創業の経緯と事業内容
アプリとWebの受託開発
弊社では、スマホアプリやWebシステムの受託開発をおこなっています。請負という形で、企業さんが「作りたい」と思っているものを、私たちの方でシステムやサービスとして形にしていくのが主な事業内容です。社内はほぼエンジニアしかいなくて、現在の社員数は40人くらいですね。お客さまの想いを技術で実現していく、システム開発の会社です。
前職での経験が原点に
前職でも同じようなシステム開発の会社で、ナンバー2のポジションを務めていました。ただ、ときには社長との意見の相違もあって。実は、iPhoneが出たときにスマホアプリの事業をいろいろ広げたのが、私の仕事の原点なんです。それなら自分たちでやった方が、会社としてうまくいくんじゃないかと考えて創業しました。
起業はタイミングだった
そこまで強い何かがあったわけではないんです。すごく社長をやりたかったわけでもなくて、今が私の人生にとって創業するタイミングかもしれない、と感じたことがきっかけでした。仲間を何人か連れて起業し、スタートしたのが弊社です。どちらかというと経営者をやりたいというより、私が学生だったら入りたいと思えるような会社を作りたかったんですよね。
前職でできなかったことを
自分が若いときに「こういう会社に入りたかったな」と思える会社を、頑張って作ろうとしている感じです。実際に入ってみないとわからないことは多いと思うんですけどね。以前所属していた会社でも楽しそうな話はいっぱいあったのに、なかなか実現してもらえなかったんです。たとえば社員旅行で海外に行く話も、結局あまり実現できなくて。前の会社でやれなかったことを、自分でやりたくて経営しています。
新卒採用で若手が増加
3年前から新卒採用を始めたので、20代のメンバーがだいぶ増えてきました。最初の年は1人でしたけど、そこから4人、3人と採用してきて、来年は7人ほどが入社しようとしています。会社のカラーもだいぶ変わってきたなと感じていますね。こうした若いメンバーが育ってくるのが、今からとても楽しみなんです。
苦労も楽しめる理由
社長になって知ったこと
ありがたいことに、創業からずっと黒字でやってこられたので、必死にやっている社長さんに比べると、本当の意味での苦労は少ない方かもしれません。ただ、社長にならないとわからなかったことは多かったですね。お金の話や組織図の作り方、人事、年間目標の設定、営業など、知らなかったことを一気にやったのは大変でした。銀行さんとのお付き合いもそうです。
苦労はクリアすれば楽しい
それでも、割とそういうことも楽しめたかなと思っています。苦労することを、嫌なことだとはあまり思っていないんです。難しいことだから苦労するわけで、それをうまくクリアできたら楽しいよね、という感覚で取り組んできました。だから、苦労そのものをネガティブには捉えていないかもしれません。
ポジティブは学んで実践
ポジティブさも、社長になってからいろいろ勉強するなかで身につけた部分が大きいですね。多くの会社がポジティブであることをビジョンなどに盛り込んでいて、なぜだろうと思っていたんです。実際、ポジティブであることは周りによい影響を及ぼし、ネガティブであることはよい影響を及ぼさない。誰もが両方を持っているからこそ、ポジティブな面を全面的に出していこうと、学んだことを実践しています。
AI時代だからこそリアルを
変わるものと変わらないもの
できるだけ柔軟に変わっていける会社でありたいと思っています。AIなどが出てきて、世の中が変わっていく途中にあるという印象を受けているんです。ただ、そのなかでも変わるものと変わらないものは確実にあって、すべてが変わるわけではありません。オンラインでお話しすることもありますけど、リアルにはリアルのよさがありますよね。リアルで人と会うことを楽しめるような会社や組織にしていきたいです。
年を取ったとき何が残るか
オンラインだけで完結するから、ずっと家で一人で仕事をしている。それって人生として幸せなのかなと、私はどうしても思ってしまうんです。そういう会社も多いですし、そういう働き方を求めている社員も多いと聞きます。ただ、年を取ったときに残っているものは少ないんじゃないかなと感じていて。コロナ禍に大学の授業がオンラインになったときも、なかなか友達を作れなかったという話がありましたよね。
仕事の充実が人生を豊かに
もちろん、会社は学校ではないので勉強する場ではありません。ただ、1週間のうち大半の時間を仕事に費やしているわけで、そこを充実させないことには、その人の人生は豊かにならないと思うんです。だからこそ、仕事場というより、一緒に働いている仲間をずっと大事にしていきたい。そういう想いを、会社としても伝え続けています。
理想の組織はまだ道半ば
