サッカー選手として歩んだ27歳までの人生
高校卒業後、すぐにJリーグのプロサッカー選手となった森川さん。その後は実業団などでプレーを続け、27歳までサッカー選手としてのキャリアを歩んできました。
高校卒業後から長い時間をサッカーに費やし、トップの舞台に立つまで努力を重ねてきた森川さんにとって、サッカーは単なる仕事ではなく、人生そのものだったといいます。
地元・茨城では、サッカー選手として活躍することで、周囲からヒーローのように見られることもありました。長年かけて築き上げてきた実績や、選手としての誇りは、森川さん自身にとっても大きなものでした。
一方で、選手としてサッカーを続ける中で、純粋に競技を楽しめなくなっていく感覚もあったそうです。
サッカーを仕事にする以上、そこにはお金が絡みます。結果を出すことや生活をしていくことが求められる中で、子どもの頃のように、ただサッカーが楽しいという気持ちだけでプレーすることは難しくなっていきました。
そして27歳で、選手としてのキャリアに区切りをつけることになります。それまでの人生の中心にあったサッカーを離れ、森川さんは全く新しい世界へ進むことになりました。
プライドを一度壊し、ゼロからのスタート
高校卒業後からサッカー一筋だった森川さんにとって、引退後の世界は未知のものでした。
選手時代に積み上げてきた実績やプライド、そして地元で築いてきた存在感。そうしたものを持ったまま次の人生を始めるのではなく、一度すべてを壊す必要があると考えたそうです。
これまでの自分を否定するような感覚もあり、決して簡単なことではありませんでした。
それでも、第二の人生を歩むためには、これまでの自分に区切りをつけ、一度ゼロからスタートする必要がある。そう考えて選んだのが、一般企業での営業職でした。
未知の世界への挑戦
入社当初は、パソコンの操作すら分からない状態でした。
それまでサッカーを中心に生きてきた森川さんにとって、ビジネスの世界は全く別の環境です。しかも、入社した会社は朝礼で大声を出すような、かなり体育会系の会社だったといいます。
しかし、ここでも持ち前の負けず嫌いな姿勢や、これまでサッカーを通して培ってきたものを生かし、仕事に向き合っていきました。
営業職での飛躍
そして約2年で営業成績トップに。その後は月間最高売上を更新するなど、営業として結果を積み重ねていきました。
さらに、その企業の子会社では最年少執行役員に就任。現役を退き、パソコンの操作すら分からなかったところから始まった第二のキャリアで、今度は組織を背負う立場にまで上り詰めました。
組織の中で感じた限界。そして「自分でやってみる」
順調にキャリアを築いているように見えた森川さんですが、執行役員になったことで、新たな葛藤も生まれました。
最年少での就任だったこともあり、自分の考えや意見がなかなか通らない場面があったといいます。
もっとこうしたい。こうすれば会社は良くなるのではないか。そうした考えを持っていても、組織に所属している以上、自分一人の判断ですべてを変えることはできません。
次第に会社との方向性にも違いを感じるようになり、そこで生まれたのが、自分でやってみようという思いでした。
これまでの人生でも、森川さんは何度も環境を変えてきました。サッカー選手から営業職へ。そこでも結果を出し、今度は経営者へ。そして2025年1月、株式会社B.を立ち上げました。
挑戦する人と企業を、結果で支える
B.が掲げるMISSIONは、「挑戦する人と企業を、結果で支える。」です。
現在はデジタルマーケティングを中心に、採用支援、SNS運用、Webサイト制作、映像制作、MEOなど、企業が抱えるさまざまな課題を支援しています。
B.が提供する支援内容
企業の魅力をWebやSNSを通して発信したり、採用活動をサポートしたり、デジタルを活用して集客や認知を広げたりと、企業が抱える課題に合わせて幅広い支援を行っています。
特に中小企業では、採用したくても採用活動に十分な時間を割けなかったり、自社の魅力をうまく発信できていなかったりするケースも少なくありません。
中小企業に寄り添う伴走支援
