起業への道のり
秘書になるつもりはなかった
金融機関を退職した後、「本当にやりたいことをするために会社を辞めた」のに、たまたま「秘書になってくれないか」と声をかけられたんですよね。だから最初は秘書がやりたかったわけじゃなくて。5年くらい経った時に、やっとその本質がわかってきたみたいな状態でした。
そこから面白いなって思い始めて、7年ほど経った時に「あれ、秘書の仕事にはまりすぎてる」って自分で気づいたんですよ(笑)。私はもともと秘書じゃなくて、女性のサポートがしたくて会社を辞めたのに、秘書に没頭してる場合じゃないって。
「コピーロボットを売るのが一番いい」
そこで改めて「女性のサポートって何ができるかな」と悩んでいた時期が1年半から2年くらいあって。美容が好きだったからアフィリエイトとかも試してみたんですけど、その当時10年以上一緒にサポートさせていただいていたボスから「俺は宮下さんのコピーロボットを作って売るのが一番いいと思う」って言われたんですよね。優秀な秘書がいなくて困っている経営者が周りにいっぱいいるから、ってことで。
それで秘書の育成を始めてみたら、秘書って奥が深くて面白くて。しかも秘書に特化している人ってあんまりいないんです。そこにどんどんはまっていって、今に至るという感じです。
なぜ「秘書」にここまで情熱を注ぐのか
孤独じゃなければ人は死なない
社会人として働く中で、メンタルを病んでしまったり、自ら命を絶ってしまったりした人が、身近ではないけど知っている存在の中にいたんですよね。「人って何で死んじゃうんだろう」ってすごく考えた時があって。
「人って最終的に孤独じゃなかったら死なないんじゃないか」って思ったんです。だから孤独じゃないように寄り添う仕事がしたいと思って、最初は心理カウンセラーになりたくて退職したんです。秘書になっちゃったんですけど(笑)。
秘書は経営者の「命を救う仕事」
でも秘書の仕事を続けていく中で、「秘書って究極、経営者の命を救う人なんじゃないか」ってくらいの気持ちになってきたんですよね。
経営者って孤独じゃないですか。周りの人に言えないことも、私にだけは話してくれるみたいな場面が結構あって。秘書の仕事って「今日もありがとうね」って言われるんですよ。大したことはしてないけど、その人を応援できて、しかも応援したい気持ちで仕事をしているのに感謝される。秘書側の幸福度もすごく高いなって感じていて。
秘書というコンテンツを通して、自分が叶えたかった世界を実現できるということに気づいた。だから今、秘書をやっているという感じです。
事業内容と目指す世界
「1経営者に 1 秘書」の世界を目指して
今は、株式会社 Secretary という秘書専門の会社を経営しています。元々は一般社団法人ママ秘書協会という法人を立ち上げたところからスタートして、今は事業を統合している形です。
メインのサービスは、子育て中のママさんたちがやりがいを持ってスキルアップしたいという方に向けたスクール&コミュニティです。そこで学んでいただいた方を経営者にご紹介していくというのが主な事業の流れですね。他にも秘書のイベントや人材紹介、業務の請け負いなどもやっていますが、メインのブランドはやっぱり「秘書」です。
秘書という選択肢を日本中に広める
秘書って夢を掲げて会社を立ち上げた人の、誰よりもそばでサポートができる仕事なんですよね。しかも、自分がいつか起業したいと思った時に、経営者とのお付き合いの仕方やマナーがわかった上でスタートできるのは大きい。経営者とのコミュニケーションを取れたら大体のコミュニケーションは取れますから、人生においても生きてくるスキルだと思っています。
秘書で仕事をしたことがある人って、「今までの仕事の中で秘書が一番楽しかった」という人が結構多いんですよ。でも日本では秘書の認知がまだまだ低い。経営者にとっても、働く女性にとっても、「秘書という選択肢」をきちんと持ってもらいたい。それが今の一番の目標です。
「秘書といえば宮下さんだよね」って思い出してもらえるように、認知を広げていきたい。秘書のイベントも定期的に開催していて、上場企業の社長さんも来てくださったりするんですが、そういった場から秘書への関心が少しずつ広がっていけばいいなと思っています。
大学生にも「秘書」を知ってほしい
高校生や大学生、就職活動前の若い人たちに知ってもらえたらすごく嬉しいなって思っていて。11月に表参道で秘書だけを集めたイベントを予定していて、秘書に興味のある大学生と秘書がリアルに触れ合える場も作れたらと考えています。普通に社長を紹介してもらえるような場になるかもしれないですし、就職先のご縁につながることだってあると思う。
学生へのメッセージ
失敗は先にした方がいい
人生って、いろいろ想像して不安になって一歩踏み出せないことって多いと思うんですけど、想像した未来になることって 100% ないんですよね。いいことであっても悪いことであっても。
私はいろんなことをちょっとずつ歩いてきた中で、本当に「これだ」というものに出会えた。だから、失敗は先にした方がいいと思っています。起きるかどうかわからない不安を抱えるより、今楽しいことや今やりたいことを選択していくと、すごく楽しい未来になるんじゃないかなって。
編集後記
今回のインタビューで印象的だったのは、宮下さんが「秘書」という仕事を単なるキャリアとしてではなく、「孤独な経営者を救うツール」として捉えていたことです。心理カウンセラーを目指していたという過去と、今の秘書育成事業が、実は一本の線でつながっていることに気づかされました。事務代行や業務効率化ではなく、「心理的安全性」や「寄り添い」を軸に置くという視点は、これからの働き方やビジネスにおいても非常に示唆深いと感じています。また、就活前の学生が秘書インターンとして経営者と接点を持てる場があるとしたら、キャリアの選択肢が大きく広がりそうで、純粋にわくわくしました。