インタビュー

面白いものを作りたい人」と「成果を出したい人」が一緒に作る、映像制作会社 pump の流儀

面白いものを作りたい人」と「成果を出したい人」が一緒に作る、映像制作会社 pump の流儀
PROFILE
株式会社pump 代表
小船 清次

映画館のアルバイトから始まった映像との出会い

本好きが映像の世界へ

もともと映像が特別好きだったわけじゃないんです。慶應義塾大学文学部だったので、どちらかといえば本が好きで、就活も最初は出版社を中心に考えていました。

大学時代のアルバイト先として選んだのが、渋谷の映画館でした。シネコンだったのでアルバイトの学生が 100 人くらいいて、その中に自主映画を作っている人や役者の卵みたいな人がちらほらいたんです。「暇だったらちょっと手伝ってよ」って誘ってくれたのが、今の共同代表の三本菅 悠なんですけど、そこから映像制作に関わるようになっていきました。

就活では出版社の大手各社も受けていたんですが、結果的に映像系のところに拾っていただいて。それが今につながるきっかけになりました。

フリーランス時代が培ったこと

「内製化」できる数少ない存在に

大学卒業後は大手 CM 制作会社に入社して、プロダクションマネージャーとしてテレビ CM 制作の基礎を現場で学びました。

ちょうど私が入社したころ、業界全体がどんどん web コンテンツにシフトしていく時代でした。でも大きい会社だったので、テレビ CM のやり方が正義みたいな風潮はやっぱりあって。web CM は下に見られたり、YouTube が出てきた当初もタレントとは違うよね、みたいな雰囲気が正直ありました。

そういう環境の中で、自分は編集ができるというスキルを持っていました。当時、制作会社では編集は専門の「ポスプロ」と呼ばれる業者に発注するのが当たり前で、自分たちでやることはほとんどなかった。でも時代の流れの中で、ちょっとしたものは内製しなきゃいけない場面が出てきて、それができるのが社内では私を含む数名しかいなかったんです。

2 年で退職してフリーランスへ。その後 6〜7 年間、一人でいろいろな web コンテンツや CM を作り続けました。

「法人じゃないと断られる」という現実

フリーランスを長くやっていくと、一人でできることの限界が見えてくるんですよね。大きいコンテンツを作りたいときにどうしても会社に所属しているチームの方が強いし、ロケ地を「貸してください」と言っても個人だと断られる、みたいなことが出てきて。

ちょうどそのころ、大学時代に私を誘ってくれた三本菅もテレビ番組制作の世界でフリーランスになっていました。お互い情報交換をしながら「法人にした方がいいよね」という話になって、「じゃあ 2 人で一緒にやろうか」という感じで始めたのが pump です。

広告×テレビ、2 つのバックボーンが生む強み

ニッチな「両取り」のポジション

私が広告系出身で、三本菅がテレビ系出身という組み合わせは、同じ映像業界でも全然カルチャーが違う 2 人がいっしょにやっているということで、お互いのいいとこ取りができるんです。

たとえば今、以前ずっとテレビ CM に予算を投下していた企業さんが「自社でメディアを作って、Analytics を見ながら PDCA を回す方がいいんじゃないか」という方向に動いてきています。そういう時に、面白いものは作れるけどクライアントワークが得意じゃない、というテレビ系チームと、クライアントのオーダーには答えられるけど面白さが出にくい広告系チームのちょうど間のポジションに、私たちが入れる感覚があって。

ここを狙っているチームって、周りを見渡してもそんなに多くないんです。そこを責めていこうかな、というのがここ数年の軸になっています。

「伝えたい」を汲み取り、世の中へ届ける

ミッションはポンプであること

会社のミッションとして「伝えたいを汲み上げ、送り出す。人々を繋ぐポンプであれ」という言葉を掲げています。

クライアントさんが動画を作りたいと言ってきたとき、なんとなく「かっこいい映像にしたい」「エモい感じにしたい」という要望があっても、なぜ作りたいのかをちゃんとヒアリングしないと本当にいいものはできない。採用目的なのであれば、エモい映像よりも会社の魅力や体制を丁寧に伝える方がいいこともある。そういうコミュニケーションを取りながらやっていきたい、というところがうちのスタンスです。

一方で、私たちはクリエイター出身のメンバーが多いので、言語化しづらい「とにかくいいものを作りたい」という要望に対しても応えられる。その翻訳作業みたいなところを大事にしています。

映像の枠を超えて、課題解決へ

今は映像制作会社という形でやっていますが、それだけにとどまらず、誰かの思いを世の中に届けていく会社でありたいというのは思っています。

変化が激しい時代で、テレビ CM から YouTube へ、縦型コンテンツへと映像のあり方もどんどん変わっている。将来的には「映像」という概念自体が変わっていく可能性もある中で、私たちが何者であり続けるかは正直まだ模索中です。でも、映像という手段にこだわるよりも、課題解決というアプローチでやっていきたいという方向性はあります。ビジョンとして言語化するのが難しくて悩んでいるのが正直なところですけど(笑)。

変化に柔軟な人を求めている

未経験でも舞台に立てる時代

今は組織づくりにも力を入れていて、属人性からの脱却や仕組み化、人事評価制度の整備なども進めているところです。コアメンバーと制作メンバーあわせると 20 人超くらいのフェーズで、もう少し拡大も見据えています。

採用で一番大事にしているのは、ビジョンへの共感と変化への柔軟性です。AI の進化で編集技術や演出技術は未経験でも早く習得できる時代になってきているので、スキルよりもどういう姿勢で仕事に向き合うか、の方が重要だと思っています。

映像の世界で未経験 OK と言っているところが少ないので、趣味でやってきた方や、自分で YouTube コンテンツを作ってきた方が応募してきてくれることも多くて。今年入ってくれた新卒の方も「どこでうちを見つけてきたの?」という感じで来てくれて、そういう行動力のある人を見るとやっぱり素敵だなと思いますね。

学生へのメッセージ

行動した先に出会いがある

私自身、就活のときに大手出版社・大手制作会社・テレビ局しか受けていなかった。正直、視野が狭かったなと今は思っています。

世の中にはいろんな会社があって、いろんな人がいる。社会に出てからも、新しいことをやろうとするたびに「こんな世界があったんだ」「こんな人がいたんだ」という発見の連続で、今もそうやって日々やっています。

引き寄せの法則じゃないですけど、行動した結果として出会いがある。面白いものを探しに行く行動力が一番大事かなと思っていて。それこそ pump みたいな、名前は大きくないかもしれないけれど面白いことをやっている会社を自分で見つけてきてくれる人と一緒に働きたいですね。

編集後記

今回のインタビューで印象的だったのは、小船さんが「映像が好きだった」からではなく、アルバイト先での出会いをきっかけにこの業界に入ったという原点でした。就活においてもビジョンや思いに共感して動くことが大切だとよく聞きますが、pump さんのように「広告×テレビ」という掛け合わせで独自のポジションを築いている会社は、確かに調べなければ出会えません。pump さんが掲げる「変化に柔軟な人を求めている」というメッセージは、学生の私にとっても刺さる言葉でした。スキルがないからと諦めるのではなく、まず行動してみること。そんな当たり前だけど難しいことを、改めて考えさせてもらえるインタビューでした。