インタビュー

出産退職から見つけた、フルタイムを手放しても世界とつながる働き方

出産退職から見つけた、フルタイムを手放しても世界とつながる働き方
PROFILE
アンドアシスト株式会社 代表取締役
德丸佳世

外資系金融機関からの転身

上司の姿から見えたニーズ

外資系の金融機関で働いていたころ、当時の上司は2、3年ごとに海外から入れ替わり立ち代わりでやってきていました。日本の生活に慣れるのはとても難しく、言葉も話せないなかで、部下だった私にいろいろと頼みごとをしてくることが多かったんです。この経験が、のちの事業の原点になっています。

自宅発、個人秘書ビジネスの始まり

しばらく子どもたちと向き合う日々を過ごしたのち、少しずつ社会に復帰したいと考えるようになりました。そこで、生活スタイルを変えるために仕事を辞めたのに、もう一度フルタイムに戻るのは違うなと感じていました。それなら、以前から思い描いていた夢を実現してみようと、自宅で子どもを育てながら、外国人の方にリモートで個人秘書として生活をサポートするビジネスをスタートさせました。

バイリンガル事務アシスタントという事業

ターゲットとなるのは、スタートアップ企業や小さめの会社、極端にいうと一人社長で経営されている方々です。バイリンガルの事務アシスタントを雇いたいと思っても、フルタイムでは必要ないし、費用も高くなってしまう。そういったニーズと供給が合致するところに事業を立ち上げました。

事業内容としては事務作業で、秘書業務や英文事務・翻訳、経理・総務、人事・採用、営業サポート、カスタマーサポートまで幅広くご提供しております。強みとしては、フルタイムではなく時間制で依頼できる点と、バイリンガルのアシスタントがつく点が大きいと思っております。

チームワークの維持がいちばん難しい

フルタイムの従業員を雇って一人ひとりが職務内容に責任を持って全うしていく、という一般的な働き方とは異なるところに難しさがあります。弊社は子育てや介護など、何らかの理由でフルタイムにコミットできないけれど、社会とつながっていたいという人が安心して働ける場を提供することを大切にしております。

そのぶん、みんなが善意を持って協力してやらないと難しい仕組みでもあります。リモートで全国、世界中に散らばっているアシスタントが、心を一つにして助け合いながら、お客様に良いサービスを提供する。そのチームワークを維持していくことが、いちばん難しいところだと感じています。

心と心のつながりを大切にする

チームワークを強化するために特別な施策を打っているというよりも、人と人のビジネスなので、心と心でつながれるようにすることを大切にしております。創業者として、みんなのことを本当に心から気にかけること。それを自ら実践することで、スーパーバイザーにも伝わり、そのスーパーバイザーもまた、下のアシスタントたちにそういうふうに接してくれるようになっています。

時差とのバランス

弊社が提供している一般事務や秘書業務は、テンポよくお客様とコミュニケーションを取りながら進める仕事が多いんです。経理のお仕事のように、時間を選ばずお願いできる業務もありますが、そういった仕事はどうしても人気になってしまい、数は多くありません。ですので、時差のある方でも全然大丈夫とは言い切れないのですが、皆さんに合ったお仕事を提供できるよう、バランスを見ながら勤めております。

「日本クオリティ」を広げていきたい

今後は、日本が培ってきた質の高い接客技術と、お客様の期待を超えるおもてなしのマインドセットを世界に広げていきたいと考えています。 

すでにみんなが知っているサービスであれば受け入れてもらいやすいのですが、まったく新しい考え方を広げていくのは、ニーズがあることさえも、まだお客様の中で結びついていないことが課題です。探している人がいない中で良さを伝え、声を高めて説得していく必要があると感じております。認知度がないぶん、人と人として話していくことが重要だと思い、足を運んで営業活動をおこなうことと、デジタルマーケティングで粘り強くコンテンツを発信していくことを続けております。

学生の皆さんへ

自分にはできないんじゃないかという自信のなさから、自分でリミットを小さくしてしまうことが、私自身も多くありました。若い時は本当に二度と帰ってきませんし、若いうちは失敗しても許されます。リミットを外して、やりたいと思っていることを遠慮せずに思い描き、夢に向かって一歩一歩進んでいかれるのがよいのではないかと思います。

これは学生の皆さんへというより、自分自身へのメッセージでもあります。学生の皆さんにはまだまだ何十年も時間がありますが、私はもう若くはないので、自分のリミットを狭めず、つかめるチャンスはつかんでいきたいと思っております。

大学時代のことを振り返ると、留学に挑戦しておけばよかったと感じております。ずっと大企業に勤めていましたが、フィンテックのような、世界中を飛び回って仕事をする世界に飛び出してみたかったという後悔もあります。東京オフィスに閉じこもって仕事をしている自分を見て、もっと外に出て金融の仕事をしたかったなと。今は縁があってオーストラリアに拠点を置いておりますが、こうした「もう一つ挑戦しておけばよかった」という気持ちが、今の事業にもつながっていると感じております。

編集後記

今回は、アンドアシスト株式会社の德丸様にお話を伺いました。出産を機に一度キャリアを離れながらも、そこで見えた課題をそのまま事業に変えていく行動力が印象的でした。フルタイムという枠組みにとらわれず、時間や働き方に多様性を持たせる考え方は、これから社会に出る私たちにとっても学びが多いと感じます。リミットを自分で決めないという言葉が、とても心に残るインタビューでした。