挫折から始まった「教育」への情熱と起業の原体験
建築の道から一転、教育の世界へ飛び込んだ理由
もともとは大阪工業大学で建築を学んでいて、設計士を目指していたんです。図面などの実技科目が全然ダメで(笑)先生からは「現場監督ならいけるけど、設計は無理だぞ」って言われちゃったんですよね。それが一つの転機でした。
そこで「本当にやりたいことは何だろう」と考え直しました。母子家庭で育ったこともあって、母から頼まれて手伝った母子家庭の子ども向けのキャンプイベントがすごく印象に残っています。子どもたちと関わる楽しさを知って、9月末に大学を退学して、そこから猛勉強して大阪教育大学に入り直しました。
「今すぐできるじゃん」の一言で始まった塾経営
教育大学に入ってからはテニスに打ち込んでいたんですが、留学費用を貯めるためにバイトを掛け持ちするようになって。そこでNTTのイベント販売なんかを経験したんです。ある時、上司に「将来は何をしたいんだ?」と聞かれて「いつか学習塾をやりたいです」と答えたら、「それ、今すぐできるんじゃない?」って言われたんですよ。
その一言でスイッチが入って、本を2冊読んで一気に構想を練りました。大学3年生の9月にはもう塾を立ち上げていましたね。学校の先生が社会経験を持たずに子どもたちに「仕事」を教えることに違和感があったので、自分で教材を全部作って、現場で試行錯誤しながら教えていました。
偶然の出会いから「水」の事業で社会を変える決意
ソフトバンク時代の元責任者との再会が転機に
塾の後は、営業や人材紹介など、教育とは別の分野で経験を積んでいました。そんな時に、前職で一緒だった同期から「水問題に関する展示会をサポートしてほしい」と頼まれたんです。ソフトバンクが出資しているメーカーの水循環システムだったんですが、その商品を見た時に「これは世界を救える」と直感しました。
これなら社会的な意義も大きいし、何よりワクワクする。そう思って、株式会社HatchPLANNINGを設立したんです。最初は子ども向けの手洗いや水に関する教材を作るワークショップからスタートしました。
能登半島地震で見えた「自社の使命」
設立から半年くらいは、正直「これで事業として成り立つかな」と悩んでいた時期もありました。でも、2024年の元日に能登半島地震が起きました。テレビで断水の状況を見て、「自分たちが持っているシャワーや手洗い機を届けるしかない」と。
1月3日にはもう車を走らせて現地に向かっていました。そうしたらメディアにも取り上げられて、支援の輪が広がっていったんです。そこからメーカーからも保守業務を任されるようになり、今の「災害支援・保守・人材」という形に繋がっていきました。あの時の即断即決が、結果として会社を大きく成長させることになったんです。
組織として大切にしている「ワクワク」と「個人の成長」
メンバー、一人ひとりの目的に寄り添う
今は社員とアルバイトを合わせて50名ほどの規模になりました。昔の苦い経験から、今は従業員一人ひとりと向き合うことをすごく大切にしています。それぞれの人生の目標があって、その通過点としてこの会社がある。会社での仕事が、その人の成長にどう繋がっているかを常に意識して道筋を見せるようにしています。
判断基準は、とにかく「ワクワクするかどうか」ですね。胸がグッと熱くなるか、楽しいかどうか。お金になるかどうかよりも、そっちを優先して動くのが弊社のスタイルです。
5社への分社化と、関わる人の幸せを求めて
これからは、今の事業を5社くらいに分社化していきたいと考えています。コアメンバーがそれぞれの事業を経営して、責任を持って動かしていく。僕自身がどうなりたいかというよりも、関わってくれるスタッフや学生たちが、うちを通じて成長したり幸せになったりすることの方がずっと大事なんです。
自分が選んだ道を、後から振り返った時に「正解だった」と言えるように、一歩ずつ積み上げていくだけですね。
未来を切り拓く学生たちへ
「5年後」ではなく「今」やるべき理由
起業したいという学生から「まずは企業に入って経験を積んだほうがいいですか?」と聞かれることがありますが、僕は「本当にそうかな?」と思います。やりたいことを押し殺してまで、無理にどこかに入る必要はないですよ。
「5年後にやります」と言う人は、僕から見れば「今やればいいのに」と思ってしまう。お金がなくても、バイトをしながらだって起業はできます。大学で取る資格よりも、現場で働いてから得る経験の方がずっと価値があります。
即断即決が人生を変える
弊社の強みは「即断即決」です。迷っている間にチャンスは逃げていきます。災害支援もそうでしたが、オーダーがあればすぐに動く。そのスピード感が、大企業には真似できない差別化になります。皆さんも、自分の心が動くものを見つけたら、まずは飛び込んでみてください。
編集後記
今回、柿花社長のお話を伺って一番心に響いたのは、「即断即決」の重みです。私自身、何か新しいことを始める時に「まだ準備が足りない」「将来のために今はこれをすべき」と理屈で固めてしまいがちですが、社長の「今やるしかないやろ」という言葉にハッとさせられました。
特に能登半島地震の際、テレビを見てすぐに現地へ向かった行動力には圧倒されました。ビジネスは理論だけではなく、目の前の困っている人のために何ができるかという純粋な「ワクワク」や「使命感」で動くものなのだと学びました。
私も大学3年生という、将来について悩みやすい時期にいますが、社長のように自分の心が「グッと上がる」感覚を信じて、まずは目の前のことに全力で飛び込んでみようと思います。貴重なお話をありがとうございました!