インタビュー

ネガティブな投稿がバズって1日で登録者が急増した野球ファンアプリの話

ネガティブな投稿がバズって1日で登録者が急増した野球ファンアプリの話
PROFILE
株式会社ななごー 責任者
長谷川晶平

株式会社ななごーで代表をしている長谷川晶平です。野球ファン同士をつなぐマッチングアプリ「ScoreBook(スコアブック)」の運営とホームページ制作を中心としたWeb受託開発の2つを手がけています。

音楽サイトの大失敗から始まった

大学を出て3年目の頃に、エンジニア仲間2人と組んで、3人で会社を作りました。最初に手がけたのは音楽系のクラウドファンディングサイトでしたが、全く閲覧されないままサイトそのものを閉じる結末になってしまいました。あれはかなり失敗した経験でした。

起業しようと思ったきっかけは、自分自身が考えるWebサービスを立ち上げたかったからです。大学の頃に流行ったmixiのコミュニティが面白く、その体験があったことからSNSの分野に関心があり、さらに、自身が野球好きであることも、もうひとつの軸になっていると思います。

2人のうち今も付き合いがあるのは1人だけで、もう1人はYouTuberになっています。ネットの分野はそもそもの起業のハードルが低いところがあるため、いろいろな道に分かれていくのも面白いところだなと思います。

野球ファン同士をつなぐScoreBook

弊社の事業内容は大きく2つあります。1つは野球ファンを繋ぐマッチングアプリ「ScoreBook」の運営、もう1つは企業から依頼を受けてホームページやWebサービスを作る受託の仕事です。

ScoreBookを作った理由は、現在のプロ野球は年間約2,700万人の観客動員があり、シーズン中はほとんど毎日どこかで試合がおこなわれているからです。しかし、「野球には行きたいけれど、一緒に行く友達がいない」という話をよく耳にしていました。実際、私自身もその部類だったことから、SNSと野球という異分野を掛け合わせて作ったのが「ScoreBook」になります。

「マッチングアプリ」という言い回しをすると、男女の出会いの場を提供するサービスをイメージされる方が多いですが、弊社の場合は、純粋な野球ファン同士の繋がりを作ることを目的としています。ユーザーの男女比なども特に気に留めていませんし、タイムラインの機能もあるため、その日の試合について語ったりつぶやいたりできるSNSとマッチングアプリの中間のような形式を意識しています。

運営していて楽しいのは、アプリ内で知り合ったユーザーが開くオフ会に参加できることです。新しい繋がりがどんどんできていく様子を見られることは、本当に面白いです。

もう1つの事業であるWeb受託は、ホームページ制作とSEOのコンサルティングが中心です。最近はAIが主流になってきていることから、AIにどうすれば引用してもらえるかというAIO(AI最適化)にも力を入れています。

バズがもたらした思わぬ追い風

「ScoreBook」の集客は、野球好きのインフルエンサーを探して、X(旧Twitter)やInstagramでPRしてもらう形式がメインです。ただ、これまでのB to Bの仕事では、インフルエンサーマーケティングの経験がなかったことから、依頼に応じてくれるインフルエンサーを探したり、交渉したりする場面ではかなり苦労しました。

ある時、野球好きの方でややネガティブな投稿をされる方がいて、アプリのスクリーンショットを撮ったうえで、「野球ファンでこんな人がアプリに登録している」という投稿をされたのです。普通であれば、そこから炎上する事態に発展してもおかしくはなかったのですが、その投稿に関しては、むしろ思いがけずバズり、その日だけで登録者数が3000~4000人くらい大きく伸びる結果に繋がりました。

もちろん、投稿自体はネガティブな内容でしたが、それをきっかけに登録してくれたユーザーには、きちんとアプリを使ってくれる方が多く、アプリ内で炎上する事態にはなりませんでした。インフルエンサーに依頼するPRはひと目で「広告」だとわかり、かつネガティブな話題のほうが反応してもらいやすいという面もありますが、狙って起こせるものでもないという難しさも感じています。

このバズりがきっかけで、某プロ野球球団様から連絡をいただいたこともあります。球場の広告や球団のSNSでのPRを提案していただいたのですが、今後どうやって活用していくかはまだ検討している段階です。

目指すはユーザー10万人

今は会員が2万人少々ですが、ユーザー数は10万人を目指していきたいです。その理由は、プロ野球の年間観客動員数は約2,700万人であり、まだまだユーザー数を伸ばせる余地があると思うからです。

ある程度国内でユーザー数を伸ばせたら、次はMLBを見据えて海外版を出すことも視野に入れています。それというのも、仮に「日本国内のMLBファン」に限定した場合、どうしても市場規模が小さくなってしまうためです。ですから、いずれMLBを対象とするアメリカでの展開も考えているのです。私自身、英語はそれほど得意ではありませんが、趣味をベースにしたマッチングアプリ自体、日本にもアメリカにもあまりないスタイルのはずですから、挑戦してみたい分野ではあります。

アプリを1つ運営していることから、受託の仕事にも良い影響が出ています。B to C向けのビジネスをしているお客様から、「自身でマッチングアプリを運営しているなら、気持ちがわかるのではないか」と声をかけていただくこともあり、相乗効果を感じている部分です。

スタッフは私以外にエンジニアや営業、デザイナーなどで4名で現在は業務をこなしています。ユーザー数が増えたとしても単純に人数を増やす必要はなく、今はAIを活用することでエンジニアの工数もかなり削減できるようになってきているため、新機能追加やサーバーアップデートに応じて必要な体制を整えていく形です。

学生には好きなことに没頭してほしい

これから就職活動やインターン先を探す学生の方に伝えるならば、SNSでも新しいアプリでも、興味のある分野を思いきり突き詰めてみることをおすすめします。旅行が好き、野球が好き、サッカーが好きなど、なんでもよいですが、学生のうちは自身の好きなことに没頭できる時間があるはずです。好きなことをやっているうちに、自身の向き不向きが自然とわかってくるのではないでしょうか。

編集後記

早稲田大学3年生で、学生ながら少しだけビジネスに関わっている身として、今回のお話はとても刺激になりました。趣味と課題感を掛け合わせてサービスを作り、失敗も経験しながら地道に育てていく姿勢に、学ぶことは多かったです。ネガティブな投稿がきっかけで伸びるという展開も含め、Webサービスの世界の面白さと難しさの両方を感じるインタビューでした。ScoreBookがユーザー数10万人、そしてさらにその先へと育っていく様子をこれからも楽しみにしています。