創業のきっかけは、ポジティブな夢ではなかった
共同創業で自身の不甲斐なさを痛感
創業の経緯というと、熱い意気込みがあったように思われるかもしれません。ですが正直に申し上げると、私の場合は決してポジティブな話ではありませんでした。はじまりは共同創業でしたが、私の至らなさから、関わってくださった方々に迷惑をかけてしまった。自分の不甲斐なさを嫌というほど突きつけられた、苦い経験です。だからこそ「なんとしても稼いで、責任を果たさなければならない」という状況に追い込まれて選んだのが、起業という道でした。
稼ぐしかなかった理由
新卒の時期からWeb関連の知識やマーケティングに携わっていて、その経験があったからこそ、独立してからもこの領域で勝負しようと思えました。前向きな決意というより、必要に迫られてはじめた事業だったんです。ただ、退路がなかったぶん、目の前の一社一社に本気で向き合うしかありませんでした。寝ても覚めてもお客様のことを考えている状態で、その必死さが、いまの仕事の姿勢になっています。
なぜ、Webマーケティングだったのか
Webマーケティングを選んだ一番の理由は、もともと得意だったこともありますが、大きな資本がなくても、知識と手を動かす力で勝負できる領域であることも一つの理由です。そして続けるうちに、この仕事の本質的な価値を実感するようになりました。施策の結果が、お客様の売上や問い合わせという数字にそのまま表れる。貢献が目に見えて、感謝も直接返ってくる仕事なんです。
しかも、正しく設計すれば効果は一過性で終わらず、お客様の資産として積み上がっていきます。「稼がなければ」からはじまった事業でしたが、いまは「この仕事でお客様に報いたい」「一緒に成果を創りたい」「ワンチームとなって未来を創るんだ」という気持ちのほうがずっと大きいですね。
費用対効果に徹底的にこだわる理由
投資額から逆算する提案
弊社の強みを聞かれたら、費用対効果に特化しているところだと答えます。たとえば100万円の売上を伸ばしたいとなったとき、まず「いくら投資できますか」という話からはじめるんです。毎月10万円ずつ積み立てるイメージで、最終的なリターンが100万円だとしたら、60万円を投資した段階で純粋に40万円のリターンが出ている、という考え方をします。
いきなり「100万円投資してください」と言われても、なかなか決断できないですよね。月10万円なら、プロのアドバイスを受けながらやってみようかなと思ってもらえる。そこでリターンが見えてくれば、次の投資にも自信を持って進んでいただけます。お客様のリスクを最小限にしながら成果を積み上げていく。この設計こそが、費用対効果を重視する理由です。
半年後の数字にこだわる
そのぶん、施策を定量化していくのは簡単ではありません。だからこそ「半年後にはこの数字になっていないとおかしい」という目標を、走り出す前に明確に定めることを大切にしています。どんな施策を、誰に向けて、何のために打つのか。ゴールから逆算して定量的に設計していくのが、弊社らしさです。数字を先に置くのは勇気のいることですが、そこから逃げないことがお客様への誠実さだと考えています。
そういう意味では、リソースも予算も限られている中小企業様との相性は良いですね。Web担当者がいない会社様に伴走して、投資したぶんをきちんと回収できるように設計していく。もちろん大手の会社様をご支援することもありますが、どちらかというと、限られたリソースのなかで戦っている会社さんのお役に立ちたいという思いが強いです。
制作まで一気通貫の支援
コンサルティングだけで終わらないところも、弊社の特徴です。実行支援を担う制作スタッフ、たとえばデザイナーも在籍しているので、提案した内容をそのまま形にするところまでワンストップで対応できます。「絵に描いた戦略」で終わらせず、実行と検証までやり切る。ここまで含めてはじめて、費用対効果に責任を持てると考えています。
私自身、キャリアとしては大手の代理店業務を経験してきました。その知見を生かせるのも強みのひとつです。大手は仕組みが体系化されている一方で、小回りが利きにくいという課題も感じていました。だからこそ弊社は、大手で培った体系的な進め方と、少数精鋭ならではの柔軟さを両立させて、一社ごとに合ったプランをご提案するようにしています。
まだ10%未満。伸びしろだらけのWeb集客市場
埋もれた良質なサービス
今後の事業展望としては、中小企業様を含めて、マーケティング機能はまだまだ標準化されていないと感じています。あるデータでは、Webマーケティングにしっかり取り組めている企業は全体の一割にも満たないんですよね。逆に言えば、この市場には九割の伸びしろがある。紙のやりとりが中心だったり、レガシーな体制のままだったりする会社さんのなかにも、世に出ていないだけで良いサービスはたくさんあります。
そうした良いサービスが、Webの力で正しく広がっていく。そのお手伝いができれば、これほどうれしいことはありません。大手企業がWebで成功させている手法を、中小企業様でも使える形に翻訳して届けていきたいという思いもあります。
業界全体の標準化を目指したい
主軸はこれからもWeb集客のマーケティング支援に置きつつ、AIの活用も含めて、時代に応じて柔軟に取り組みを広げていくつもりです。多くの会社様にマーケティング機能が標準装備されていけば、業界全体への「怪しい」「怖い」というイメージも払拭されていくはずです。業界そのものを、みんなで盛り上げていきたいですね。
権威ではなく、技術で勝負したい
Webマーケティング業界特有の権威性
適正価格で、純粋に技術で勝負したいという思いも強くあります。相場を無視した格安の価格提示が広がると、業界全体の価格水準が崩れてしまうことがあるんですよね。だからこそ、技術を競い合い、研鑽し合う場が盛り上がっていってほしいと考えています。