そこでB.では、特定のサービスだけを提供するのではなく、それぞれの企業が抱えている課題を見ながら、必要な支援を組み合わせています。
目指しているのは、地域の企業にとって身近な「まちのIT何でも屋さん」のような存在です。Webについて相談したい、SNSを始めたい、採用に困っているなど、企業が何か困ったときにまず相談してもらえる存在になる。
そして、ただオンライン上でサービスを提供するだけではなく、実際に現場へ足を運び、企業と一緒になって課題を考える。そうした距離の近い支援を大切にしていることも、B.の特徴の一つです。
サッカーで培った経験を、次の世代へ
B.では、デジタルマーケティングだけでなく、ウェルネス事業やスポーツ・キャリアマネジメントにも取り組んでいます。その背景には、森川さん自身が長年スポーツの世界で生きてきた経験があります。
地元・茨城では、営業職として働いていた頃からパーソナルジムを運営しており、現在の会社には、かつて一緒にサッカーをしていた仲間も多く在籍しています。
現役を引退したからといって、サッカーとのつながりがなくなったわけではありません。現在はサッカースクールも運営しており、そこでは経験豊富な元選手や海外でのプレー経験を持つ指導者から指導を受けられる環境をつくっています。
自分自身が現役時代に経験したことを、今度は次の世代へ渡していく。サッカー選手として培ってきた経験や人とのつながりを、現在の事業の中でも新しい形で生かしています。
「点から、インパクトへ」
B.のVISIONは「点から、インパクトへ」です。森川さん自身のキャリアを振り返ってみても、一つひとつの経験が次の挑戦につながっています。
選手時代に培った経験。そこから営業職へ移り、ゼロからビジネスを学び、営業成績トップや最年少執行役員という結果を残した経験。そして現在は、その経験を生かして会社を経営しています。
一見すると全く違うキャリアにも見えますが、そこで得た経験や人とのつながりは、決して途切れていません。サッカーで培ったものが営業につながり、営業で培ったものが経営につながる。そして、これまで出会ってきた人たちとのつながりが、現在のB.の事業にもつながっています。一つひとつの「点」だったキャリアの経験が、時間をかけて線になり、今では企業や地域社会への「インパクト」として広がりつつある。それが、森川さんの歩みそのものだといえます。
お話を伺う中で強く感じたのは、森川さんが自分自身に対して非常に厳しい方だということです。これまでの実績に満足するのではなく、常に自分を次の場所へ押し出していく。その姿勢こそが、サッカー選手から営業職、そして経営者へと進んできた森川さんのキャリアを支えているのかもしれません。
学生へ伝えたいこと
最後に、これから社会に出る学生に向けて、森川さんから印象的な言葉をいただきました。
「自分の足を引っ張るのは、いつも自分」
何かに挑戦するとき、失敗するかもしれない、自分にはできないかもしれないと考えてしまうことがあります。しかし、そこで自分自身に限界を決めてしまえば、新しい一歩を踏み出すことはできません。
森川さん自身、27歳で現役を引退したときには、それまで築いてきたプライドを一度壊し、全く経験のない営業の世界へ飛び込みました。パソコンの操作すら分からない状態から営業成績トップとなり、最年少執行役員を経験した後には、さらに会社を飛び出して自ら起業する道を選んでいます。
これまでのキャリアを振り返ると、森川さんは何度も自分自身で環境を変え、そのたびに新しいことへ挑戦してきました。できるか、できないかを考えて立ち止まるのではなく、まずやってみる。その一歩を踏み出すかどうかを決めるのは、周囲ではなく自分自身です。森川さんのこれまでの歩みからは、そんなメッセージが伝わってきます。
編集後記
今回の取材を通して、森川さんは自分自身に対してとても厳しい方だという印象を受けました。これまでの実績に満足することなく、常に次の挑戦へ進もうとする姿勢がとても印象的でした。
サッカー選手から経営者へと歩んできた経験を伺い、挑戦することの大切さを改めて感じる取材となりました。