からは、失敗を前提にした挑戦の仕方を学ばせていただきました。就職活動でも、うまくいかない経験は避けられないと思いますが、次の一歩に焦点を当てる姿勢を、私自身も大切にしていきたいです。