学生時代|挫折とチャレンジ
野球からソフトボールへ
ソフトボールを始めたのは、大学からです。小学校五年生から野球を始めて、高校三年生まではずっと野球一筋でした。大学でも野球部に入ったんですが、レベルが違いすぎて挫折してしまいました。もういいかなと思っていたところに、ソフトボール部の先輩から「野球とソフトボールは違うスポーツだから、新しい気持ちでやってみないか」と誘いを受けたんです。体験に行ってみたら、本当に違うスポーツだなと感じて、そこでもう一度新しいチャレンジをしてみようと思い、大学からソフトボールを始めることになりました。
私が通っていたのは早稲田だったんですが、当時はちょうど斎藤さんの世代で、六大学リーグも毎年優勝するくらい野球部が強い時代でした。少なからずそこに入って、一緒に野球を経験させてもらえたのは、いい経験だったなと思っています。挑戦しなければ、何もわからずに終わっていたと思います。
アフィリエイトとの出会い
学生時代にはアフィリエイトも始めていました。部活をやりながら学校にも行きながらだと、なかなかまとまった時間が取れなくて。当時のアルバイトは5時間なら5時間、8時間なら8時間と、ある程度まとまった時間でないと働きにくい環境だったんです。飲食店でアルバイトをしていたんですが、ちょっとだけ時間があるときに入りたいと思っても、そういう働き方ができなかったです。部活の休みの日や深夜勤務で入るくらいしか方法がなく、限界を感じていました。それで、場所や時間に関わらずできることを探している中で、アフィリエイトに行き着いたんです。
勉強は本を読んだりセミナーに参加したり、教材を買ったりといろいろでした。当時はYouTubeもまだなかったので、実際に結果を出しているアフィリエイターやブロガーの方が書いたブログを見て、本当に手探りで試行錯誤しながらやっていましたね。
創業の経緯|一年半で独立
早すぎた退職
大学を卒業して入った会社は、実は一社しかありません。ホームページ制作やシステム開発をおこなう、いわゆる制作会社です。そこに一年半だけ勤めて、独立するという形をとりました。会社に入る前から、将来的には起業したいという思いは頭の中にあって、三年くらいやったら起業しようかなと考えていたんですが、結果的に入ってみると勢いもあって、もういいかなという気持ちになってしまいました。一年経ったころに上司に相談させていただき、上半期が終わったタイミング、ちょうど一年半というところで退職して独立しました。
相談したときは、あまりいい反応ではなく、かなり反対もされました。5、6人くらいの方と順々に面談のような形になって、意思が固そうだからと応援してくださる方もいれば、厳しい意見をくださる方、半ば言い争いのようになってしまった方もいました。それでも皆さんと同じように、実はいつか起業したいと思っていて、それを少し早めたいと伝えて、なんとか辞めさせていただいたという感じです。
起業を決めた理由
独立したいと思ったきっかけは、大学時代に部活と勉強とアルバイトを両立させる中で、決められた時間の中で働くことに限界を感じたことが大きいです。会社員になれば条件や待遇は全然違うとは思うのですが、それでも自分の中で、もう少しリスクがあってもいいから、リターンが大きくなるような働き方はできないかと感じてしまったんですよね。
事業内容|サイト引越し屋さん
WordPressの引っ越し専業
現在おこなっているのは「サイト引越し屋さん」というサービスで、10年ほど続けています。ウェブサイトをインターネット上のある場所から別の場所へ移動する、いわゆるデータやシステムの移動を「引っ越し」と呼んで対応しています。一般的にホームページやシステムを作る会社さんは制作会社やデザイン会社と呼ばれますが、弊社は作るのではなく、すでに作られているものを移動したり管理したりすることを専業にしているところが特長です。ある種ニッチな領域ではあるのですが、それが強みにもなっています。
弊社ではWordPress(ワードプレス)というシステムをメインに扱っています。WordPressは世界でも国内でも、ホームページを作るシステムとしてもっともシェア率が高く、世界でも40数%ほどがWordPressで作られている状況です。これまでの累計対応件数は3500件以上にのぼり、そこで培った知見とノウハウには自信があります。もうひとつの強みは保証です。引っ越しの作業は人がおこなうものなので、データが消えてしまったり重要な情報が流出してしまったりするリスクがどうしても伴います。そこに対して弊社では保証をつけていて、調べた限りではそうした保証をつけている会社はあまり見たことがありません。
失敗も正直に伝える
もちろん、失敗がまったくないわけではありません。お客様にそうした過去はあったかと聞かれたときは、正直にお伝えするようにしています。片手で数える程度ではありますが、データが消失しかけたり、情報が流出しかけたりしたことはありました。もう少し細かい話でいうと、事前のすり合わせで移転対象のサイトが3つあるはずが、実は一サイト分の情報共有が漏れていたということがあって、そのサイトにはかなりの広告費がかけられていたんです。広告費が無駄になってしまうところだったので、そのときはかけていた広告費を全額負担させていただきました。もしサーバー移転を検討されている方がいれば、そうしたリスクも加味しながら進めていただけるといいのかなと思います。
ニッチな領域に注力した理由
