学歴や年齢ではなく、挑戦する人が評価される世界を知った
就職氷河期に覚えた違和感
私が大学に入学した2002年ごろは、就職氷河期の真っただ中でした。当時は、良い大学に入り、大きな会社に就職して、定年まで勤めることが安定した人生だと考えられていたんです。しかし現実には、有名大学を卒業しても思うように就職できない人がいました。どの大学を出たか、どの会社に入ったかで、その後の人生まで決まってしまう。そんな社会の空気にも違和感を覚えていましたね。私自身は理系の学部に在籍していて、就職活動に大きな不安があったわけではありません。それでも、学歴や所属先だけで人の可能性が判断されることには疑問を感じていました。
学生でも成果で道が開けた
そんな私の価値観を大きく変えたのが、大学時代の営業経験です。大学2年生のころ、ADSLが急速に普及し、インターネットが一般家庭へ広がり始めていました。私は学生ながら、その営業の最前線に飛び込んだんです。営業の仕事は決して楽ではありません。思うように成果が出ないこともあれば、自分で考えて行動を変えなければ結果につながらない厳しさもあります。それでも、そこには大きな魅力がありました。学歴も年齢も関係なく、挑戦して成果を出した人にチャンスが与えられることです。
学生のまま課長を任された
私は学生のまま課長を任され、自分より年上の社会人を指導する立場にもなりました。もちろん、最初から人を育てる能力があったわけではありません。自分自身も試行錯誤しながら、仲間と一緒に成長していきました。当時、私たちが大切にしていたのは「ここで3年間、本気で取り組めば、学歴に関係なくどこでも通用する力を身につけられる」という考え方です。この経験を通じて、若い人でも環境と機会次第で驚くほど成長できることを実感しました。そして、いつか自分もそうした機会をつくる側になりたいと考えるようになったんです。
挑戦も挫折も経験したからこそ、若者に伝えたいことがある
30歳で赤字企業を立て直す
その後、私はさまざまな企業で事業の立ち上げや経営に携わってきました。なかでも大きな転機になったのが、30歳のときに関わった、3期連続赤字の介護中小企業の立て直しです。立派な計画を描くだけでは何も変わりません。現場に入り込み、社員一人ひとりと向き合い、目の前の課題を片づけていく。そんな泥臭い仕事の積み重ねで培われた経験が、今の私の土台になっています。その後も、介護領域で人材紹介事業をゼロから立ち上げたり、IPOを目指すベンチャー企業で経営管理体制の構築に関わったりと、多くの経験を積ませていただきました。
現実はきれいではなかった
経歴だけを並べれば、順調にキャリアを積んできたように見えるかもしれません。しかし、実際にはそんなにきれいな話ではないんです。新しい事業に挑戦すれば、思うように進まないこともあります。組織のなかでは、自分が正しいと思うことが必ずしも受け入れられるとは限りません。信頼していた人との関係に悩み、真っすぐに向き合ってきたつもりでも、その思いが伝わらず傷ついたこともありました。人に恵まれ、貴重な機会をいただいた一方で、悔しい思いや挫折も経験しています。それでも振り返れば、そうした経験の一つひとつが今の自分をつくっているんですよね。
現場の知恵を若手に伝えたい
30代後半には、これまでの現場経験や経営の知恵を整理し、閉ざされがちな環境で働く若い人たちに伝えていくための手段として学び直しもおこないました。目的は資格や肩書きを得ることではなく、自らが泥臭く経験してきた言葉になっていない知恵を整理し、若手に手渡せる形にすることです。ただ、どれだけ体系的に学んでも、それだけで経営ができるようになるわけではありません。形だけを整えても現場では通用しないんです。私が若い人に伝えたいのは、知識や肩書きそのものではなく、30歳での赤字企業立て直しのように、現場で考え、動き、失敗から立ち上がってきた生の経験です。学びや資格は理解を深めるための手段であって、自分を飾るためのものではありません。
