喘息で「何もできなかった」絶望の学生時代
人生を変えてくれた人への恩返しが原点
私はね、もともと病気だったんですよ。喘息(ぜんそく)で本当に死ぬ思いをしていて、やりたいことが何一つできなかった。学校すら行けなくて、友達もできないし嫌がらせにもあう。正直、人生どん底でした。そんな私を救ってくれた人がいたんです。経営者って、何かのきっかけで「できない自分」が「できる自分」に変わる瞬間を経験している人が多いと思うんですけど、私もまさにそうでした。
医師免許はただの「信用という名の名刺」
「医者」という肩書きは、実は私にとって名刺代わりでしかないんです。息子にも「ライセンスはあったほうがいいけど、それにしがみつくな」と言っています。医者や弁護士という看板があれば、ある程度信用してもらえる。でも、大事なのはその先で何をするか。資格があるから偉いんじゃなくて、その信用をプラスアルファとしてどう使うかが重要なんですよね。
「脱・医療」を掲げ、選べる人生を教育する
医療業界を「学生が憧れる職業」へ
以前は「学生が憧れる医療業界にしたい」という理念を掲げていました。でもスタッフから「私たち自身が変えたいんです」という声が出てきて。今は「脱・医療、医療業界の未来基準になる」という言葉に進化しました。医療の枠を超えて、私たちが未来の基準になれば、子どもたちも今の大人も生き生きと働ける。そう信じています。
成長できないなら「俺の責任」
私が開業した最低限のラインは「選択できる人生、人から必要とされる人生を歩める教育をすること」です。もし、うちに来て成長できないスタッフがいたら、それは全部私の責任だと思って経営しています。最近は「3年で辞める時代」なんて言われますけど、離職率よりは成長率を意識しています。ついてきてくれる人には成長を約束するし、その覚悟で向き合っています。
信頼を勝ち取る「守破離」の考え方
1〜2 年目は「ハイかイエスか喜んで」でいい
うちの採用の特徴は、過去に劣等感がある人が多いことです。私自身がそうだったから、悔しい思いをした人を自信が持てるまで引き上げたい。まずは「課業(決められた仕事)」 を徹底的にやることです。1 年目からオリジナルを出すのはNG。なぜなら、まだ信頼がないから。試験と同じで、正解があるものを完璧にこなして「仕事が早いね」という信頼ポイ ントを貯めることが先決なんです。
失敗してもいい「失敗予算を事業計画に」
信頼が貯まれば、次は「破」です。入社 3 年目くらいで、数百万円のプロジェクトを任せることもあります。うちは SNS マーケティングにも力を入れていて、Twitter(X)のフォロワーが 1 年で 2 万人増えたりしています。こういう挑戦の場はいくらでもある。マーケティング予算として「数百万円くらい失敗してもいいからやってみな」と言える環境を作っています。医療業界でここまで自由にやらせてくれるところは、他にない自負がありますね。
価値提供の極意は「1,000 円もらって 1,200 円返す」
患者さんの「期待」を超えるのは当たり前
どうして患者さんに選ばれるのか。答えはシンプルで、いただいた以上の価値を返せばいいだけ。1,000 円払って1,200 円分の価値を感じたら、ファンになるじゃないですか。うちは外来で月に5,500 人ほど来院されますが、それはスタッフがクオリティを下げずに価値を提供し続けている結果です。
毎日全スタッフでトラブルを共有
患者さんの満足度を高めるために、チャットツールで毎日「インシデント・アクシデント」を共有しています。5,000 人も来れば、全員が納得するなんてありえない。だからこそ、起きたトラブルを隠さず、報告する。月 1 回もインシデント報告会や毎週の幹
部ミーティングで擦り合わせる。この地道な積み重ねが強い組織を作っているんです。
医療の壁を壊し、誰もが活躍できるブランドを国が価格を決める業界だからこそ「B to B」へ
医療業界の大きな課題は、価格を国が決めていること。銀座でも田舎でも値段が同じ。自分たちで値上げができないから、スタッフの給料を上げる原資が限られてしまう。だからこそ、私は新しいビジネスモデルが必要だと考えています。異業種とのジョイントベンチャーや、医療に特化した採用支援・教育コンサルなど、外貨を稼ぐ仕組みをどんどん作っていきます。
「勝榮会出身」というブランドを世界へ
私の理想は、私自身が「お飾り」の理事長になること(笑)。責任は私が取るから、みんなは予算を使ってどんどん挑戦してほしい。そして「医療法人社団勝榮会」で働いていました」と言えば、どこに行っても「ぜひうちに来てくれ」と3倍の給料でスカウトされる ような、そんなブランドを作りたい。劣等感を糧にして、自分の人生を切り拓ける人を一人でも多く増やしていくのが、私の人生の恩返しです。
編集後記
今回のお話を通じて「劣等感は最大の武器になる」という言葉が強く心に刺さりました。 私自身、周りと比べて焦りを感じることが多いのですが、「どん底を知っているからこそ、それがストーリーになり、強みになる」という理事長の哲学に、大きな勇気をもらいました。
特に印象的だったのは、1,000 円もらって1,200 円の価値を返すという「期待を超える」姿勢です。これはビジネスの基本でありながら、最も難しいことだと思います。また、若手に 「失敗してもいいからやってみな」と数百万単位の予算を預ける度量に、圧倒されました。
将来、自分が社会に出たときも、まずは「ハイかイエスか喜んで」の精神で信頼を貯め、いつか「自分にしかできない価値」を提供できる存在になりたいと強く感じました。医療業界のイメージがガラッと変わる、熱い時間でした。