インタビュー

スペックでは選ばれない。歯科医院の「人柄」を伝える仕事を選んだ

スペックでは選ばれない。歯科医院の「人柄」を伝える仕事を選んだ
PROFILE
株式会社Denis tech 代表取締役
田丸 誠人

株式会社Denis techで代表取締役を務めている田丸誠人です。歯科医院に特化した集患支援を行っている会社で、ホームページ制作やInstagram運用、広告運用などを通じて、全国の歯科医院様の集患をお手伝いしています。

学生時代はつなぎのインターンから始まった

法政大学出身です。大学時代はインターンとしてベンチャー企業に入り、食べログの営業をしていました。もともと就職先が先に決まっていて、入社までの期間をどう過ごすかというところで始めたインターンだったので、それまでのつなぎのような形でした。

ファーストキャリアは美容クリニックのマーケティング

インターン先の企業にそのまま就職して、就職後は美容クリニックのマーケティングを担当していました。特定の業種に特化してマーケティングに向き合うという意味では、今の仕事につながる原体験だったと思います。

独立志向はずっと前からあった

正直なところ、ファーストキャリアから創業に至るまでの道のりは、いろいろなことがありすぎて一言では言えないんです。ただ、独立志向自体はかなり前からありました。当時はお金持ちになりたいという気持ちもありましたし、社長という立場に関わる機会があって「社長っていいな」という漠然とした憧れも持っていました。既に就職の段階で、ゆくゆくは起業するだろうなという感覚があったと思います。

スペックではなく人柄で選ばれる医院をつくる

弊社は歯科医院に特化して集患を支援している会社です。具体的にはホームページの制作、Instagramの運用、広告の運用など、幅広く手がけています。

歯科業界は、立地や治療機器、症例数といった「スペック」でマーケティングをしていることが多い業界です。ただ患者さんからすると、結局どの医院も同じような打ち出し方に見えてしまって、違いがわからなくなってしまうんです。そういう選び方をしてしまうと、クリニックと患者さんの間で「思っていたのと違った」というトラブルが起きやすくもなります。先生方は先生方でしっかりとした思いを持って診療をされているのに、スペック重視で選ばれてしまうせいで、その思いがうまく伝わらず、押し売りのように誤解されてしまうことも少なくありません。

そこで弊社では、スペックマーケティングではなく「人柄マーケティング」というものを大事にしています。先生の治療に対する信念や価値観、今の診療に至るまでの原体験を発信していくお手伝いをしているのが特徴です。

矯正治療でいうと、最近は「インビザライン」というマウスピース型の矯正装置が有名で、これを前面に出した集患をすると、患者さんは「インビザラインをやりたい」という状態で来院されます。それ自体は悪いことではないのですが、実際に口の中を診ると、医療的には別の治療のほうが適しているケースもあるんですよね。それでも患者さんは調べてきた治療を希望していて、そこにギャップが生まれてしまう。比較してもわからない、最終的に誰を信じていいのかもわからない、という状態を変えたくて、「この先生の言うことなら信頼できる」と思ってもらえる状態を目指しています。

突き詰めるほど似てしまう難しさとやりがい

歯科業界でマーケティングをする難しさは、突き詰めれば突き詰めるほど、どこの医院も似たような打ち出し方になってしまうところにあります。だからこそ、どれだけ人柄を出していけるかが勝負になってきます。

やりがいもそこと表裏一体です。先生方が言語化できていない思いをどれだけ引き出せるかというところが、いちばん面白いところだと思っています。先生方はあまり自分から話したがらないことも多いので、そこを引き出すために意識しているのは、まず自分自身の原体験や自己開示から入るということですね。

業界に入り込むまでが大変だった

創業から今まででいちばん大変だったのは、サービスを広げてリードを獲得していくところです。同じような会社も多いですし、歯科業界自体が閉鎖的な業界なので、最初に業界の中へ入っていくところがかなり大変でした。一旦入り込んでしまえば紹介などでうまく回っていく業界なのですが、そこまでたどり着くのが大変でした。最初のお客様は、決して効率が良いとは言えないテレアポなども含めて、地道に一件ずつ入り込んでいくようなやり方で獲得していきました。

目指しているのは歯科業界を超えた健康寿命の延伸

弊社が属している業界は、IT寄りに見えるかもしれませんが、根っこはヘルスケアだと思っています。事業としてはホームページ制作やInstagram運用のような会社に見えるかもしれませんが、いちばん奥にあるのは健康寿命を伸ばしたいという思いです。健康寿命を伸ばすためには口腔内の健康がとても大事なのですが、一般の方々の口腔内への意識は、まだそこまで高くありません。弊社の発信を通じて、少しでも医療への知識や関心を高めていきたいと思っています。

歯科の先生方は、休日を勉強会に充てるようなことも当たり前のようにされていて、一般的な社会人ではなかなか見られない姿勢で治療技術に向き合っています。ただ、勉強したことやスペックだけを伝えても患者さんには刺さりません。そこを人柄に変換して先生方の思いを一般の方々に届けていくことで、最終的には口腔内の健康、そして健康寿命の延伸につなげていきたいと考えています。

そのために、今の発信系の事業をしっかり伸ばしていきながら、長期的には歯科医院の現場とより直接的に関わるような事業も展開していきたいです。会社を大きくすること自体が目的ではなく、ビジョンの達成に向けてできることを増やしていくための手段だと捉えています。現在のメンバーは5人です。

この会社のよくある質問

歯科医院向けにどんな支援をしていますか?
ホームページ制作やInstagram運用代行、広告運用など、歯科医院の集患に関わる部分を幅広く支援しています。スペックだけでなく、先生の人柄や治療への思いを伝えることを大事にしています。

なぜ「人柄」を前面に出す発信を大切にしているのですか?
歯科業界は立地や治療機器などのスペックで語られがちで、医院同士の違いが患者さんに伝わりにくいという課題があります。先生方の考え方や原体験を伝えることで、患者さんが信頼して選べる状態をつくりたいと考えているためです。

編集後記

今回のお話で印象に残ったのは、「スペックでは差がつかない」という業界構造への視点でした。私自身、早稲田大学に在学しながら学生団体での活動を通してビジネスに触れていますが、情報が並んでしまう時代に、いかに本人の思いや原体験を届けるかという発想は、業界を問わず通じるものだと感じました。歯科医院という一見遠い業界の話が、就職活動における企業選びの視点にもつながる、学びの多いインタビューでした。