現場で何をしてきたか
うまくいった経験だけでなく、失敗や挫折から何を学び、次にどう行動するか。そこに人が成長する本質があると考えています。経営の現場には、教科書どおりに解決できない問題がいくらでもあります。社員が突然辞めることもあれば、経営者の思いが現場に伝わらないこともある。正しい戦略を描いても、実行する人がいなければ何も変わりません。大切なのは、現場に入り、人と向き合い、ときには泥臭い仕事も引き受けながら、一つずつ前に進めることだと思っています。そうした経験を重ね、独立を経て、現在の株式会社やまたか経営未来ラボの設立に至りました。
日本のなかに埋もれている若者の可能性を引き出したい
環境で可能性を決めない
日本には、能力も意欲もあるのに、自分の可能性に気づかないまま働いている若い人がたくさんいると思います。年齢や社歴が重視され、若いうちは重要な仕事を任されにくい。前例がないという理由で、挑戦を止められてしまうこともあるでしょう。もちろん、すべての会社がそうではありません。それでも、自分の力を試す機会そのものを得られない環境があるのは、非常にもったいないと感じています。20代は、失敗してもやり直せますし、挑戦を通じて大きく成長できる時期です。もっと挑戦してもいい。失敗してもいい。若いうちから経営に関わったっていい。そんな選択肢が、もっと当たり前に存在する社会にしたいんです。
中小企業と若者をつなぐ
私はこれまで、多くの中小企業経営者と接してきました。そのなかには、非常に優れた事業感覚を持ち、強い覚悟で会社を経営している社長がいます。しかし、中小企業の魅力は、会社名や求人票だけではなかなか伝わりません。大企業ほど知名度がなく、採用活動に十分な予算をかけられない企業もあります。一方、若い人からすると、知らない中小企業に飛び込むことには不安があるでしょう。だからこそ、私が両者をつなぐ役割を果たしたいと考えているんです。
経営者の近くで学ぶ価値
優れた経営者の近くで仕事をすることは、若者にとって大きな学びになります。社長が何を考え、どのように判断し、失敗したときにどう立て直すのか。その姿を間近で見ながら、自分自身も責任ある仕事に挑戦できる。これは、研修や座学だけでは得られない経験です。ただし、優れた経営者であれば誰でもよいわけではありません。若者の挑戦を受け入れ、育てようとする姿勢があることも大切です。私自身が経営者と向き合い、その考え方や人柄、事業の可能性を理解したうえで、若者が成長できる環境につなげていきたいと思っています。
若手人材と経営者が、一緒に成長できる仕組みをつくる
24歳が重要な役割を担う
現在、石川県の支援先企業では、24歳の若手社員が成長し、重要な役割を担い始めています。社会人経験がまだ浅くても、本人に意欲があり、挑戦できる環境があれば、任される仕事も成長のスピードも変わるんです。今後の活躍次第では、社会人2年目で年収600万円という水準も視野に入っています。私が伝えたいのは、単に若いうちから高い収入を得られるという話ではありません。若くても責任ある仕事を任され、自分の成長が会社の成長につながり、その成果が正当に評価される。経営の近くで働く以上、ときには厳しい経験もするでしょう。その経験こそが、将来どこへ行っても通用する力になると考えています。
5年間の挑戦で道を選ぶ
やまたか経営未来ラボでは、若手人材が中小企業の経営者の右腕として経験を積み、将来的には自ら起業したり、事業を引き継いだりすることも視野に入れています。たとえば5年間、本気で経営の現場に向き合う。営業、組織づくり、財務、事業開発など、会社を動かすために必要なことを実務のなかで学ぶ。その先に、同じ会社で経営幹部として活躍する道があってもいいし、自分で事業を始める道があってもいい。大切なのは、本人が自分の意思で将来を選べるようになることです。若者が成長し、企業も成長する。そのような関係を、一社ずつ積み重ねていきたいですね。
紹介して終わりにしない
