外国人の暮らしを法律で支える
学生時代から外国人法を専攻
学生時代は、今の仕事のメインになっている外国人に関わる法律や、国際私法を専門に勉強していました。当時から企業に勤めることはあまり考えていなかったんですよね。外国人の日本での生活をサポートする行政書士の仕事をメインにして、独立しようと思っていました。
大学院卒業後すぐに開業
大学院を卒業してから、どこかの企業に就職したことは一度もありません。卒業した後はお金を貯めたり開業の準備をしたりする期間が2年ほどあって、28歳のときに個人事業として開業しました。やりたいことは最初から決まっていたので、あとはどう実現していくかを考えるだけでした。社会に出た最初の一歩が、そのまま独立だったという形ですね。
ビザ専門の行政書士として18年
今は、外国人のビザの手続き、正式には在留資格といいますけど、その法律的なサポートをしています。国際結婚で日本に来る方、日本の会社で働く方、日本で起業する方など、入国や在留にかかわる手続きを支える、いわゆる「イミグレーションロイヤー」としての行政書士です。この仕事を始めて、もう18年ほどになります。
試行錯誤で切り拓いた事務所経営
ネット集客が強みになった
開業した18年前は、インターネットがまだそこまで使われていない時代でした。とくに士業の事務所で、ブログやホームページを活用しているところは少なかったんです。そこで地域を絞ってインターネット広告を出したり、ブログを書いたりしたところ、お客さまは比較的すぐに集まってきました。チラシ配りも試しましたけど、やっぱりインターネットのほうが反応はよかったですね。
発信が問い合わせにつながった
初期の頃は、X(旧Twitter)で記事を発信すれば問い合わせが来ましたし、ホームページに記事を載せておくと相談やセミナーの依頼がありました。地域による差もあると思います。東京は競合が多いかもしれませんけど、大阪や地方だと比較的すぐに反応があったように感じています。発信すれば届く、という手応えがあった時代でした。
専門を絞って効率を上げる
当初は紙の書類が多かったので、ファイルをまとめるなど業務の流れを効率化することを意識していました。もうひとつ大事にしていたのが、専門分野をできるだけ絞ることです。いろいろな分野に手を広げずに外国人、その中でも雇用や結婚、さらに国を絞っていくと、ノウハウがたまりやすいんですよね。同じやり方を踏襲できるので、時短にもつながりました。
本と先輩の知恵から学んだマーケティング
マーケティングは試行錯誤でした。ビジネス書を読んだり、先輩がやっているから学んだりしていましたね。2010年頃からはマーケティングを教える方も増えてきたので、本を買って試してみたこともあります。Google広告やYahoo!広告、Twitterなど、とにかくいろいろ試しながら自分に合うやり方を探していました。
多文化共生の社会をつくるために
視点を高めて共生を提案
最近は、外国人には日本のことをあまりわかっていない人が多いから、日本語や日本のルールをきちんと勉強してほしい、という声も出てきています。そうした声といかに調和させながら、いろいろな国の人が一緒に暮らせる多文化共生の社会をつくっていくか。そこをもう少し視点を高めて提案できたらと思っています。今後はもっと研究などにも取り組んでいきたいですね。
知見と人のつながりを広げる
新しい提案に向けて、大学と連携したり、自分自身が学びに行ったりすることも考えています。弁護士や税理士といった士業の方とのつながりはもちろん、学生さんや地域の方など、まったく立場の違う人ともつながっていきたいですね。知見と人のつながりを広げていくことが大事だと感じています。異業種交流のように、さまざまな専門分野や立場の人が集まる場に出かける機会があるとありがたいです。
学生へのメッセージ
一度は海外に出てほしい
ひとつは、海外に行く機会があればぜひ活用してほしいということです。1年、2年の留学となると大変でしょうけど、1か月や3か月のプログラムもあります。学校を通じたものだけでなく、学校以外にもたくさんあると思います。時間やお金がハードルになりがちですけど、大学によっては単位やインターンとして振り替えてくれることもあるでしょう。お金の面でも補助金や「トビタテ!留学JAPAN」(文部科学省の応募企画)のような制度があります。いろいろ調べて、学生のうちに一度は海外に出てほしいですね。
違う属性の人とつながろう
もうひとつは、専門分野以外の人との付き合いを大切にしてほしいということです。たとえば法学部なら、法律分野の人ばかり仲良くするのではなく、医学部や芸術系の人など、まったく違う分野の人と関わってみる。大学生同士だけでなく、中学生や高齢者、経営者など、年齢や立場の違う人とつながるのも面白いと思います。学部やバイト先でのつながりは固定しがちなので、学生のうちにぜひ違う属性の人とつながってみてください。
編集後記
今回は、外国人のビザ手続きを専門とする行政書士の川添さんにお話を伺いました。印象に残ったのは、専門分野を絞るほどノウハウがたまり、仕事の効率も上がるというお話です。あれもこれもと手を広げたくなる私にとって、絞ることが強みになるという考え方はとても新鮮でした。また、学生のうちに海外へ出ること、属性の違う人とつながることという2つのメッセージは、今日から行動に移せるものだと感じます。まずは短期の留学プログラムを調べるところから始めてみたいと思います。