独立は、流れの先にあった
広告代理店からメーカーへ
もともと私は広告代理店に勤めていて、そのあとメーカーに転職しました。のちにM&Aされたのですが、そこでインナーベンチャーを立ち上げて、ヘアケアの会社をつくったんですよね。
突然の解散、そして退職
親会社の業績状況に準じて子会社を整理しようという話になり、インナーベンチャーでつくった会社も解散することになりました。親会社に戻ってくればという話もありましたが、大きい会社は政治的なこともたくさんあって、少し組織疲れをしてしまったんですよね。それで一回、会社を辞めることにしました。
フリーランスから法人化へ
サラリーマンを一回休もうと思ったものの、生きていかなければいけないので、フリーランスになったのが独立のきっかけです。強い思いを持って独立したというより、流れでそうなったというのが正直なところです。マーケティングの仕事をはじめたら、ありがたいことにお客様がついてきてくださって、10年前に法人化して会社をスタートしました。
企画業と、もうひとつの事業
新規事業、商品、プロモーションの企画業
いまやっている事業は基本的に企画業です。新規事業や新ブランドをつくりたいという会社さんのお手伝いをしたり、既存事業の課題解決としてプロモーションやPRのプランニング、キャスティング、ウェブ構築のディレクションをおこなったりしています。
夫とはじめたトレーニング事業
プライベートでトレーニングをはじめたことがきっかけで、パーソナルトレーナーの夫と結婚しました。それで5年前に同社で夫の事業としてトレーニングジムを開業したんです。ことしの4月には事業を広げようと思い、2店舗目をオープンしました。1店舗目はパーソナルトレーニング、2店舗目は女性専用のセルフジムで、いまはこの2店舗とマーケティングの仕事を並行しています。
女性専用にしたわけ
子どもがいる方は、人生が大きく変わったり行動が制限されたりすることがあると思います。独身でバリバリ働いている女性でも、子育てが一段落した方でも通いやすい、女性専用のセルフジムにしたいと思ってつくりました。子ども連れでも来やすいような工夫をしたり、体験のときに1時間ほどじっくりお話しする時間をつくったりしていて、拘束されすぎずにコミュニケーションが取れる、ちょうどいい距離感を意識しています。スタッフが常駐している必要がないぶん、運営自体はしやすいと感じています。
認知拡大という、いまの課題
コツコツ積み上げてきた実感
大手のようにたくさん予算があるわけではないので、できることをひたすらコツコツやってきました。おかげさまで事業は順調に軌道に乗ってきている実感がありますが、セルフジムの店舗はオープンしたばかりということもあり、認知の獲得はもう少し頑張りたいところです。
SNSでの発信の難しさ
SNSも運用はしていますが、企業さんに「こう発信するといいですよ」とアドバイスするのと、自分自身で発信するのとでは、また別の話だと感じています。時間の確保も簡単ではありませんし、いわゆるインフルエンサーのような動き方は自分には向いていないので、いまは違う手法での発信を模索しているところです。
学生時代と、チームのつくり方
単位はギリギリだった
大学時代は遊びとバイトばかりしていましたね。芸術系の大学に通っていたのですが、学校のすぐ近くにドトールコーヒーがあって、そこで友達と話して帰るような日も多くありました。。単位もギリギリで卒業しました。
社員は身内だけという選択
今は正社員は身内しかおらず、あとは業務委託でお願いしています。もともと大きい会社をつくろうと思っていたわけでもないですし、人様の人生を預かる度胸がなかったという本音もあります。ですので人材に関してはあまりリスクを背負わないようにやってきました。最近ではAIもかなり活用しています。AIに助けられる場面をたくさん経験するなかで、世の中的にも採用は少なくなっていく方向だというのは実感しますし、知り合いの経営者と話していても人件費を削っていく流れをよく耳にします。今後、事業が広がれば採用の方向が変わる可能性もありますが、いまは自走できる方と手を組んでレベニューシェアをしていくやり方が、弊社には合っているのかなと思っています。
これからの働き方
労働集約型からの卒業
セルフジムの店舗をはじめた理由には、子どもと過ごす時間がほしかったこともあります。サラリーマンもそうですが、自分の時間を対価にしてその時間内でいくら稼ぐかという働き方だと、結局は時間から逃れられません。スキルを売るといっても、AIの台頭で時代は大きく変わりました。だからこそ、これから先も人々が求めるジャンルで、自分が動いていなくても収入が途絶えない仕組みをつくりたいという思いが強くありましたし、会社も10年目を迎えたので、これまでの実績の集大成のような事業にチャレンジしてみてもいいかと思ったんです。弊社の強みを整理した結果、いまのスタイルにたどり着きました。
保育士資格に挑戦中
実はいま、保育士の資格の勉強をしています。子育てをするなかで子どもの成長に興味を持ったこともありますが、ここ数年で労働の価値のあり方が大きく変わったと感じていて、介護や医療、保育のように人が介在しないと成り立たない仕事の価値をあらためて実感しました。国家資格ですし、いまのうちに取っておきたいと思ったんです。いますぐ保育士として働こうというのではないですが、資格を持つことでトレーニングジム事業のビジネスにも広がりが出るのではないか、という考えもあります。
就活生に伝えたいこと
一社目がその後を左右する
いまの若い方々は優秀でいい方が多いという印象を持っています。内面も優しく素直で、よく勉強していると感じます。だからこそ、この人柄を大事にしてほしいと強く思います。一社目の選択はその後の人生に大きく影響すると個人的には思っています。「いい会社」に入ることをすすめるというより、きちんとした企業文化を持つ会社に入ることをおすすめします。素直でいい方が多いからこそ、営業のやり方がいい加減だったりブラックに近かったりする会社に入ると、それが社会人としてのデフォルトになってしまいます。それはもったいないことなので、会社の規模にかかわらず、真面目できちんとしたやり方をしている会社に入るのが、はじめの一歩としては一番いいと思います。うまくやろうとしている大人ではなく、善く生きよう、自分に誠実に生きようとしている大人の背中を見てほしいですね。
編集後記
今回お話をうかがって、印象的だったのは「強い思いがあって独立したわけではない」という素直な言葉でした。就職活動をしていると、つい華々しいストーリーばかりに目が向きがちですが、流れのなかで選択を重ねてきたからこそ、いまの色とりどりの事業があるのだと感じました。条件だけでなくカルチャーを見て一社目を選んでほしいという言葉は、就活生の自分にも深く刺さるメッセージでした。