インタビュー

北海道で見つけた原点。東京以外で挑む人と企業を、人事とキャリアの力で支えたい

株式会社ディテールキャリア 代表取締役 山田 慎
PROFILE
株式会社ディテールキャリア 代表取締役
山田 慎

地方との出会いが、キャリアの原点に

最初は大学生のキャリア支援

新卒で入社したのは、人材系の会社でした。大学生のキャリア支援や、大手企業からベンチャー企業までの新卒採用コンサルティングなど、採用にまつわる支援を4〜5年ほど担当していたんです。当時は東京の本社に所属していて、関わるのは東京の企業さんや、関東近辺の大学生が中心でした。そのなかで、私の人生にとって大きな出来事がひとつあって。それが社会人3年目のときに携わった、札幌拠点の立ち上げです。

札幌で感じたやりがい

札幌拠点では、関わる相手がまるっと北海道の大学生や北海道の企業さんに変わりました。そこで、すごく自分の中でしっくりきたんですよね。地方活性化という観点もそうですし、東京と比べると情報が少なかったり、機会に格差があったりする。そのなかでもがいている人たちを手助けしたり、支援したりすることに、大きなやりがいを感じたんです。東京のど真ん中というより、東京以外の企業さんや、暮らしを含めて東京以外で働きたい人を支援したい。それが一番のきっかけになっています。

独立を経て2025年に創業

その後、横浜のスタートアップ企業に転職し、3年ほど人事を担当しました。そこから個人事業主として独立し、人事や人材系企業の支援、キャリア支援などを個人でおこなってきたんです。神奈川もそうですし、今住んでいる長野もそうですし、さまざまな地方に関わってきました。東京以外の地域や、東京の王道以外のキャリアを歩みたい人の支援という経験が積み上がってきたこともあり、2025年2月に創業しました。

東京のやり方をそのまま持ち込まない人事支援

中小・ベンチャーの人事を支援

弊社の事業は大きく3つあり、そのひとつが中小企業やベンチャー企業向けの人事支援です。従業員規模でいうと10〜20名から100名くらいの企業さんが中心で、人事制度の設計や運用をすることもあれば、採用コンサルティングや採用代行という形で入ることもあります。若手が採用できない、若手が定着しない、専門領域の人材を採用できない、AI領域の知見がない。そういった企業さんの課題を支援するのが大きな柱ですね。

地域に合わせた戦い方

今は横浜の会社なので神奈川や一部東京の中小企業さん、そのほか京都の企業さんなども支援しています。今後は以前いた北海道や今いる長野も含めて、全国展開していく予定です。私自身、北海道にいたり、横浜のスタートアップで人事をやったりしてきました。だからこそ、東京に人材が取られていくなかで、地域や企業として独自性を持ってどう戦っていくか。東京の考え方をそのまま輸入しても難しいので、地域や企業さんに合わせてカスタマイズしています。

地方は採用手法が限られる

東京は採用の手法が豊かなんですよね。求人広告を出すのは当たり前で、エージェントさんによる人材紹介も多岐にわたりますし、ビズリーチに代表されるような、求職者に直接連絡するスカウトサービスもあります。人脈を駆使して知り合いを採用するリファラル採用や、一度転職した人がまた戻ってこられる出戻り採用など、レパートリーがかなり豊富です。一方で地方に行けば行くほど、求人票を出したり、ハローワークを使ったりするだけの企業さんが多いんですよ。サービス自体も東京や大阪に有利なようにできているので、各地方で何が一番よいのかわからない。そこにギャップがあると感じています。

キャリアと暮らしをトータルでデザイン

叶えたい暮らしから逆算

個人向けには、キャリアやライフに関わるあらゆる支援をしています。転職や就職はもちろん、副業や、フリーランス・個人事業主としての独立もそうですし、地域移住という観点では移住や二拠点生活もそうですね。大切にしているのは、その人が叶えたいキャリアビジョンや暮らしから逆算して考えることです。どんな働き方をしたいのか、どんな生活を送りたいのか。そこから、どういうキャリアを歩むとよいのかを一緒に描いていきます。

