現場が身近にあった子供時代
私は小さいころから、建設業に親しみがありました。家の近くで重機やダンプが動いているのを見て育ったので、まったく特別なものではありませんでした。
学生時代のアルバイトが原点
きっかけになったのは、学生のころに建設会社でアルバイトをしたことでした。現場で実際に工事の施工管理を行ったり、重機を動かしたりしたことがあって、造成工事の現場だったのですが、どんどん街がきれいに整備されていく様子を目の当たりにしたんです。あの経験が、今でもこの仕事を続けている原点になっています。
東京都内で橋・道路・河川をつくる
弊社は土木と建築の両方の工事を手がけていて、比重としては土木工事のほうが多いです。橋をつくったり、道路や河川の工事を実施したりと、東京都内を中心に事業を展開しています。
めざすのは「自動化施工」という未来
関東地方整備局の道路工事で無人化施工が「初」に
これからも土木工事という仕事はずっと続けていきますが、建設業界は少子高齢化とともに人口減少という課題を抱えています。このため私が大事にしているのは、いかに生産性を上げて、効率よく仕事をしていくかということです。
ドローンの活用に加えて、今年からは無人の重機を遠隔操作する取り組みを実際の工事現場で進めてきました。1人で2台の重機を動かすといったことも試していきます。来年からは一部を無人化・自動化していく段階に入る予定です。
国土交通省の関東地方整備局が所轄した道路工事における無人化施工は、弊社が管内で初めての事例になりました。これは新聞にも取り上げていただきました。来年度以降は、工事現場の掘削作業のうち約3割をすべて自動化していきたいと考えています。
もちろん最終的には全工程の自動化をめざしていますが、そこまでにはまだ数年がかかります。今は国内のベンチャー企業やメーカーとタイアップしながら、AIに学習させるためのデータを収集している段階です。また、中国はドローンやAIの自動化技術で世界的にも進んでいる部分があるので、中国の企業とタイアップしながら、日本の工事現場に合う形にバージョンを変えていくことにも取り組んでいこうと考えています。
人間には休憩も睡眠もトイレも必要ですが、機械にはそれが必要ありません。だからこそ機械化を進めて、いかに生産性を上げていくかということに、これからも取り組んでいきたいと考えています。
理解してもらうことの難しさ
今のビジョンに向けた課題として感じているのは、こうした取り組みを社内で理解してもらい、実現に向け行動を起こしてもらうことの難しさです。いろいろな部分でさまざまな課題があるなかで、そこが今の一番の難題だと感じています。
従業員60名超のチームで
現在、弊社の従業員は60名ほどです。
学生時代はアメリカンフットボール一筋
学生のころは、正直なところ勉強よりも、スポーツに熱中していました。大学ではアメリカンフットボールに打ち込んでいて、技術職とはまったく縁のない学生生活でしたが、現場が好きだという気持ちだけはずっとありました。
未経験からでも活躍できる現場
学生に向けてお伝えしたいのは、資格や専門知識がなくても、この業界に入ることはできるということです。図面を描くことが好きな人もいれば、コミュニケーション力を活かして工事現場の施工管理をしながら、職人の方々といろいろな意見を交わすことが得意な人もいます。2〜3年ほどかけて現場経験を積みながら仕事をしていく道もあり、弊社でも施工管理の女性社員が、まったくの未経験から活躍しています。
6月末には東京都の小池知事との「女性活躍推進条例に係る意見交換イベント」に参加させていただく機会があり、弊社の女性の施工管理職や重機オペレーターについてお話しする場面がありました。私自身は女性だからということを特別に意識しているわけではなく、若手や次の世代が働きやすい環境をつくることが、結果として男女を問わず現場全体の働きやすさにつながっていくと感じています。
採用課題は「学生とのつながり」
採用において今一番重要と考えているのは、建設業に興味がある人材とつながることです。採用活動では、現場体験を通じて仕事の魅力を伝えるとともに、未経験者でも安心して入社・成長できる環境を整え、将来の人材とのつながりを積極的につくっています。学生と直接話し、業界や会社を知ってもらう機会を大切にしています。
5年を超えれば残っていく
社員の育成にあたって私が避けたいと考えているのは、1年未満で辞めてしまうことよりも、3年以上働いたうえで辞めてしまうことのほうです。もちろんミスマッチがあってはいけないので、インターンシップなどの際にお互いの意見のすり合わせを行っていますが、今の時代は「石の上にも三年」と言い切れるものでもないと感じています。弊社では、5年という節目を越えた社員は、その後益々精力的に仕事に取り組んでいます。
編集後記
今回お話をうかがって、一番印象に残ったのは「機械には休憩もトイレも必要ない」という言葉です。AIやロボットの話題はホワイトカラーの仕事を中心に語られがちですが、ブルーカラーの現場でも着実に自動化が進んでいることに驚きました。資格がなくても挑戦できるという言葉には、進路に悩む学生として率直に勇気づけられました。貴重なお話をありがとうございました。