インタビュー

再生可能エネルギーの導入で「100年先も住みたい地球をつくる」レラテックの挑戦

PROFILE
レラテック株式会社 代表取締役
小長谷 瑞木

創業の背景と想い

「研究を、早くビジネスの現場へ」大学発ベンチャーとしての産声をあげるまで

弊社は、風力発電のための「風況(ふうきょう)調査」という、結構マニアックな分野を扱っているコンサルティング会社です。もともと私は環境調査や再生可能エネルギー全般のコンサルティングに携わっていたんですが、風況調査についてもっと深く勉強したいと思い、社会人ドクターとして神戸大学に通っていました。

そこで研究を続けるうちに、洋上風力発電の分野においては、まだまだ解決すべき課題が多いことに気づいたんですよね。新しい技術をいち早くビジネスの場でサービスとして提供する必要があると感じたんですが、風況調査に特化した会社でないとなかなか実現が難しくて。それで、神戸大学発のベンチャー企業として「レラテック」を立ち上げたんです。2021年からは大学の認定ベンチャーとしても登録されています。

信頼ゼロからのスタート。個人としての繋がりが支えになった

創業当初、一番苦労したのはやっぱり「実績」ですね。私自身はこの業界で長く仕事をしてきましたが、会社としてはゼロからのスタート。特に国などの大きな事業は、実績がないとエントリーすらできないという現実もあって。

最初の1、2年は、本当に信用ベースで泥臭く売り上げを立てるしかありませんでした。幸い、創業メンバーを信頼してくださっていたお客さまが声をかけてくださって。実績がないなかでお仕事をいただけたのは、本当にありがたかったですね。

事業モデルと技術の優位性

「気象 × ICT」で、シミュレーションからコンサルまで一気通貫

現在は100% BtoBで、風力発電事業を行う発電事業者さんや、国主導の研究開発プロジェクトがメインのクライアントです。競合との一番の違いは、神戸大学との産学連携であり、その一つの形が青森県のむつ小川原洋上風況観測試験サイト(https://mo-testsite.com/)ですね。

気象学をバックグラウンドにした最新の研究成果に基づいた観測やシミュレーション・解析の技術、そしてそれらを活用したコンサルティングをセットで提供できる。学術側の研究成果からこれらの技術を常にアップデートしてサービスに落とし込めるのは、うちの大きな強みかなと思っています。最近では、観測データのモニタリングを目的としたSaaS製品の開発・リリースにも力を入れているんですよ。

組織・採用へのこだわり

「自発的に動けるチーム」を目指すティール組織の概念

組織づくりに関しては、最初から「ティール組織」という形を意識していました。上意下達のピラミッド型ではなく、メンバーが自発的に自分の頭で考えて動ける、そんな組織です。

現在は東京に6割、神戸に4割くらいのメンバーがいて、技術職はやはり理系・工学系のバックグラウンドを持つ人が多いですね。ただ、事務職や今後の営業職、マネジメント職などは文系・理系にこだわらず採用しています。一番大切にしているのは、私たちのミッションやビジョンに共感してくれること。自分たちで「新しい道」を開くことを楽しめる人と一緒に働きたいですね。

今後の展望と学生へのメッセージ

洋上風力が日本の未来を変える。未整備の市場こそが面白い

レラテックのビジョン「100年先も住みたい地球(まち)をつくる。」に表現されるように、持続可能な社会形成に取り組んでおり、そのなかで再生可能エネルギーは重要な位置づけです。これから日本では「再生可能エネルギーの切り札」として「洋上風力」が沖合に導入されることが期待されます。でも、国は推進していても、実は技術や制度など追いついていない課題が山積みなんですよね。

裏を返せば、まだ線路が敷かれていない市場だということです。整備された場所で仕事を見つけるのではなく、自ら道を作っていく。そのプロセスを「楽しい」と思える人には、今の風力発電の分野はむちゃくちゃ面白いと思いますよ。

「新卒カード」に縛られず、学び続ける姿勢を持ってほしい

学生のみなさんに伝えたいのは、とにかく色々な挑戦を忘れないでほしいということです。日本の新卒一括採用のシステムには疑問を感じていて、もっと社会を見たあとに自分に合う場所を選んだり、必要ならまた学び直したりすればいい。

私自身、修士を休学してアイルランドへワーホリの経験をし、30代になってからドクター(社会人学生)を取りに行きました。何歳になっても積極的に学ぶ姿勢(リスキリング)を持っていれば、選択肢はどんどん増えていきます。一つの会社に入って終わり、ではなく、外の世界を見て、人に会い、足を運んで、自分の可能性を広げていってください。

 

編集後記

今回、小長谷社長のお話を伺って一番印象に残ったのは「学び続けることへの柔軟さ」です。大学院へ戻り、研究成果をすぐにビジネスとして社会に還元しようとする姿勢は、ビジネス未経験の私にとって非常に新鮮で、かつ泥臭い情熱を感じました。

「実績がないから仕事が取れない」というベンチャー特有の壁を、個人としての信頼で乗り越えてきたというお話からは、スキルの前にまず「人としての信頼」を築くことの重要性を学ばせていただきました。

また、就活システムへの違和感やワーホリの経験など、既存のレールに縛られない生き方は、就職活動を控える私にとって「もっと広い視野でキャリアを考えていいんだ」という勇気になりました。将来、私も専門性を武器にしつつ、変化を楽しめる社会人になりたいと強く思いました。