インタビュー

知らないものは好きになりようがない。京都発、人と組織の成長を支援する経営者の原点

知らないものは好きになりようがない。京都発、人と組織の成長を支援する経営者の原点
PROFILE
株式会社キャリアリーダーシップラボ 代表取締役
森田 祐司

メーカー時代からコンサル、そして起業へ

学生時代は特に頑張っていない

学生時代に何か頑張ったことと聞かれると、正直なところ、特にないんですよね。やりたいことも明確になっていなくて、学業にもあまり身が入っていなかったというのが本当のところです。

むしろ働き始めてからのほうが、何か学びたい、必要だという欲が出てきました。実家が商売をしていたので、なんとなく商売をするとか、経営に関わるとか、そういうことは意識していましたが、起業したいという思いがそこまで強かったわけではありません。

インドネシア駐在が転機に

大学卒業後は食品メーカーに就職しました。起業したのはそこから随分あとのことで、法人設立自体はまだ2年ほどです。メーカーからコンサルティング会社に移り、そこから人材育成の会社に移って経験を積み、独立に至りました。

きっかけのひとつは、メーカー時代にその会社が株式公開を目指していて、上場準備に関わる仕事をしたことです。結局その会社の株式公開はできませんでしたが、経営に携わる機会として大きな刺激になりました。

もうひとつは、インドネシアの現地法人に2年間出向したことです。海外に触れて、現地のスタッフや合弁企業のパートナーと関わる経験は、今までにないものでした。このふたつの経験が、独立を考えるきっかけになったと思います。

コンサル会社で研修の面白さを知る

30代半ばで、経営コンサルティング会社に移りました。そこで経営支援や経営診断、社員教育に携わるようになったのですが、メーカー時代にはまったくやったことのなかった社員教育を、身をもってやるようになって、面白さを感じました。

研修は、人の能力開発や考え方に影響を及ぼす仕事です。具体的なスキルが身につくだけでなく、その方がより良くなるための気づきやきっかけになる。そうした瞬間に立ち会えることが、自分に合っていると感じた点だと思います。

副業を経て法人化

その後、NTTグループ企業の教育研修会社に移り、そこで社員として勤めながら、副業として研修の仕事を5年ほど続けていました。そこから法人を設立して2年ほどになるので、副業時代を含めると7年ほど携わってきたことになります。

人と組織を3本柱で支援する

プログラム数と実績が強み

弊社は企業研修や人材育成、キャリア開発のBtoB支援をおこなっています。強みは、プログラムやメニューの種類が多いこと。私自身が研修プログラムを作ってきていて、これまで大企業を中心にたくさんの実績があります。研修を受けてもらった方は、1万人単位になると思います。

差別化点は、人材開発とキャリア開発、組織開発という3つのカテゴリをトータルで支援していることです。研修だけでなく、その方のキャリアをどうより良くしていくかにも関わりますし、個人の成長だけでは組織としてうまくいかないこともあるので、組織における人と人の関係性やリーダーシップ、上司と部下の関係性まで含めて、トータルで支援させてもらっています。

評価より関わり方を伝える研修

たとえば、管理職向けに人事評価の研修をおこなうことが多いのですが、一般的な人事評価の研修は、評価のやり方やルールを教える内容が中心です。弊社の場合はそうではなく、上司が部下と関わるときの姿勢や、部下の成長やキャリア支援を考えたうえでの目標設定、評価のしかたを研修のなかで伝えています。

そうすることで、単なる評価スキルではなく、部下と向き合う姿勢や関わり方、関係性そのものが変わったと言っていただけることが多いです。組織としてどうなっていきたいか、そのために人がどう変わっていくかまでサポートするのが、弊社らしさであり、そうした結果につながる部分だと思っています。

経営のすべてを一人でこなす大変さ

創業して大変だったのは、とにかくやることが多いことです。会社員のころは、それぞれ担当の人がいて自分でやらなくてもいいことがたくさんありましたが、起業するとすべて自分でやらなければなりません。もちろん人を雇用したり、業務委託でお願いしたりすることはできますが、それでもやることの多さは変わりません。

ビジネスとしては始めてから比較的安定していたので、事業そのものの大変さというより、会社経営としての大変さのほうが大きかったと思います。研修の提供や、プログラムの準備、会社経営そのものを、基本的にはすべて自分でおこなっています。

これからのビジョン

複数年で組織に関わりたい

弊社の経営理念は「人と組織の成長を支援する」ことです。これをさらに広げていきたいと思っています。

今できていないことのひとつが、単発の研修だけでなく、企業や組織に複数年関わらせてもらうことです。人が育って組織が変わり、会社も成長していくしていく。会社自体が成長していく過程に、数年かけて関わらせてもらう。そうした活動を増やしていきたいと考えています。

主体的なキャリアを増やしたい

自分自身、いろいろなキャリアチェンジをしながらここまでやってきたので、自分のキャリアをより良くしていく人を、もっと増やしていきたいと思っています。

会社としてやるのか、NPOのような形をつくってやっていくのかはまだわかりませんが、組織から与えられたキャリアを歩むだけではなく、自分で主体的にキャリアを歩んでいく人を増やしていきたい。これが、私にとって壮大なビジョンです。

このビジョンの原点は、自分自身が主体的にキャリアを形成してきたこと、そしてキャリアコンサルタントとしてキャリア支援に直接関わってきたことにあると思います。大学でも長年キャリアの授業を担当していて、学生と触れ合う機会をたくさんいただいてきました。主体的にキャリアを形成する人が増えると、その人自身の充実にもつながりますし、世の中全体も良くなっていくと感じています。

学生へのメッセージ

知らず嫌いにならない

大学の授業でもよく言うのですが、やりたいことはすぐには見つからないですし、やってみないとわからないこともたくさんあります。

いろいろなことを経験してみる、社会動向に関心を持ってアンテナを立てておく。そうすると、ふと自分の興味関心に出会えることがあります。知らず嫌いにならない、というのをよく伝えています。知らないものは好きになりようがないので、まずはいろいろ知ってみる、経験してみる、やってみることが大切だと思います。

選択肢を広げてほしい

ひとつの仕事だけで終わる人生は、この先ほとんどなくなっていくと思います。むしろそういう人のほうが珍しくなっていくはずです。キャリアチェンジもあるでしょうし、兼業や副業も当たり前になっていきます。

そうしたなかで、可能性や選択肢を広げていくことが大事だと思っています。

編集後記

今回お話をお聞きして、印象に残ったのは「知らず嫌いにならない」という言葉です。やりたいことがすぐに見つからなくてもいい、経験してみることで初めて自分の興味に気づけるという考え方は、就職活動を控える私自身にも重なる部分がありました。メーカーからコンサル、そして起業という遠回りに見えるキャリアも、すべてが今につながっていると感じさせられるインタビューでした。主体的にキャリアを歩む人を増やしたいという森田さんのビジョンに、これからも注目していきたいです。