インタビュー

目的もなくブラブラしていた学生が、氷河期をきっかけに福祉用具業界のリーダーになるまで

目的もなくブラブラしていた学生が、氷河期をきっかけに福祉用具業界のリーダーになるまで
PROFILE
E-LIFE株式会社 代表取締役社長
篠本高基

就職氷河期、一社だけ拾ってくれたのが福祉用具の会社だった

大学時代は目的もなくブラブラしていた

学生時代の話ですか。正直に言うと、本当に何も目的もなくブラブラ過ごしていました。社長になりたいという思いも、そこまで明確にはなくて。まあ経営にちょっと興味を持っていた、というくらいの漠然としたものでしたね。

氷河期で拾ってくれた一社が福祉用具の会社だった

大学を卒業したのは二〇〇二年で、いわゆる就職氷河期の世代です。私たちの代は六割か七割しか就職できなかったくらいの状況で、私自身も苦戦して、受けた面接はすべて不採用でした。4月に入社は決まらずやっと一社だけ受かったのが8月で福祉用具の会社でした。だから就職の時点でも、これといった目的があったわけではないんですよね。

三十六歳、経営をやるなら自分でやるしかないと思った

読むだけでは限界だと気づいた

会社を立ち上げたのは三十六歳のときです。自分の思うようにやりたかったというのも一つですが、一番はやっぱり経営をずっとやりたかったこと。二十代のあいだはずっと経営の本を読んでいたのですが、読むだけではもう限界だと感じて、それなら自分でやるのが一番早いと思い立って会社を作りました。

抵抗はなかったが不安はめちゃめちゃ大きかった

起業への抵抗はとくになかったのですが、不安はめちゃめちゃ大きかったです。本当に不安だらけの世界に飛び込んだようなものでした。それでも、やっていくしかないなと思ったのと、無我夢中でやっていれば何とかなるだろうという思いがありましたね。

続けてこられた一番の原動力は社員

ここまで続けてこられた一番の原動力は、やっぱり社員です。やはり社員が成長していくのが一番の喜び

福祉用具のレンタルを軸に、コンサルやEC事業へ展開

事業の軸は福祉用具レンタル

弊社は福祉・介護事業のなかで、福祉用具のレンタル事業を軸にしています。そこから全然関係のないことをやるのではなく、福祉用具の事業から派生させる形で、コンサルティングやEC事業、福祉・介護事業に特化したカタログ制作なども手がけています。

成熟産業のなかでの強みは若い社員の多さ

福祉用具のレンタル・販売会社は全国にたくさんあって、もう成熟産業と言っていい業界です。そのなかで弊社の強みは、まず若い社員が多いこと。今回、会社としても新しいリーダーを若手から育てていこうという取り組みをしていております。

やりがいのある役職者の評価制度を作った

 

二十代でも


リーダー層に対しては、しっかりした評価制度を整えていて、二十代でもしっかりと評価されて高い給料を稼げるような仕組みを作っています。。評価の軸は二つあって、一つは弊社のバリューにもとづいた評価制度、もう一つは自分が管掌する営業所の成果に応じて給料が上がっていく仕組みです。

年功序列ではなく挑戦したい人を応援したい

 

「20代だから給料は低くて当たり前。」 私は、この考え方を変えていきたいと思っています。 会社にとって本当に大切なのは年齢や勤続年数ではなく、「どれだけ会社に価値を生み出しているかです。

20代であっても、高い成果を出し、仲間から信頼され、会社の成長に大きく貢献している社員であれば、その価値に見合った給与を受け取るべきです。

一方で、年齢や経験だけで高い給与を得る時代ではありません。評価されるのは、責任を果たし、成果を出し、周囲に良い影響を与えられる人です。

だからこそ、当社では「若いから」という理由で評価を抑えることはしません。

20代でも実力があれば、30代・40代の社員と同じ土俵で評価します。そして、その評価に見合う給与や役職を積極的に提供していきます。

これは若手を優遇するということではありません。

年齢ではなく、公平に評価する。

そのための仕組みです。

 

