インタビュー

「文脈を読み解き、次の一章を創る」──編集力で挑む、SEOとLLMO時代の生存戦略

「文脈を読み解き、次の一章を創る」──編集力で挑む、SEOとLLMO時代の生存戦略
PROFILE
株式会社アマノート 代表取締役
田中寛大

公務員志望から、まさかの起業家へ

公務員を目指していた学生時代

大学生の頃は、公務員を目指していました。その後、一橋大学大学院に進学し、24歳のときに国の所管法人に入職しています。公務員ではないのですが、正職員として2年間ほど勤めていました。

友人の起業が転機になった

もともとは就職するのが当たり前だと思って社会に出た人間です。ただ、私自身は少しそこに違和感を覚えるタイプでした。転機になったのは、同じ大学の友人の存在です。その友人は起業して、桁違いの金額を当たり前のように稼いでいました。そんな姿を近くで見ていて、自分にもできるんじゃないかと思ったのが、かなり強い影響になっています。

26歳のときに2年間勤めた組織を辞めて独立しました。今32歳なので、ちょうど7年目に入っています。

古本屋からSEOライターへ

自治体支援の現場で編集を学ぶ

最初のキャリアは、地方公共団体を支援する組織でした。自治体向けのITやDX支援、専門誌の編集を担当していて、この編集の仕事が、のちのちまで自分の軸になっています。

メルカリブームがきっかけだった

当時流行していたフリマサービスをきっかけに、Amazonで本を販売するビジネスを始めました。1年目は古本屋として、Amazonでの古本販売をおこなっていて、これならやっていけそうだという手応えを感じたのを覚えています。2年目あたりからはWebライターとしての活動が本格化し、SEOライターとしてキャリアを積んでいきました。今のアマノートとはまた別の事業として、そこからスタートしています。

少人数体制で幅広い業種を支援する

中間マージンのない体制が強み

今はSEOと、直近ではLLMOの支援をメインにおこなっています。コンサルティングは私が直接担当し、記事制作をはじめとする実務は業務委託の方にお願いする体制です。強みとしては、少人数でやっているぶん中間マージンが発生しないところだと思っています。今の体制は、私のほかに役員が1人、あとは複数のメンバーで動いています。幅広い業種のクライアントを、今も継続して支援しています。長く関わってくださっているクライアントも多く、積み重ねてきた結果だと感じています。

編集力という、変わらない強み

もう一つの強みが編集力です。AIを使っている部分もありますが、もともと自分の手で編集を続けてきたので、その編集力は今も自分たちのDNAとして持っています。

それでも人の目は欠かせない

最終的には人間の目で確認する工程が必要だと思っています。たとえば取材や実際の利用を通じて得られる一次情報のように、人間にしか取得できない情報もあります。そういった細かい調整の部分は、依然として人の手が必要です。その一方で、今は記事制作そのものよりも、SEOやLLMOのコミュニケーションが必要なコンサルティングやディレクションを中心に進めています。

創業初年度は生活がギリギリだった

初年度は本当に、東京で暮らしながら自分1人が生活していけるかどうかというところでした。その後、売上も月100万円ほどになり、ほぼ1人で回していて限界がきていたので、フルコミットできる人数を増やそうということになり、今の役員に入ってもらいました。そこから毎年成長を続けている状態で、最初の時期が一番きつかったです。

ゼロクリック時代に、LLMOへ舵を切る理由

検索されても、読まれない時代に

最近は「ゼロクリック」という言葉があるとおり、Googleで検索上位に表示されても、クリックされずに離脱されてしまうケースがかなり増えています。ChatGPTやClaudeで検索してそこで完結してしまい、サイトに飛ばないという流れも直近で増えてきました。

コンテンツSEOの延長線にある

こうした中で、AIから直接会社が推奨されたり、サービスがおすすめされたりすることを目指す必要があります。それはコンテンツを作るという意味では、これまでのコンテンツSEOと同じ領域なので、比較的シフトはしやすい分野だと感じています。だからこそ、今後はLLMOの支援に力を入れていきたいと考えています。

クライアントファーストで拡大していく

闇雲に人を増やさない

会社として売上をスケールしていくことは、もちろん目標の一つです。ただ、クライアントファーストという考え方があるので、人数をやみくもに増やすのではなく、必要に応じて人材をアサインしながら、手厚い支援を続けていきたいと思っています。

独自の立ち位置を探している

今課題に感じているのは、AIにおすすめの会社を聞かれると、どうしても大手企業が推奨されたり引用されたりしやすい傾向があることです。どの領域で推奨や引用を狙っていくのか、そのブランディングをどう強化していくかを考える必要があります。まだ独自の立ち位置が取れていないので、そこは今後の課題です。

Claude Codeで業務の自動化を進めたい

弊社は社員がいない体制で、役員1人と業務委託の方々で成り立っています。私自身はClaude Codeをかなり使っていて、こうした業務の自動化を、これから全員で進めていきたいと思っています。

記事の監修体制という強み

数百名規模の専門家ネットワーク

記事の監修者プロフィール欄に、お医者さんや弁護士を紹介する取り組みに力を入れています。監修者を紹介する専門の会社と提携していて、そのネットワークは数百名規模になっています。

E-E-A-Tと編集力を高める

医療系の記事などでは、お医者さんのプロフィールを載せることで説得力が増します。あわせて、Googleの評価指標であるE-E-A-Tを高めるうえでも、この監修体制は強みの1つとして関わってきます。

挑戦する学生への言葉

合わないと感じたら辞めていい

今もそうかもしれませんが、就職するのが当たり前だという空気は根強いと思います。もし合わないと感じたら、早い段階で環境を変える判断があってもいいと思います。20代のうちは、やり直しがきく場面も多いはずです。積極的に行動したほうが、30代からの安心感につながっていくはずです。

自分ごとにできるかが大切

熱中できることの見つけ方としては、実際に挑戦している人に会う機会を持つことだと思います。私自身は大学時代の友人が起業して大きく稼いでいる姿を見て、この人ができるなら自分にもできるんじゃないかと感じました。すごい人と出会って話を聞くだけでも、自分ごととして捉えられるかどうかが変わってきます。そのためにも、大学生のうちからコミュニティやネットワークを広げていくことをおすすめします。

編集後記

今回、株式会社アマノート代表取締役の田中寛大さんにお話をうかがいました。公務員志望から一転、友人の起業を目にしたことをきっかけに独立を決意したという経歴に、大きな刺激を受けました。ゼロクリック時代を見据えてLLMOに軸足を移していく姿勢や、少人数だからこそ実現できる編集力の強みなど、これからのコンテンツマーケティングを考えるうえで学びの多いお話でした。挑戦に迷う学生の背中を押してくださるメッセージも、しっかり届けていきたいと思います。