インタビュー

「会社の管理が古くて硬すぎた」飛び出した先で見つけた、AIエコシステムという答え

「会社の管理が古くて硬すぎた」飛び出した先で見つけた、AIエコシステムという答え
PROFILE
イーライフシステム株式会社 代表取締役
桑 輝

古い会社を飛び出して

硬い管理体制に我慢できなかった

就職してからは、いろいろな職種にチャレンジしていました。社内には経営周りの研修もあって、私もよく参加していたんです。そのなかで、ソフトウェア開発やSES(システムエンジニアリングサービス)の業界に入ったのですが、会社の管理体制がとにかく古くて硬くて、正直、もう我慢できないところまできていました。

自分の人脈をたどって、営業を担当していた知人に相談したんです。「もし起業したら、仕事をくれませんか」と。いろいろな企業の経験がある人たちに相談を重ねたうえで、起業を決意しました。

自社製品を作りたいという夢があった

もう1つ、理由があります。エンジニアとして働くなかで感じていたのは、日本には自社製品を開発するスタートアップが少ないということでした。私自身は、ずっと自社製品を作りたいという夢を持っていたんです。

前に勤めていた会社には自社製品がなく、この先の定年退職までの生活が、なんとなく目に見えてしまっていました。それがつまらないな、と感じたことも、会社を作るきっかけの1つになっています。

12年かけて積み上げてきた事業

IT研修から始まった弊社の歩み

弊社イーライフシステムは、2014年5月に設立しました。インターネットのプロダクトをずっと作りたいという思いがあり、そこから「イーライフシステム」という社名を付けています。

最初の5年間は、ほぼ研修事業が中心でした。IT人材の発掘や教育も手がけていましたが、特に強みだったのはITの研修と日本語ビジネス研修です。

AIの影響で研修事業をアップデートした

しかし、2025年はIT業界に限らず、AIの影響がとても大きく出た1年でした。一般的なIT研修はなかなか売れない状況になり、ホワイトカラーの働き方にも影響が及んでいます。

そこで弊社は、既存事業をアップデートしました。もともとのIT研修を、AI研修とコンサルティング、伴走支援、システム開発まで一連でつながるサービスへと組み替えました。ちょうど4月が期初にあたるタイミングで、新しい事業年度の戦略を固めました。イーライフシステム以外にも、一般社団法人「東京生成AI開発コミュニティ」の運営も手がけており、そちらのサービスページにAI関連の取り組みを詳しく掲載しています。

教育プロダクトからAIエージェントへ

もう1つの事業の柱が、教育系のプロダクトです。もともとオンライン技術教育のサービスを提供していたのですが、GPTの登場で世の中の教育業界にグローバルな「アハモーメント」が広がり、開発を本格化させました。

今は教育系のプロダクトCoderBar.comと、ビジネスSNSのプラットフォームLinkora.comという2つの製品をメインに提供しています。今後は、教育領域と求人領域をつなぐAIエージェントの開発・運営に力を入れていきたいと考えています。

技術者だからこそ、売り方に悩んだ

弊社は技術者ばかりの会社なので、開発はできても、どうやってサービスを売るかというところに、ずっと課題を感じてきました。オフラインでの案内やSNSでの発信、宣伝や広告、プロモーションなど、いろいろな方法を勉強しながら模索してきました。

マーケティング領域に強い人材の採用や、外部企業との協業など、これからも様々な方法を組み合わせていく必要があると感じています。

目指しているAIエコシステム

バラバラな採用と学びを1つにつなぐ

HRテック領域は、実は世の中に決定版と呼べるサービスがまだないと感じています。それぞれのサービスは存在していても、連携するものがない。全部をつなげるのは簡単ではなく、成功するまでにはやるべきことがたくさんあります。

この領域専用のAIエージェント自体は、最近少しずつ出てきていますが、まだ有名なものはありません。弊社の教育や求人のサービスも、これまでは利用者が「必要になったそのとき」だけ使うものでした。転職したいときに求人サイトを使い、知識が足りなければ本を読んだりビデオを見たりして勉強する。それぞれの情報が点在していて、日常的には使われていないんです。

インターネットが普及してから30年ほど、あまり変わっていない領域だと思います。ここをAIの時代に変えていきたいです。全体を継続的にサポートするプロダクト・システムとして提供したいと考えています。

学生に伝えたいこと

自分に合う人生を、自分で決めてほしい

みんな、どういう人生を過ごしたいかは、それぞれ違うと思うんです。家族との時間を大事にしたい人もいれば、ワークライフバランスを重視したい人もいる。だからこそ、自分がどんな人生を送りたいのかをきちんと考えて、他の人の意見や目線をあまり気にしなくていいと思います。自分に合う人生を、ちゃんと歩んでもらいたいですね。

新しい領域に挑戦してほしい

もし起業したい学生さんがいるなら、始める前にしっかり準備してほしいと思います。会社は大きく分けて、スタートアップとそれ以外の2種類があります。日本はアメリカや中国と比べて、スタートアップがとても少ない。これは日本の経済や社会の状況とも関係していると感じていて、だからこそ、新しい領域に挑戦して欲しいです。

私自身、今45歳になりますが、日本はこれから本気で立て直さないといけない局面にきていると感じています。皆さんと一緒に、良い社会を作っていきたいですね。

編集後記

今回のインタビューを通じて、技術者としてのキャリアのなかで感じた課題感を、自らの手で事業に変えていく行動力に圧倒されました。AIの進化にあわせて事業をアップデートし続ける柔軟さも印象的でした。特に「バラバラに存在するサービスをAIでつなぐ」という視点は、学生の私たちが業界を見るうえでも、とても学びの多い考え方だと感じます。スタートアップに興味を持つ学生の皆さんにも、ぜひ挑戦する勇気を持つきっかけにしていただければと思います。