個人事業から始まった創業
生命保険代理店からの出発
創業当時は今から14、15年前くらいで、DXもリモートワークも一般的ではなかった時代です。まず個人事業主として始めたのは、生命保険の代理店でした。私自身、長かった営業職の経験を活かして、訪問販売で契約を取っていたんですけれど、生命保険の訪問販売は難易度が高くて、他の商材のようにポンポン取れるものではなかったんですね。すごく挫折と言いますか、大変だなと思っていました。
正直に言うと、大きなビジョンを持っていたわけではないんです。ただ、会社員として通勤時間をかけて、満員電車に乗ったりするのが、本当に苦痛で。フリーランスで働けるということだけを目指していた感じですね。
無料掲載100件を目指して
もっといい商材はないかなと思っていた時に、求人広告の代理店の話を知人からいただいたんです。夜のお仕事、バーやスナックといった業態の求人広告の代理店を始めたのが、最初のきっかけでした。
実は最初は代理店をやらないかという話ではなくて、求人サイトを一緒にやっていかないかという内容だったんですね。無料で掲載しませんかという営業をかけて、バーや居酒屋、スナックにどんどん足を運んでいく。その時の目標は無料でとりあえず100件掲載することでした。ただ、100件載せるまでは収入がないんですよ。なので昼間は派遣のアルバイトで工場に行って、ネギを切る仕事をしていました。
実を結んで無料掲載が100件を超えたあたりから、だんだん認知度が上がり始めました。無料契約をやめて有料に切り替えたところ、すごく順調に契約が取れるようになったんです。ネギを切るバイトをやめられて、しかも忙しさはどんどん増していきました。
大阪拠点で法人化
当時は兵庫県姫路市にいたんですけれど、大阪に拠点を移して、個人事業でやっていたものを法人化しました。事務員や制作スタッフを雇い始めたのが、創業の経緯になります。
昼夜を問わずカバーする事業体制
SEO事業が生まれたきっかけ
求人サイトのSEOのことは、24時間のうち起きている間はずっと考えているんじゃないかというくらい向き合っていました。あるとき、知り合いの会社が月々10万円でSEOコンサルを依頼していたんですけれど、内容を見せてもらうと全部知っていることばかりで、得るものがなかったんです。逆に言えば、このレベルで月10万円取れるのであれば、弊社の事業にできるんじゃないかと。それがSEO事業の始まりです。
コンサル会社に頼むと月10万円からするところを、弊社がもっと安い金額で提供できれば喜んでもらえる会社さんも増えるはずだと思いました。料金的な強みに加えて、自分で経験して実施してきたからこそ知っているSEOの知見の強さもあります。テクニカルSEO(検索エンジン向けSEO)とコンテンツSEO(検索ユーザー向けSEO)がある中で、私はコンテンツSEOのほうが大事だと思っています。記事の数がやはり重要なんですね。
夜の求人から昼の求人へ
メインで運営しているのは夜専門の求人サイト「ヨルナビ」で、求人が中心事業ではあるんですけれど、ジャンルが居酒屋やスナックに偏りすぎているところがありました。スナックさんに営業に行くと、オーナーさんが建設会社さんだったりすることが結構あるんです。建設会社さんや内装会社さん、不動産の方も多いですね。そういう方々に「昼の求人はやっていないの?」と聞かれることがあったのですが、「ヨルナビ」だけでは対応できませんでした。
そこで、ディップ株式会社が提供する「バイトル」のパートナーシップ契約を交わしまして、夜のお仕事以外のバイトの媒体掲載も取り扱えるようにしました。これで求人広告に関しては全体的にカバーできる体制になっていますし、SEOに関しても自分の知見をもとに、低価格で提供できる形でやっています。
AIを活用したこれからのビジョン
闇バイト撲滅への取り組み
最近はAIが台頭してきて、少ない予算でも良いサイトが作れたり、少ない人数でも多くの仕事量をこなせたりできるようになっています。それを活用して、より良い求人広告を出していくことが今のビジョンです。
今、バイトルとヨルナビの両方で力を入れているのは闇バイトの撲滅です。求人広告に偽装して闇バイトを出すケースがあるので、求人広告を載せる前には必ず営業実態を確認するようにしています。1件1件すべてを人力で確認していると人手が足りないので、AIでできる仕事はAIにやってもらって効率化しています。安心して求人に応募できる媒体作りを、バイトルでもヨルナビでも心がけています。特にヨルナビはナイト系ということもあって怖がられることも多いので、安心して応募できる媒体を目指して、これからも営業活動をしていきたいと思っています。
ライティングからサイト分析まで
AIで真っ先に取り入れたのはライティングです。求人広告はキャッチコピーを40文字で作ったり、仕事内容を300文字で作ったりと、書く場所がすごく多いんですね。以前は1時間から2時間かかっていたものが、AIを活用することで10分から15分ほどでできるようになりました。まずそこが一番の活用ポイントです。
あとはサイトの分析ですね。Google AnalyticsとGoogle Search Consoleを連携させて、SEO分析を全自動化しています。正直、Google Analyticsは使いにくいので、そういった分析もAIにやってもらっています。Claude Codeなどを利用してサイト自体の改修も進めていて、人間がやると行動の中にミスが出てしまうところをAIに見つけてもらったり、ユーザーから要望をいただいた機能を1、2日で実装したりしています。求められているものをすぐに形にできるスピード感が、AIのすごいところだと感じています。
学生へのメッセージ
AIを使いこなせるか自問する
これからの就職活動で必ずぶつかる壁がAIだと思います。AIは味方にもなりますし、敵にもなります。特に事務職はこれから厳しくなっていくと思うんですね。最低賃金も上がりますし、企業は雇用をどんどん絞って、少ない人数で回せる体制を目指していくはずです。人間にしかできないことは何かと考えた時に、今のうちにAIを使っておくべきです。まずは自分がAIを使いこなせる側の人間なのかを、把握することですね。
若さゆえの肉体資本を生かす
もしAIを使いこなす側に回れないな、苦手だなと感じたのなら、汗をかきましょう。私自身もAIに任せられる仕事は任せつつ、普段はお客様のところに直接足を運んで、顔を合わせて話しています。闇バイトの撲滅のために必ず足を運んで確認するというのも、そこにつながっています。足を動かし、手を動かす。人間の体を使った根源的な労働というものを、再認識してほしいです。テレビでやっているようなキラキラしたオフィスワークに、騙されないでほしいですね。
私は今42歳で、体の老化を少しずつ感じ始めています。おっさんにはもうできないことがあるんですよ。これから先活躍するのは、若い学生の元気な肉体資本だと思います。もちろんそれがすべて良いことだとは思いませんが、若い頃にかいた汗は、歳をとってから良かったなと思えるものです。昭和みたいな考え方かもしれませんが、いろいろなことにチャレンジしてほしいなと思っています。
編集後記
今回、株式会社ライフオペレーションの澤口様にお話をうかがいました。ビジョンを持たずに始めた個人事業が、無料掲載100件という地道な積み重ねを経て、求人広告の会社へと育っていった過程がとても印象的でした。AIを積極的に業務へ取り入れながらも、最後は「足を動かし、汗をかくこと」の価値を語られていたのが心に残ります。効率化が進む時代だからこそ、人にしかできないことを見極める視点を、私自身も持っていきたいと思いました。