放送作家の企画力を、経営へ
放送作家として活動するなかで、企画を映像や事業として最後まで形にできる自分のチームをつくりたいと考え、企画・映像制作、PR、イベント運営などを手がける株式会社フェリーチェを設立しました。放送作家は、番組ごとに異なる制作チームへ外部スタッフとして参加する働き方が中心です。その仕事にやりがいを感じる一方、自分発のアイデアを企画から制作、発信まで一貫して実現することには難しさも感じていました。そこで、自分のホームグラウンドとなる会社をつくろうと考えたのが、起業のきっかけです。
放送作家の企画力を、さまざまな分野へ
放送作家として培ったのは、台本を書く力だけではありません。情報を整理し、魅力が伝わる切り口を考え、企画として成立させる力です。現在はその力を、企業や自治体のPR、動画制作、イベント、教育事業などにも広げています。例えば、地域のお店の商品キャッチコピーを考えたり、企業や自治体のメディア向けPRを企画したりすることもあります。
子どもがメイクやコスメに触れる機会が増える一方、安全な使い方や年齢に応じた知識を学ぶ場は、まだ十分ではありません。そこで、美容を安心して楽しみ、自己表現する力を育てる「日本キッズコスメ協会」を立ち上げました。
静岡県御殿場市では、東京のギャルと地元の女子高校生が交流し、ギャルの明るさや発信力、「かわいい」の感性で地域の魅力を再発見・発信する町おこし企画も進めています。
幼少期から培われたクリエイティブへの興味
学生時代から続く、ものづくりへの関心
大学時代からCM制作やコピーライティングに携わり、書くことを仕事にしたいと考えていました。最初から放送作家を目指して就職したわけではありませんが、働くなかでその仕事を知り、自分の企画力や文章力を生かせると感じて、放送作家の世界に入りました。当時は、自分で会社を立ち上げることまでは考えていませんでしたが、仕事を続けるなかで、自分の企画をチームで形にしたいという思いが強くなっていきました。
会社を立ち上げてからの苦労
依頼を受ける側から、事業をつくる側へ
個人の放送作家としては、実績や紹介を通じて声をかけていただく仕事が中心でした。しかし、会社として新しい事業を始めると、自分たちの価値をどのように知ってもらい、継続的な売上につなげるかを考える必要があります。協賛をお願いする場合も、単に資金提供を求めるのではなく、相手にどのような価値を提供できるかを示すことが重要です。そこは今も試行錯誤を続けています。一方で、やりたいことを周囲に伝えることで、共感してくれる人や新しい機会につながることも多くありました。
多彩なクリエイターとのチームづくり
現在は、音楽、動画、ゲーム、PRなど、それぞれの専門性を持つ社内外のクリエイターとチームを組み、企画ごとに最適な形で制作を進めています。
今後のビジョン
AIの進化で「形にするスピード」が上がっている
ここ数年でAIが急速に発達し、企画のたたき台や試作品であれば、これまで数週間から数か月かかっていたものを、内容によっては数日で形にできるようになりました。AIも活用しながら、たくさんのアイデアをより早く形にし、世の中へ届けていきたいと考えています。
ワークショップという形で教育とエンタメをつなげたい
もともとテレビ番組の動画や、YouTubeなどSNS向けの動画を作ってきたんですけど、日本キッズコスメ協会のようなコンテンツとして、ショッピングセンターなどで子どもたちにネイルやメイクの体験をしてもらうワークショップも始めています。
こうしたワークショップづくりやコンテンツづくりを、さらに広げていきたいと考えています。ギャルによる町おこしも同様ですが、一見難しそうなことや、一見不向きに思えるテーマでも、話題性や面白さを取り入れることで、教育の分野に届けていく「教育エンタメ」のような取り組みを展開できたら面白いと思っています。
人に会う時間をもっと増やしたい
広めていくにあたって力を入れているのは、あまり変わらないんですけど、本当に人に会うことと、やりたいと口にすることです。テレビ業界は、若い人と知り合うことも多ければ、年配の方と知り合う機会も多くて、10代から90代までいろいろな人と関わることができます。
その過程で人それぞれの課題を見つけて、それをビジネスに変えていくということがよくあるので、そうした時間をもっと増やせたらいいなというのが、今の課題だと思っています。
学生へのメッセージ
私自身は、若い頃から自分で可能性を狭めず、未経験の依頼にもまず挑戦してきました。何でも無理に引き受けるという意味ではありませんが、少しでも興味を持った仕事なら、一度飛び込んでみることで、思いがけない適性や次のチャンスが見つかることがあります。また、やりたいことは小さなことでも、周囲の人に言葉にして伝えることが大切です。その一言が思わぬ形で企画に発展したり、新しい人との出会いにつながったりすることがあります。
編集後記
今回、株式会社フェリーチェの相川真紀さんにお話をうかがいました。放送作家として活躍する一方で会社を立ち上げ、AIの力も取り入れながらアイデアを最速で形にし続ける姿がとても印象的でした。来た仕事を断らないこと、やりたいことを口に出すこと。どちらもシンプルですが、実践するのは難しいことだと感じました。私自身、学生として将来のキャリアを考えるうえで、まずは目の前の機会に飛び込んでみることの大切さを学ばせていただきました。貴重なお話をありがとうございました。