正直にいうと、まだ会社がそこまでの雰囲気になっているかというと、そうでもないんですよね。私が入りたい会社は、みんなで和気あいあいとしながら、どんどん成長していこうぜという会社なんです。もしかすると、みんなが入りたい会社とは違うのかもしれないと思うこともあります。それでも、新卒をはじめとした若いメンバーが育ってきたら、きっと楽しくなるはずです。
仲間と全力で働き、全力で遊ぶ
本気とはあらゆる手を尽くすこと
弊社のホームページには「仲間と全力で働き、全力で遊ぶ」という理念を掲げています。やっぱり、本気で仕事をしようよと思っているんです。本気でやっていると言う人は多いけど、薄っぺらい人も多くて。仕事をやるというのは、あらゆる手段を使ってなんとかすることなんですよね。できない理由を探したり、「時間がない」「誰々が決めてくれない」と言ったりするのは、本気とは思えないんです。
出会いが人生を豊かにする
仕事に本気で、真摯に向き合うことは、今の日本人に弱いところだと思っています。言われたことをやっているだけでは、全力とはいえないですよね。本気で考えてやる、全力で向き合うという姿勢を、もっと突き詰めたいと思っています。そのうえで、仕事だけじゃなく出会った人たちを仲間として、人生が豊かになるような出会いになればいいなと。弊社はITの会社ですけど、結構「人」に向いている会社なんです。
日本の働き方への問題意識
働きすぎはもう昔の話
ゆとり教育が今はなくなったように、日本人は働きすぎだという考え方も見直されていいと思っていて。そもそも働きすぎといわれていたのは、30年ほど前のバブルの頃の話なんですよね。統計をきちんと見ると、今の日本人は世界の平均以上に休みを取っています。中国やアメリカが伸びているなかで、優秀な人が100時間働くのと、あまり優秀じゃない人が80時間しか働かないのとでは、どう考えても前者が勝ちますよね。
国も変わろうとしている
国もようやく、働く人はしっかり働いていいという方向に変わろうとしています。これまでは働く時間の制限が、企業に重くのしかかっていたんですよね。私がそう言っても「国が言っているのに、なぜ法律を破るんですか」と言われてしまうこともありました。これからは世界基準、グローバルスタンダードの働き方を意識しながら、みんなで進んでいきたいと思っています。今の仕事の仕方のままでは、日本発のいいものはなかなか生まれないはずです。
本気でいいものをつくる
中国で働いていた人から、TikTok(ティックトック)を作っている人たちは2週間に1日しか休みがないと聞いたことがあります。だからこそ、あれだけみんなが使うものを作れるんですよね。本気でやるというのは、そういうことなのかもしれません。もちろん、その対価としてお金などは必要だと思います。ただ、本気でいいものを作ろうとすることは、定時に帰るという話ではないんだろうなと。
本気の人を拾い上げたい
定時に帰る人がいてもいいとは思っているんです。ただ、もっと面白いものを作りたい、もっとお金を稼ぎたいという想いを持った人たちを拾い上げていくことが、今の日本に足りないものだと感じています。定時で上がるだけの企業が生き残るには、環境がどんどん過酷になっていますからね。
学生へのメッセージ
小さくまとまらないで
若い人たちが国を作っていくと思っています。今は海外から来て働く人も増えていますけど、労働人口の話ではなく、若者が元気であることが、どんな組織でも国全体でも活気につながるんですよね。だからこそ、小さくまとまらないでほしいんです。アメリカに行ったら新卒から年収1000万円という話もあるわけで、それくらいのつもりで、日本を変えてやろうくらいの気概を持った人が増えていくとうれしいですね。
どんどんリスクを取ろう
私たちもそういう人たちと一緒に仕事がしたいですし、私たちにできることを一緒に考えていきたい。学生さんたちは、もっともっといろいろなことを考えていいと思います。可能性を広げて、できることにどんどんチャレンジして、リスクを取ってほしいですね。ある経営者の方から聞いた話なんですけど、アメリカの小学校には「Take a risk」と書いてあるらしいんです。リスクを取るな、無難に行け、みんなと同じように手を挙げろ、ではないと思うんです。そういう気持ちで向き合ってほしいですね。
編集後記
「自分が学生だったら入りたい会社を作る」という言葉が、とくに印象に残りました。経営者になること自体を目的にするのではなく、若い頃の自分が憧れた会社を形にしようとする姿勢に、まっすぐな誠実さを感じます。また、仕事とは「あらゆる手段を使ってなんとかすること」というお話には、背筋が伸びる思いでした。私自身も学生起業に挑戦するなかで、できない理由を探してしまうことがあります。「小さくまとまらないでほしい」というメッセージを胸に、まずは目の前の挑戦に本気で向き合っていきたいです。