京都の田舎で生まれ、上に立つ夢を見た
兄の死と田中角栄
私は山の中にある、農林業が中心の京都の田舎で生まれ育ちました。田舎の長男というのは、たいてい役場か農協くらいしか選択肢がなく、ほとんどの長男が地元に残るものです。私も、本来ならそうなるはずでした。
それでも、昔から人の役に立ちたいという思いだけは強くありました。実は、私が生まれる前に兄が未熟児で亡くなっているんです。そのことをずっと母から聞かされて育ちました。兄が亡くなり、そのあとに私が生まれたと。
小学校のころ、田中角栄さんが総理大臣になっていました。農家出身で学歴もないところから上りつめたその姿を見て、漠然と「将来は人の上に立ちたい」と思うようになったんです。
骨折で挫折した野球部
野球部に入っていたのですが、3年生の夏の大会前、6月ごろに骨折してしまいました。朝日新聞にも載ったくらいで、大した選手ではなかったのですが、それでも人生で大きな挫折の経験になりました。だからこそ大学に入ったら、いろいろなことに挑戦しようと決めていたんです。
大学時代に何でも挑戦した
テレビ出演とインド一周
大学生中心のバラエティ番組のオーディションに参加し100%の確率でテレビに2回ほど出演しています。海外に行きたかったのですが、アメリカを横断するお金がたまらず、インドを一人で一ヶ月かけて一周することにしました。
リクルートでナンバーワン営業に
アルバイト契約の出発から正社員に
卒業間際、求人誌でリクルートと出会いました。当時のリクルートの中途採用はスタートはほぼアルバイト採用からで、「社員登用制度あり」とは明記してあったものの入社してみると、2〜3年は誰も正社員になれない環境でした。全体の9割がアルバイト扱いで、正社員になるには2年間トップの成績を出す必要があると言われました。もっとも、私はもともとリクルートに骨をうずめるつもりはなく、将来の独立を見据えていました。
一番厳しい新規開拓の営業所に配属されたところから実績を積み、営業課長にもなり、最後は全国1位の営業課にして卒業しています。
1992年、キイストンを設立
飲食業界に特化した理由
リクルートの直販、代理店の両方で求人の大変さを知っていたからこそ、あえて業界を飲食に絞りました。経営者ともっと深く向き合いたいと思ったからです。
同じ求人媒体の仕事をするなら、自分でやったほうがいい。そう考えて独立し、キイストンを立ち上げました。そこから飲食に特化し、もっと採用を掘り下げていこうと事業を進めてきました。
「飲食の戦士たち」という連載
経営者になるまでの生き様を聞く
2008年、飲食の経営者に「どんな環境で生まれ、どんな学生時代を過ごし、なぜ飲食を選び、なぜ社長になったのか」だけを聞く連載「飲食の戦士たち」を始めました。普通のインタビューは、いま何をしているかが中心になりがちです。
一方、社長になるまでの生い立ちだけを聞いていると、10年、20年たっても記事が古くならないんです。いまの店舗数を書いた記事は、数年たてば状況が変わってしまいますが、生い立ちは変わりません。名だたる企業の経営者を、まだ若いころから含めて数多く取材してきました。おかげさまでウィキペディアの参考資料になったり、マスコミや金融、デベロッパーなど幅広い業界から参照していただいたりするほど、サイトの信頼度は高まっています。
求人を超えた「つなぐ」仕事
経営者同士を引き合わせる
飲食業界の経営者に会いたいという企業は多く、社長同士を裏でつなぐ仕事も自然と増えてきました。食材のことで困っている経営者がいれば紹介しますし、人材紹介で出会った幹部候補の方をきっかけに、大手飲食チェーンのトップに直接連絡を入れることもあります。
メディアとのつながりも強みのひとつです。ヤフーニュースや新聞記事への掲載、経営者のインタビュー番組出演など、テレビ局がいまどんなネタを探しているかを把握したうえで、飲食店に提案する。そういった動き方を続けています。
IPコラボと大学連携
弊社では、アニメや漫画、ゲームなどの版権を扱う企業と飲食企業をつなぎ、コラボレーション企画を実現することで、売上向上に貢献しています。あわせて、いくつかの大学ともつながりがあり、学生向けに飲食企業の代表による特別講演を、定期的に開いていただいております。ゼミとのコラボレーションでは、商品開発から販売まで一貫して手がけることもあります。
覆面調査での評価にも貢献
「ジャパン・フード・セレクション」という取り組みにも携わっています。検定資格を持つフードアナリストが数十名の審査員となり、商品の試食や実店舗での覆面調査を通じて、厳正な審査・評価をおこなうものです。弊社が飲食企業をご紹介し、グランプリなどの評価を得ていただくことで、認知度や売上の向上につながるよう、間接的に貢献しています。
これから求めているのは「若い力」
ベンチャー精神のある人材
弊社の求人は「飲食業界の求人」として表に出るため、コンサル会社出身の方など、経験を積んだ人材からの応募が多く集まります。ただ、実際に求めているのはそういう人材ではありません。経営者を相手に仕事をする面白さを持って、勢いのある、夢を語れる若い人に来てほしいと思っています。
千葉商科大学や亜細亜大学など、学生と飲食企業をつなぐ勉強会も行っていて、学生ならではの目線から「ポポラマーマ」や「山下本気うどん」といった実在の飲食企業に商品提案をしたこともありました。学生の発想は、企業からも新鮮に受け止められています。
学生に伝えたいこと
今しかできないことをやる
学生には、いましかできないことをやってほしいと伝えています。何もしないまま気づけば30代になっていた、ということも珍しくありません。学生のうちは失うものが少なく、どこへでも就職できる可能性があります。
やってみないとわからないことは、たくさんあります。学生時代に無理に独立する必要はないと思っていて、それは社会人になってからでもできることだからです。
むしろ本当にすごい人というのは、学生のときに目立つのではなく、そのあとに力を発揮するものだと感じています。
だからこそ、いましかできないことに、思いきり挑戦してほしいと思っています。
編集後記
今回のお話を伺って、経営者の生き様を掘り下げる連載が、業界内での信頼につながっているという点がとても印象的でした。学生のうちにしかできないことに挑戦する大切さは、私自身も日々感じていることです。何かに挑戦するきっかけを探している学生の方に、ぜひ読んでいただきたいインタビューでした。