私たちが目指しているのは、単なる人材紹介ではありません。若者を企業につないだ後も、経営者と若手の双方が力を発揮できるよう、必要に応じて経営支援をおこなっていきます。弊社では、外部CXO(経営幹部)として経営に参画し、事業戦略や組織づくり、経営管理などの実行を支援しています。経営者が抱える課題を一緒に整理し、若手が成長できる役割や環境をつくる。社内だけでは不足する経営機能があれば、私たちが補う。紹介や支援そのものが目的ではないんです。その出会いによって、人と企業の未来が変わること。そこに、私たちの存在意義があると思っています。
まずは自分たち自身が、挑戦し続ける
理想を語るだけでは変わらない
法人を設立したからといって、すぐに理想の仕組みが完成するわけではありません。現在は、私自身が経営支援の現場で仕事をしながら、少しずつ事業の基盤をつくっている段階です。理想を実現するには、事業として継続できる仕組みも必要ですし、企業や若手人材との信頼関係も欠かせません。思いだけで人を動かすことはできないんですよね。だからこそ、まずは目の前の経営者や企業に真摯に向き合い、一つひとつ結果を積み重ねていきたいと思っています。私自身も、まだ挑戦の途中です。
働くことが面白くなる場所
数年以内には、志を共にする仲間が集まり、互いに刺激を受けながら、新しいアイデアや事業が自然と生まれるような場所をつくりたいと考えています。仕事だから仕方なくやるのではなく、自分の意思で挑戦し、仲間と議論し、ときには失敗しながら前に進む。働くことそのものが人生を豊かにする、そんな環境が理想です。さらに長期的には、インドネシアやマレーシアなど、東南アジアへの事業展開も視野に入れています。日本が経験してきた経済成長や高齢化、企業経営の変化などは、同じような課題に向き合う国々で役立つかもしれません。ただし、まずは日本で、若者と中小企業がともに成長する仕組みを形にすることが先決です。
若い世代へのメッセージ
可能性を決めつけないで
20代の皆さんに伝えたいのは、今の会社や今の評価が、あなたの可能性のすべてではないということです。私自身、学生時代からさまざまな挑戦をしてきましたが、失敗も挫折もたくさん経験してきました。それでも、行動したからこそ出会えた人がいて、経験できた仕事があります。今はインターネットやSNSを通じて、会いたい人に直接連絡することもできる時代です。以前と比べて、挑戦するための入口は格段に増えました。一方で、日本にはまだ、年齢や学歴、会社の知名度などで人を判断する価値観が残っています。そうした環境に合わせて、自分の可能性まで小さくする必要はありません。
若いうちだからこそ挑戦を
もちろん、安定した働き方を選ぶことも大切な選択です。すべての人が起業家になる必要もありません。ただ、心のどこかに「もっと挑戦してみたい」「今のままで終わりたくない」という思いがあるなら、その気持ちを大切にしてほしいんです。私が出会いたいのは、最初から何でもできる人ではありません。自分で考え、行動し、失敗から学び、もう一度挑戦できる人。そして、そうした若者に機会を与え、ともに成長しようとする経営者です。若いからできないのではなく、若いうちだからこそ挑戦できる。やまたか経営未来ラボを通じて、そんな機会を一つでも多く生み出していきたいと思っています。せっかくの人生です。自分自身がワクワクできる道を選んでほしいですね。
編集後記
学生起業に挑戦している私にとって、大学2年生で営業の最前線に立ち、学生のまま課長を任されたというお話は、とても身近に感じられました。それ以上に心に残ったのは、山﨑さんが成功談よりも、30歳での赤字企業の立て直しや挫折から学んだことを率直に語ってくださったことです。肩書きで自分を飾るのではなく、目の前の現場で泥臭く結果を積み重ねていく。その姿勢こそが、どこへ行っても通用する力につながるのだと教わった気がします。私も周囲の価値観に流されず、自分がワクワクできる道を選び、挑戦を重ねていきたいと思います。