インタビュー

見えない地図データを、経営の力に変える ― GISと業務改善を両輪で走る株式会社SOCOの挑戦

見えない地図データを、経営の力に変える ― GISと業務改善を両輪で走る株式会社SOCOの挑戦
PROFILE
株式会社SOCO 代表取締役
上野 操子

創業までの道のり

森林を学び測量会社へ

大学では森林を専攻していました。林業や測量など、学生時代に学んでいた内容を仕事につなげられないかと考えて就職先を探し、新卒で航測会社に入社しました。航測会社は、飛行機やヘリコプター、ドローン、人工衛星などを使って空から地上を撮影・計測し、地図を作ったり、地形の3次元データ(空間情報)を収集・解析したりする企業で、私はその中の森林部門に配属され、三年ほど働いていました。

激務の先に見えた景色

かなり激務な部署にいて、体調を少し崩してしまったこともあり、このまま同じ会社でやっていく未来があまり見えないなと感じるようになりました。仕事自体にはやりがいを感じていましたし、とても楽しい仕事ではあったんですけど、仕事以外のプライベートも充実させたいという気持ちが強くなって、会社を辞めることにしました。

フリーランスからの再スタート

辞めた時点では、起業しようと決めていたわけではなく、まずはフリーランスという形で二年ほど仕事をしていました。雇用形態にはこだわらず、自分らしく過ごせる職業や働き方を考えていた時、たまたま目に入った案件がビジネスコンサルで業務委託契約だったんです。

GISとコンサルの掛け算で起業

フリーランスとして働く中で、やっぱり地理空間情報(GIS)という分野が好きだったことを思い出して、もう一度この道でやっていきたいと思い会社を設立しました。新卒の頃から続けてきたGISは、単純作業から高度な分析・構築まで業務の幅が広いという特徴があります。作業の切り分け方次第では時間に制約があるけど、働きたいという方とも相性がよいと感じています。「プライベートと仕事を両立させたいという人が活躍できる社会を作りたい」という思いもあり、地理空間情報事業の一つの軸にしています。もう一つの軸であるコンサルティングは、フリーランス時代に携わった仕事だったんですが、これも自社の強みとして活かしたいと考えて事業に加えました。GISとビジネスコンサルを掛け合わせている会社は、あまり見かけたことがないため、弊社の強みだと思っています。

フルリモートで築く自由な働き方

社員は業務委託を含めて、今は五人で運営しています。基本的に全員フルリモートで、フルタイムで働いている方もいれば、副業やダブルワークという形で関わってくれている方もいますね。出社という選択肢はなく、完全にリモートで仕事をしています。

リモートマネジメントという壁

創業したのは、ちょうどコロナが本格化する数ヶ月前でした。世の中としてもリモートワークが推進され始めたタイミングだったので、時代の流れとしては追い風だったんですが、私自身は集合出社を前提とした働き方しか経験していなかったので、リモートでのマネジメントや、働いてくれる人とのコミュニケーションの取り方には本当に苦労しました。連絡はチャットが中心で、必要に応じてオンラインミーティングをしたり、緊急時はいつでも電話していいというスタイルにしています。会社を立ち上げた当初はマネジメントの経験がまったくなく、リモートワーク云々の前にマネジメントそのものが下手だったんですけど、最近はあまり管理しすぎないよう成果主義でやるようにしてから、うまく回るようになってきたと感じています。人によっては自由にやるのが難しい方もいるので、そういった方にはアドバイスをしながら、基本的には皆さんの成長を考えて自分で考えて動いていただくようにしています。リモートでどうマネジメントしていくかというところは、今も向き合い続けている課題です。

お客様と向き合う、少数精鋭という選択

大きくすることより質を重視

少し前までは会社をもっと大きくしようという考えもあったんですが、今はそういうことはあまり考えていません。よい人材がいれば採用して、少数精鋭でお客様の課題を解決できる会社にしていきたいと考えています。

案件の多くは公共系

現在は、下請けという形で入らせていただくことも多く、公共系の案件や農業や不動産系の企業様からのお仕事がほとんどです。内容は、GISを導入したいけれどどう進めればいいのか、どう活用すればいいのかというところをコンサルティングしたり、データを解析・分析する仕事になります。たとえば、農地を複数管理されている企業様の場合、収穫量や面積など多様な指標をもとに優先度を設定することが欠かせません。そうした判断に必要なデータをどこから取得しどう解析すればよいかを一緒に検討するといった業務もあります。

新規顧客との接点づくりが課題

今抱えている課題の一つが、新しい顧客との接点をなかなかつくれていないことです。基本的には今までお世話になってきた方からのご紹介や、そこからさらにつないでいただくケースが多く、新規顧客の開拓がうまくできていません。営業部隊を置くことも一時期検討したんですが、とにかく仕事を取ってくるというスタンスになってしまうのは弊社には合わないと感じています。GISやコンサルティングを受けたいとお客様自身にしっかり納得していただいた上でビジネスをしたいので、今は営業部隊を置かずにいる状況です。

学生へ ― 就活はリラックスして

就活に限った話になりますが、もし就職活動に緊張していたり、ハードルの高さを感じてナーバスになっていたりするようであれば、ぜひリラックスしてやってほしいと伝えたいです。私自身も就活の時、いくつか内定をいただいて最後にどこにするか選ぶ場面で、これで自分の人生が決まってしまうと感じてとても緊張しました。ただ今になって考えれば、それは社会人としての入り口がその一社になるだけの話で、合わなければ辞めて次の会社に行けばいいし、起業してもいいし、フリーランスになってもいい。生き方はたくさんあります。それで人生が決まるわけでは全くありませんし、今は転職することがステータスになっているくらいだと思うので、まずは興味のあるところに飛び込んでいってほしいなと思います。

インターンにも裁量権のある業務を

インターンの採用は公には募集していませんが、よい学生の方がいれば個別に声をかけることもあり、去年も一人インターンとして働いてもらっていました。入社された方には、能力や興味にもよりますが、基本的に最初から実務に入っていただくスタンスをとっています。データ整備はもちろん、お客様にどのようなデータを渡すのがよいかをしっかり考えて提案したり、先ほどお話しした農地管理の優先度づけのような案件にも一緒に取り組んでもらったりしています。去年のインターン生も、頭を悩ませながら試行錯誤して一緒に案件を進めてくれました。専門的な業務にも裁量を持って挑戦できる環境だと思います。

編集後記

今回は株式会社SOCOの代表取締役、上野操子さんにお話を伺いました。GISという専門性とビジネスコンサルティングという、一見異なる二つの軸を掛け合わせているという点がとても印象的でした。フルリモートというはたらき方への挑戦や、成果主義への転換など、試行錯誤を重ねながら会社をつくり上げてこられた過程から、多くの学びを得ました。就活生へのメッセージも、リラックスして興味のある道に飛び込んでほしいという温かい言葉で、勇気づけられる学生も多いのではないかと感じます。貴重なお話をありがとうございました。