専門性が自由をくれる

私は、キャリアがしっかり固まっていて専門性があると、自由になりやすいと思っているんです。専門性があればリモートワークもしやすくなりますし、自由になれば副業も移住もできる。だからこそ、いかにプロフェッショナル人材になって、キャリアとしての自由を確立し、自由な人生を歩むかが大事だと考えています。そのうえで、副業はこうすればよいとか、移住してリモートワークで東京の企業さんと契約できれば仕事に困らないとか、細かいところまでトータルでキャリアライフデザインをしているんです。

東京に負けない企業を全国に

ルーツがある長野へ

今、私は横浜と長野県栄村の2拠点生活をしています。長野県栄村は祖父母の実家がある場所で、小さい頃からその地域に通っていたんです。ただ、人口もかなり少なくなって、高齢化もかなり進んでしまっていて。地域として復活させたいという思いがあり、拠点を2つにしながら活動しています。だからこそ、横浜を中心とした神奈川県と、栄村を中心とした長野県はできるだけ盛り上げたい。場合によっては地方自治体とも関わりながら、人手不足の解消をメインに取り組んでいきたいと考えています。

全国の地域企業を元気に

そのうえで、神奈川や長野以外の全国の企業さんの課題も解決していきたいんです。東京には人がたくさんいて、東京を支援する会社さんもたくさんあります。だからこそ、東京に負けないような企業さんを全国にいろいろつくっていきたい。地域を問わず、中小企業さんや地域ベンチャーの支援を広げていきたいというのが、今の気持ちですね。全国どこにいても、その土地ならではの強みを持って戦える企業さんを増やしていけたらと思っています。

一人社長からチームへ

課題としては、今はほぼ一人社長のような形で、ほとんど自分で運営している部分があることです。今はとことん契約企業さんを増やしたり、支援する個人の方を増やしたりしている段階なんですよね。いろいろな方をご支援しつつ、自分だけではできないところを業務委託の方やパートナーさんと進めていく。ゆくゆくは正社員の方もしっかり雇用しながら、今4〜5名ほどでやっている組織を、10名、20名という規模のチームにしていきたいと考えています。

学生へのメッセージ

軸があったから没頭できた

私自身、社会人最初のキャリアが大学生のキャリア支援でした。その経験と、10年以上キャリアを歩んで起業した経験を踏まえてお伝えしたいことがあります。長期的に安定しなきゃいけないとか、将来こうなりたいから逆算してこうすればいいとか、いろいろな考え方があると思います。ただ振り返ると、私が大学生のときにキャリア支援をやりたかったのは、人の人生をサポートしたいという大きな軸があったからなんです。それをまっすぐ実現できる仕事を考えたとき、たどり着いたのがキャリア支援でした。

今エネルギーを注げる場所へ

実際に没頭してみると、4〜5年経って新しいことに興味が出たり、札幌拠点の立ち上げがあって人生が違う方向に進んだりしました。大学生当時に持っていた「こうしたい」というエネルギーをもとに選んだからこそ、爆発的に仕事に集中できたし、よいご縁もいただいて、結果的にキャリアが安定した気がしています。一般的に言われていることとは少し違うかもしれません。でも、将来の安定や逆算よりも、今の時点でエネルギーを注げるところにぜひチャレンジしてほしいですね。

全国の地域を知る実践の場

私は、大学生のチャレンジを応援したいという気持ちがすごく強いんです。現時点では大学生のインターン生はいないのですが、今後採用していきたいと考えていて、実際に求人を用意して募集もしています。弊社に関わると、組織づくりや採用について考えたり、キャリアやライフデザインについて考えたりできます。今は全国のいろいろな地域の人を採用しようとしていて、場合によってはリモートワークで海外の人の採用も考えているんです。東京だけではなく、いろいろな暮らしや地域のよさを知れる実践の場を用意できると思うので、興味がある人にはすごくよい環境かもしれません。

編集後記

札幌拠点の立ち上げをきっかけに、東京以外で挑む人や企業を支えたいと考えるようになったという山田さんのお話が印象に残りました。私自身、学生起業に関心があり、採用や組織づくりについて学ぶことがありますが、東京の手法をそのまま地方に持ち込んでもうまくいかないという視点は新鮮でした。とくに、将来から逆算するよりも「今エネルギーを注げる場所」を選んでほしいという言葉には、背中を押された気がします。全国の地域や暮らしを知りながら実践を積めるインターンは、地方の学生にとっても貴重な機会になりそうです。募集ページもあわせてチェックしてみてください。