独立志向は特になかった
私が創業に至った経緯は、少し特殊だと思います。元々フリーターをしていた時期があり、2年前に宝石の卸業を始めました。Otoloの立ち上げは、その卸業での経験を活かしたものになります。
正直に打ち明ければ、「独立したい」、「経営したい」という気持ちは一切ありませんでした。
きっかけは先輩とのご飯
卸業を始めたきっかけは、本当に偶然でした。地元の先輩とご飯を食べていた時、たまたまいらした方がいて、その方とご縁があり、あれこれと教えていただきながら卸業をスタートさせました。私の地元は山梨で、周りに縁のある方が多かったのも大きいと思っています。
その方は海外で仕入れをすることが多く、英語を話せる人を探していたそうで、英語が少しできる私に声をかけていただきました。
卸業は海外に出向くことが多く、昼は商談、夜はそのまま会食という日も少なくありません。「着替える時間がないなら、せめてジュエリーで気分を切り替えたい」。そこから「TPOを気にせず身につけられるジュエリーを作りたい」と思うようになったのが、今の事業を始めたきっかけです。
山梨の職人の技術をもっと知ってもらいたい
2026年6月にスタートしたばかりのため、まずは国内で弊社の事業を知ってもらうことが目標です。山梨は職人さんが多い土地柄で、作業工程の技術が本当に素晴らしいのですが、それはなかなか知られていません。そのため、「山梨が誇る職人の技術をもっと多くの方に知ってもらいたい」という気持ちで取り組んでいます。
ジュエリー自体に詳しかったわけではありませんが、装飾品などの文化の話は昔から好きでした。地元では、「職人の技術が知られていない」、「給料が安い」という話もたくさん聞くため、「業界全体をもう少し盛り上げていけたら」という思いもあります。
「いずれは東京に出たい」という気持ちもありますが、もう少し実力や実績をつけたのち、事業成長のタイミングで考えていきたいと思っています。
コンセプトは「移動」
Otoloは「移動」をテーマにしています。今後は、キーリングなどの「旅や移動にまつわるアイテム」も作ってみたいと考えています。自分の人生は「ずっと移動の人生」と言いますか、卸業でも海外を含めてさまざまな場所を移動してきたという「自身の実体験から生まれたコンセプト」です。
社会人経験がほぼないところからのスタート
仕事を始めてから今までで大変だったのは、「社会人経験がほぼなかった」ことです。敬語やビジネスメールのマナーなど、本当にゼロからのスタートでした。
マナー講師的な役割を担ってくれた方が「昭和気質」の方だったため、「愛の鞭」と言いますか、「強めのことを言われることも多かった」です。「自分が何もできていない」と実感することが、一番大変でした。
仕事柄、香港によく行くのですが、宝石関係の業界では、私が「若い女性」であることもあり、「払えるのか」と相手にしてもらえないことがよくありました。日本でも銀行担当者とのやり取りなどで大変な場面はありますが、海外のほうがより激しく感じることもあります。
「移動する人のユニフォーム」になりたい
コンセプトが移動のため、私と同じように「たくさん移動される方」に向け、「これがあれば大丈夫」と思ってもらえる「ユニフォームのような存在になれるもの」を作っていきたいと考えています。
今は「認知度が全くない」段階のため、まずはSNS、特にInstagramでの発信に力を入れていきたいです。
学生へのメッセージ
学生のみなさんには、その時々の気持ちを大切に、正直に生きてほしいと思っています。私自身、「自分にできることは限られている」と勝手に思い込んでしまい、やりたいことや発信してみたい気持ちがあったとしても、一切行動してきませんでした。
だから、私自身が「学生時代にもっとやっておきたかったこと」は、「発信」ですかね。今はInstagramをやっていますが、「好きなYouTuberの動画をマネてみる」、「noteで何か書いてみる」など、もっと早くから「自分の気持ちを表現することをやっておけば良かったかな」と思います。
もちろん、「迷うことがあってもいい」と思います。迷う中で葛藤が生まれますが、それが後々の「オリジナリティ」に繋がっていくと思います。要は、「すぐに動く必要はなくて、やりたくないと思ったらやらなくてもいい」ということです。むしろ、「たくさん迷う中で、自分らしさの基盤を作ってほしい」くらいです。もちろんその都度何に迷っているかを記録し、内省することは欠かせないと思います。
あとは、「破産しない程度にお金をたくさん使ってほしい」ことですかね。若いうちにある程度お金を使う中で、「お金の優先順位」と言いますか、「これに使いたい」というものが見えてくるような気がします。
編集後記
今回お話を伺って、松本さんの創業までの道のりが本当にひとつひとつのご縁の積み重ねであったことが印象的でした。フリーターから卸業、そして独立へと進む中で、決して順調な一本道ではなかったはずですが、その時々の気持ちに正直であり続けた結果が今に繋がっているように思えます。「迷うことがオリジナリティに繋がる」という言葉は、就職活動を控える身として、とても励まされました。Otoloがこれからどんな形で「移動する人のユニフォーム」になっていくのか、楽しみにしています。貴重なお話をありがとうございます。