偶然が重なった起業への道
TikTokライバーとしての出発点
もともと私はリスナーとして、ライブ配信を見ていたんですよ。視聴しているうちに、「提供するコンテンツに対してリスナーの方々がそこに価値をつけてくれる」という仕組みがすごくわかりやすくて、面白いなと思って。それで自分もやってみようと始めたのがきっかけです。
TikTokで配信を続けた結果、年間で1500万円以上の投げ銭を獲得できて、渋谷駅前にある大型ビジョンに上位配信者として掲載していただけるくらいにはなれました。ある程度自分の目標を達成できたなと感じたタイミングで、配信者としての活動に区切りをつけたんです。
業界の「ポジショントーク」に気づいた瞬間
配信を辞めた後、SEOについて独学で学び始めました。そこでライブ配信業界のWebに関する構造的な課題に気づいたんです。
「ライバー事務所 おすすめ」と検索すると、上位に出てくるのはだいたいライバー事務所さん自身が運営しているサイトなんですよ。つまり自社サービスを紹介する「おすすめ何選」記事ばかりで、結局ポジショントークが横行しているという状況がありました。ユーザーの方にとって、それって本当に役に立つ情報なのかな、と思って。
そこで偶然にも、私が持っていた「ライブ配信の現場経験」と「SEOのノウハウ」という2つのピースが合わさって、「これは自分たちで解決できる課題だ」と感じました。大学1年生からの友人でお互いに何をやっているか知っていた元藤(もとふじ)と一緒に、その課題を解決するWebメディアを立ち上げたのが起業のきっかけです。
NextHiveMediaが手がける3つの事業
自社メディアで「ニッチトップ」を狙う
現在の事業は大きく3つあります。一つ目が自社Webメディアの運営です。
ライバー事務所の情報をまとめた「LIVE配信研究所」をはじめ、害虫駆除、ペット葬儀、着物レンタルといった領域でもメディアを展開しています。共通しているのは、「ニッチトップ」という考え方です。大きな市場で戦うのではなく、まだWebで十分な情報が整備されていない領域に入っていって、そこで一番の情報源になることを目指しています。
ビジネス的な出口としては、手をかけなくても収益が発生し続ける状態を作ることが理想ですが、もっと大切にしているのは「ユーザーさんの正しい意思決定を後押しする」という部分です。
「足で稼ぐ」コンテンツで差別化
二つ目が、他社さんのSEO運用代行です。
私たちの強みは、ただ記事を量産するのではなく、そのサービスや地域に特化した「勝ち筋」を先に設計することです。また、他社さんがなかなか載せられないような現地の情報を実際に足を運んで取材し、コンテンツに反映させています。そうやってリアルな一次情報を乗せることが、競合との差別化につながっています。
AIを活用した業務効率化支援も
三つ目がAIコンサルティングと導入支援です。AIツールの選定から社内定着・運用設計まで、事業成長に直結するかたちで伴走しています。
ビジョンは「情報格差による選択の失敗をなくす」こと
全ての人が「納得して決める」社会へ
私たちのミッションは、「情報格差による選択の失敗をなくす」ことです。就活を見ていても、十分な情報がないまま大事な選択をしている人が多いなと感じることがあります。
どんな意思決定でも、間違いかどうかはさておき、「自分が納得した上で選んだ」という状態が大事だと思っていて。私たちがメディアを通じて情報の穴を埋めていくことで、一人ひとりが腹落ちして決められる状況を作りたいんです。これが会社としてのビジョンであり、私自身のミッションでもあります。
筋を通すことへのこだわり
大切にしていることの一つが、「筋を通すこと」です。
たとえば、私たちはライブ配信に関するメディアを運営していて、ライバー事務所さんの掲載もしています。ライブ配信に関するノウハウや集客力を活かせば、自分たちでライバー事務所を立ち上げることも技術的には可能です。でも、そうしてしまうと現在掲載していただいている事務所さんに対して不誠実になる。だから私たちはあえてそこには踏み込まない、というスタンスをとっています。
これから挑戦する人へ
逆算して「今やること」を決める
学生の方へのメッセージとして一番伝えたいのは、「まず自分がどうなりたいかを明確にすること」です。
起業することや、何か挑戦することが目的である必要はないと思っています。自分が将来どんな状態でありたいか、どんな仕事をしていたいか。そこを先に決めてから、「今の自分には何が必要か」を逆算して行動すると、あとから振り返ったときに納得感のあるキャリアになるんじゃないかなと思っています。
一緒に走れる仲間を探している
現在、メンバーは4人です。正直、人が足りていない状況で、どんどん増やしていきたい気持ちはあります。ただ採用に時間を割く余裕もなかなかなくて、手詰まり感もあるのが現状です。
特に長期インターンや業務委託で、一緒に走ってくれる人を探しています。自分で考えて動ける人、そしてスタートアップならではのスピードと手触り感を楽しめる人には合う環境だと思います。
編集後記
今回お話を伺って印象的だったのは、野儀さんが「ライバーとしての現場経験」と「SEOの知識」という、一見バラバラなスキルを組み合わせて事業を立ち上げたという点です。最初から起業を目指していたのではなく、自分の経験が活かせる課題を見つけたことで自然と事業の形が見えてきた、というプロセスが面白いと思いました。また「ライバー事務所を自分たちで始めれば儲かるけど、掲載企業さんへの義理があるからやらない」という話には、信頼を積み重ねることへのこだわりを感じました。情報格差の解消というミッションは、自分自身がライバーとして情報を必要としていた経験から来ているのだと、インタビューを通じて伝わってきました。