とくにWeb集客の領域は、少し特殊な業界だと感じます。一部の権威ある方の発言が、そのまま「正解」のように扱われてしまう空気があるんです。そうではなく、現場で実際に手を動かして、本当の実力で勝負しようよ、と。仮に私が負けることがあっても、発想力が足りなかったのか、提案力や実現力が足りなかったのかを学べる機会になります。負けから学べるうちは、伸びしろしかないと思っています。
期待値を煽りすぎない提案
期待値だけを取りにいって、実現可能性の低い提案をしてしまうケースは、業界に少なくありません。たとえば「たくさんページ作ります」「一か月で100万円儲かります」という話は、聞こえはいいですが、実現できる可能性は極めて低い。私たちは、できることとできないことを正直にお伝えしたうえで、達成基準を先に合意してから走り出します。こうした提案の基準こそ、業界全体で標準化されてほしいと願っています。
弊社が持っている技術と解像度、そして費用対効果への向き合い方で、お客様と一緒に事業を盛り上げていく。ご支援している一社一社の成長が、私にとって何よりのやりがいです。
30日で正社員を辞めた過去から学んだこと
踏みとどまる瞬間が来る
私は、新卒で入社した会社を30日で辞めているんです。そこからしばらく、フラフラとした時期もありました。それでも、どこかで踏みとどまって頑張ろうと思えた。この経験は、学生の方に伝えたいことのひとつかもしれません。
社会に出ると、「ここで踏みとどまらないとだめになる」という分岐点のような場面が必ずやってきます。学生のうちは何でもできると思っていても、社会に出ると少しずつ、できないこともあるとわかってくる。私がそれを本当に実感できたのは、社会に出て三年ほど経ってからだったように思います。
苦じゃないことを探す
学生の方へのアドバイスとしては、やりたいことや好きなことを探すより、「やっていて苦にならないこと」を探すほうが大事かもしれません。それが結果として、自分にとっての適職につながっていく。踏ん張らなければいけない場面は必ず来るので、そこで折れないことが大切です。
スキルより人格。信頼される人になりたい
深夜でも嬉しいと思える
もうひとつ大事にしているのが、人格主義です。スキルや技術は、あとからいくらでも身につけられます。それよりも、「お客様が儲かって、自分たちも儲かる」という順番を心の底から理解できているかどうか。ここがすべての土台だと思っています。
これはちょっと人格主義とは違うかもしれませんけど、私は深夜にお客様から連絡が来ても「面倒くさい」という気持ちは一切なくて、むしろ喜んで対応できる。それを心の底から思えるかどうかが、真の信頼につながっていくと考えています。
フォロワー数は自分の市場価値
「フォロワーの数は、自分の市場価値だ」と思えるかどうかも大事にしています。ここでいうフォロワーとは、「あなたを応援したい」「あなたにならご飯をおごってもいい」と思ってくれる人がどれだけいるか。それが社会人として、とても大切なことだと思っています。
人格に難があっても稼いでいる方が一定数いるのも事実です。それでも、私はそうはなりたくない。人格を磨きながら結果を出せることを、これからも証明していきたいと思っています。
支えてくれるメンバーへの感謝
そして、こうした働き方ができているのは、私一人の力ではありません。一社一社に深く伴走できるのも、同じ想いで動いてくれるメンバーがいてくれるからです。「お客様が儲かって、自分たちも儲かる」の「自分たち」には、当然メンバー全員が含まれています。
決して順風満帆なスタートではなかった弊社でまだまだ足りないことばかりでも力を貸してくれている仲間には、感謝しかありません。その想いに報いるためにも、メンバーが誇れる会社にしていく。未来を創る仕事をすることが、経営者としての私の責任だと思っています。
学生へのメッセージ
提供できる価値を問う
私が大切にしている問いのひとつが、「相手に提供できる価値が、自分にはあるか」ということです。
ビジネスの場面で考えると分かりやすいと思います。どれだけ体裁の整った提案書をつくっても、その中身を支える価値が自分の中になければ、良い提案にはなりません。知識や経験、相手の課題への理解。提案の質を決めているのは、突き詰めれば資料や肩書きではなく、それをつくる人そのものです。価値は、人がつくるものだからです。
だからこそ、「誰とつながりたいか」「どんな仕事がしたいか」を考える前に、まず「自分は相手にとって価値ある人間になれているか」を問うべきだと思っています。この順番が逆になると、どれだけ機会に恵まれても、結果にはつながりません。
そしてこれは、ビジネスに限った話ではなく、人間力の話でもあります。価値ある人間であろうとし続けられるかどうか。その積み重ねが、仕事の質にも、人としての信頼、人間関係にまで表れていくのだと考えています。
学生時代は自由でいい
一方で、学生のうちはめちゃくちゃしてもいいとも思っています。多少の失敗も恋愛も経験しながら、人は大人になっていくものです。社会人になったら、なかなかそうはいきませんから。
私自身、偉そうにアドバイスできる立場ではないと思っています。最後は、自分が信じた道を進んでいってください。
編集後記
今回、WINDOM株式会社の青柳さんにお話をうかがいました。創業のきっかけを飾らずに語ってくださる率直さと、達成基準を先に定めて数字から逃げないという仕事への誠実な向き合い方が、とても印象に残っています。権威ではなく技術で勝負したいという言葉には、現場を貫いてきた方ならではの重みがありました。そして、メンバーへの感謝を語る表情から、経営者としての器と、この会社のこれからの伸びしろを感じました。人格主義という考え方は、社会人になる前の私たちにとっても、大切な指針になるはずです。貴重なお話をありがとうございました。