研究一筋だった大学院時代
化学の実験室にこもった日々
大阪公立大学で学士課程を修了後、同大学院へ進学し化学を専攻しました。研究室に没頭し、実験を重ねて論文をまとめる、研究一筋の学生生活でした。もとは研究者になりたいという思いがあって進んだ道でしたが、続けるうちに「本当に研究者になりたいわけではないかもしれない」「このまま研究者として戦っていけるのだろうか」という漠然とした不安を抱くようになったんです。
ボランティアやビジネス塾でみつけた可能性
そんな中でいろいろな体験をさせてもらいました。ボランティアに参加したり、国際交流団体で外国人と話したり、ビジネス塾のようなところに入って自分でイベントを企画したりもしました。イベントを企画・運営し、利益を出すというプチビジネスを経験しました。こうした経験を通じて、研究者という一本道のレールを進むよりも、もっといろいろな可能性を持ちながら過ごしていきたいと思うようになりました。それで文系就職を選び、比較的小規模な、社員100人くらいのIT企業に入社しました。
逃げるように辞めた一社目
活躍できなかった悔しさ
正直にいうと、入社した会社ではあまり活躍できませんでした。自分なりに営業を頑張ってはいたのですが、上手くいかない理由を周囲のせいにしてしまうなど、当時の自分はまだまだ未熟で、自分の行動を客観的に見ることができていませんでした。「ここではないのかもしれない」という思いが強くなり、最終的には逃げるように会社を辞めてしまいました。
「就活の教科書」が生まれた理由
自分の原体験と社会の課題感
就活生向けのメディアを立ち上げた理由は、まず自分自身が就職活動で苦しんだ、課題を感じたという原体験があったからです。それと同時に、自分と同じように就活で迷ったり戦ったりしている学生がたくさんいるだろうという、社会的な課題感もありました。加えて、独立してから運営していたウェブメディアのスキルを活かせるという思いもあり、自分の原体験と社会の課題、そして自分にできるウェブメディアという三つを組み合わせて、就活のメディアをつくろうと決めました。
ウェブメディアと学生支援、二本柱の事業
今の弊社(株式会社Synergy Career)の事業は、大きく分けてウェブメディアの運営と学生支援の二つです。「就活の教科書」というメディアを軸に、就活生に寄り添った情報を届けることをミッションとして掲げ、あわせて学生インターンの育成にも力を入れています。就活市場では学生が企業側の都合に流されてしまいがちだからこそ、就活生自身が情報を取捨選択できるようになってほしい、という思いで人材育成にも取り組んでいます。
変わり続ける市場との向き合い方
早期化とオンライン化、そしてAIの登場
この事業をやるうえで大変なのは、市場が変わり続けるところです。就活というジャンル自体は普遍的ではあるものの、人気の会社や業界は毎年少しずつ変わりますし、就活生の動きも昔と比べてかなり早期化しています。オンライン面談が一般的になったことや、AIが登場したことも大きな変化のひとつです。
検索からAIへ、情報収集の手段が変わっていく
加えて、弊社が得意とするウェブメディアを使った集客やマーケティングの手法も変わり続けています。昔は検索エンジンで調べるのが当たり前でしたが、そこからSNSが増え、YouTubeなどのショート動画で情報収集する流れになり、今はChatGPTのようなAIを使って調べ物をするのが当たり前になりつつあります。情報を書くだけのコンテンツでは「それはAIに聞けばいい」となってしまう時代だからこそ、毎年変化に乗りながら自分たちの強みを活かせる形に改善し続けることが、大変でもあり、面白さでもあると感じています。実際に弊社では、全員がChatGPTのようなツールだけでなくClaude Codeを使い、AIエージェントを業務に取り入れながら、新しい価値を生み出す取り組みを進めています。
就活生へ伝えたいこと
「ガチる」ことにこそ意味がある
就活をやるのであれば、ぜひガチってほしいと思っています。就活にはいろいろな課題があったり、不満を感じる部分もあったりすると思いますが、人生で一度きりの経験ですし、大きなピンチであると同時に大きなチャンスでもあります。「頑張ってもどうせ」「ホワイト企業ならどこでもいい」というように、すかして向き合うのはもったいないと感じます。
本気でやったからこそ見える景色
ガチって取り組めば、就活そのものを楽しめることもありますし、自分に合う会社に出会えることもあります。逆に、全力でやったうえで「就活ってくだらなかったな」という結論にたどり着いても、それはそれでいいと思うんです。例えば野球部などと同じで、甲子園に届かず負けることもありますが、本気でやったからこそ本気で悔しがれますし、仲間もできます。就活は冷笑されることもありますが、せっかくやるなら本気で取り組んで、いい体験をしてほしいと思っています。
編集後記
理系の大学院まで進みながら文系就職を選び、そこから独立という道に進まれた岡本さんのお話は、レールを外れることへの怖さを感じている私自身にも重なる部分が多くありました。とくに「就活はガチったもん勝ち」という言葉が印象的で、条件面だけでなく思いに目を向けることの大切さをあらためて感じました。就活を控える身として、今回のお話を糧に、自分なりの納得のいく就職活動をしていきたいと思います。貴重なお話をありがとうございました。