平均年齢は二十代、価値観に共感した人が集まる

社員の平均年齢は二十代くらいです。入ってきてくれるのは、会社のビジョンや価値観に共感してくれる人が多いですね。一言で言うと、明るくて性格が真っ直ぐな人を採用しています。

一緒に働きたいのは自責でいられる人と行動できる人

一緒に働きたいと思うのは、行動力があって、人のせいにせず自分の責任をきちんと持てる人。自責でいられる人がやっぱり一番必要だと思っています。自分に起きることはすべて自分の責任という考えを持つ人は伸びると思います。

人生の最後までお客様に寄り添える仕事

福祉用具の仕事は、私自身ずっとこの仕事をやってきましたが、とにかく感謝されますし、責任はあるけれど、人生の最後までお客様とお付き合いできる仕事です。高齢者の方と深く関わって、自分が提案した商品でお客様に直接喜んでもらえることが、一番の魅力だと思っています。人の役に立つ仕事だということは、本当に伝えたいですね。

みんなで作る「傑作品」としての会社でありたい

一人で作るのではなく、みんなで作る会社

弊社は創業のときからビジョンがあって、みんなで協力していい会社を作ろうというのが一つのテーマです。社長が一人で作るのではなく、そのなかで成長し続けるような会社を作っていく。会社はみんなで作る傑作品だと思っているので、楽しいだけでなく、世の中でも成長し続ける会社にしていこうというのが弊社のビジョンです。

社員一人ひとりの表情を見るようにしている

社員を大事にするうえで意識しているのは、上からの関係ではなく、一人ひとりの顔や表情をよく見ること。細かく声をかけるようにしていますね。

担当者一人ではなく、会社全体でお客様と向き合う

営業先は介護施設にいるケアマネジャーが中心です。利用者数が増えているのは、いい人を採用して育てて、その営業力が利用者数の増加に直結しているだけだと思っています。お客様の声も担当者一人で抱えるのではなく、会社全体で問題意識を持つようにしていて、一件の案件をみんなで担当していこうという文化は、創業のときからずっとあります。

意思決定を任せることがこれからの一番の課題

リーダーの評価が曖昧だった課題を今年改革した

今の大きな課題としては、リーダー層の負担と、これまで評価が曖昧だったこと。これは今年の春に大きな改革ができたので、一つのきっかけになると思っています。

私一人の意思決定には限界が来ている

一番の課題は、意思決定をどんどん下の世代に任せていくこと。今まで私が全部意思決定をしてきたので、これからはそこが大きな課題になると思っています。もう一人ではやっぱり限界が来ているので、育てているリーダーにどんどん任せていきたいと思っています。

条件よりも、任せてもらえる環境を見てほしい

学生の方に一番伝えたいのは、給料や休み、福利厚生といった条件だけで会社を選ばないでほしいということです。それよりも、会社でどんなことを任せてもらえるか、自分のなかにどんなチャンスがあるか、どういう成長ができる環境に身を置くか。そこを本質だと思って、企業を見て選んでもらいたいと思っています。

変な人間関係もなく、教育の仕組みもある

弊社には変な人間関係もなく、いい人が集まっています。厳しい上司はもちろんいますが、心配しないで入ってきてほしいなと思っています。会社としても、若い世代を腰を据えて教育する仕組みがちゃんとあるので、そこは安心してもらえたらと思います。

編集後記

インタビューを通して印象的だったのは、目的もなくブラブラしていた学生時代から、氷河期での一社だけの内定を経て、それでも三十六歳で経営に踏み出した篠本さんの歩みでした。条件よりも「任せてもらえる環境」を大切にしてほしいという言葉は、就職活動をする身としてもとても刺さりました。社員一人ひとりの表情を見るという姿勢からも、和を大切にする会社づくりが伝わってきました。