もともとは自分の実体験から始まったものです。独立後にアフィリエイトを再開したのですが、年々競争が激しくなってきていました。そこで、ゼロから立ち上げるより、他の方がある程度軌道に乗せたサイトを買収したほうがうまくいくのではと考え、M&A(エムアンドエー)でサイトを買い、実際に伸ばすことができました。しかし、そのときに困ったのが、サーバー移転や契約の譲渡、データの移行といった部分で、気持ちよくお願いできる専門のサービスがなかなか見つからなかったんです。仕方なく自分で試行錯誤しながら対応していたのですが、周りにもアフィリエイトをやっている友人がいて、その話をしたら「代わりにやってほしい」と頼まれるようになって。それならサービスにしてみようと思ったのが、最初のきっかけです。
引っ越しの後の保守管理については、4年ほど前、2022年の6月から本格的に始めました。それ以前も管理してほしいという声はいただいていたのですが、組織やリソース、ノウハウの面で自信を持ってご提供できる体制が整っておらず、泣く泣くお断りしていた経緯があります。サービスをリリースした当時からずっとご契約いただいている企業さんもいれば、引っ越し後にそのまま管理もお願いしたいという会社さんも多く、引っ越しと管理はとても相性がいいと感じています。
壁にぶつかった瞬間|立ち上げ期の試行錯誤
大きな事故で危機的な状況になったことは幸いなかったのですが、立ち上げ期は大変でした。私自身、最初はエンジニアではなかったので、試行錯誤しながら調べて移転をおこなっていたんです。これでサービス化できるのか、どういう人にお願いすればいいのか、わからないことだらけで、不安を抱えながらやっていたのを覚えています。一年も経たないうちに、能力のあるエンジニアをチームに迎えて解決していきました。
もうひとつ大変だったのは、サービスの説明がなかなか相手に伝わらなかったことです。最初の数年は、何のことか理解していただけないことが多くて、どう伝えるかにいつも苦労していました。ただこれも時代が変わっていく中で、WordPressを知っている方が増えたり、制作会社の管理体制が変わってサーバー移転が発生したり、M&Aが流行って譲渡が増えたりと状況が変わり、最近は深く説明しなくても「そういうニーズがありそうですね」と伝わるようになったので、非常に助かっています。
集客はこれまで、SEO(エスイーオー)が中心でした。もともとアフィリエイトをやっていたことで検索エンジン対策が得意だったので、他社さんの商品を紹介していたアフィリエイトのSEOやライティングのノウハウを、自社サービスを広めるために使ってきました。最近では、Web制作会社さんやシステム開発会社さんにパートナーになっていただき、お客様や案件をご紹介いただいたり、二次請けという形でご支援する形での取り組みも増えております。
今後のビジョン|日本一のウェブサイト管理会社へ
「WordPressでウェブサイトの保守管理といえばサイト引越し屋さんだよね」と言ってもらえるくらい、日本一のウェブサイト管理会社になりたいと思っています。サービスを立ち上げた当初は、サーバーの移転を最初のターゲットに据えていたのですが、そこはすでに日本一になったという自負があります。次はそれに関連して、ウェブサイトの管理といえば株式会社DPパートナーズやサイト引越し屋さんだと思い浮かべてもらえるようなサービスにしていきたいですね。
現状、ノウハウや経験値には件数の面でも自信があります。とくに力を入れているのはバックアップです。データのバックアップの取り方には、レンタルサーバーの自動保存機能を使う方法や、サイトが保存されているサーバー内に同期させる方法、Dropbox(ドロップボックス)のようなクラウドストレージに別で保存する方法などさまざまありますが、検証していく中で、どの方法にもバックアップ自体が破損してしまったり、ハッキングされてしまったりするリスクがあることがわかってきました。そこで今年の5月から、AWS(エーダブリューエス)のS3というストレージ環境にデータを移行し、安全にデータを管理できる体制を整えました。手間はかかりますが、確実にデータを保存し復旧できるところには自信があります。参考)https://site-hikkoshi.com/news/backup-system-upgrade-2026/
加えて、今後はこれまでの守りの部分に加えて、サイトの更新など運用面のお手伝いもできるようになっていきたいと思っています。人手不足やウェブ担当者の不在といった業界的な課題もあるので、そこに踏み込んでお手伝いできるようになると、より頼っていただけるのではないかと感じています。
学生へのメッセージ
弊社ではWordPressのウェブサイトの管理をおこなっていますが、ウェブサイトというもの自体は、この先5年、10年、15年、20年で突如なくなるようなものではないと思っています。AIが進化して新卒入社が大変になっているというニュースも見かけますが、そうした中でも、長い目で見てなくならないものに対するスキルや知見、経験があれば、この先会社員になるにしても起業するにしても、長く生き残っていけるのではないかと思います。
今の学生さんにとって、ホームページはそこまで人気がある存在ではなく、SNSや動画のほうがワクワクするものなのかなと個人的には感じています。それでも、昔からあって今後も当分なくなる可能性が低いものに早いうちから触れておくと、キャリアのどこかで役に立つことがあるのではないかと思うので、ぜひホームページ周りにも若いうちから触れていただけるとうれしいです。
編集後記
学生団体でメディア運営に携わりながら、いつか自分でも事業を立ち上げてみたいと考えているので、今回のお話はとても刺激になりました。決められた時間の中で働くことに限界を感じて独立を決めたというお話や、うまく伝わらないサービスの説明に何年も向き合い続けてきたというお話から、地道な積み重ねの大切さを教えていただいた気がします。ウェブサイトが長くなくならないものだというメッセージも、これからの進路を考えるうえで心に残りました。貴重なお話をありがとうございました。