意識の低かった学生時代と、「オワハラ」にキレた就活
野球に明け暮れ、就活は「力試し」
学生時代は、今の自分からは想像もつかないくらい「超絶意識低い系」だったんですよね(笑)。起業したいなんて1ミリも思っていなかったですし、学生の時に力を入れた事と言われても「ずっと野球をやって、中学生に教えていた」くらい。本当に、それ以外の記憶が飛んでいるくらい野球しかしていませんでした。
そんな僕にとって、就活は一種の「力試し」みたいな感覚だったんです。もともと旅行が好きだったので、旅行会社をメインに受けていました。給料がそこまで高くない業界だとは知っていましたけど、「今しかできない経験」を優先したかった。
大手からの内定を蹴った理由
実は、誰もが知る大手旅行代理店からも内定をいただいていたんです。でも、いわゆる「オワハラ」を受けたんですよ。「うちに来るでしょ? 他は全部辞退するよね?」みたいな。その高圧的な態度に、若かったのもあってめちゃくちゃムカついちゃって(笑)。
「そんな言い方されるなら行きたくないです!」って断ってしまったんです。当時は納得感が一番大事でした。それで、縁があったトップツアーに決めたんです。
泥臭い営業の洗礼と、看板を背負う覚悟
トイレの数まで把握する、圧倒的な準備
新卒で配属されたのは、学校向けの修学旅行営業でした。基本は足で稼ぐ、超アナログな世界。学校の先生にとって、修学旅行は「無事に帰ってきて当たり前」の減点方式なんです。だから、イレギュラーは絶対に許されない。
「宿泊施設のトイレの便器は何個あるか?」「手洗い場の蛇口の数は?」なんていう、細かいことをめちゃくちゃ聞かれるんですよ。そこで「確認します」と言うのか、即答できるのか。この差が信頼に直結する。嘘をつかないために、誰よりも準備して言い切る。この時の「泥臭い営業」の経験が、僕の基礎になっていますね。
「杉本家の看板」を汚さないために
その後、ソフトバンク系の会社で法人営業を叩き込まれました。年間MVPをいただくほど必死に働きましたけど、ふと「自分はこのサービスを、身近な人に自信を持って勧められるか?」と疑問を持ってしまったんです。もっと誇れる仕事をしたいと思い、タクシーアプリで知られるGOへ転職しました。
そこで新規事業の立ち上げを経験した時、一つの結論に至ったんです。世の中にはすごい「企画のプロ」たちがいる。彼らには企画力や事業開発力では全く勝てない。けれど、営業なら負けない。そして、自分を動かしているのは「看板」なんだなって。
「杉本家の長男として、妻や息子の自慢でありたい」「母校の野球部の元主将として、情けない姿は見せられない」。そんな、勝手に背負っている看板を汚さないために、僕は走り続けられるんです。
独立して見えた、自分らしい会社の形
「求人にあわせる」のではなく「人にあわせる」
現在は、営業職やバックオフィス・飲食業界に特化した人材紹介事業を生業にしています。大手との違いは、良くも悪くも「泥臭さ」ですね。エントリーがあった方に既存の求人を勧めるのではなく、その人に合わせて僕が新規で求人を開拓しに行くこともあるんです。
それと最近は、オーナー企業に特化した採用コンサルも始めました。儲かっているけれど採用の仕方がわからなくて困っている企業さんは多い。そこを自分の採用や営業の経験でサポートしていければと思っています。
困った時に「うちで働きなよ」と言える場所に
実は、会社をものすごく大きくしたいという野心はあまりないんです。ただ、僕に関わってくれる人たちが幸せであってほしい。
理想は、身近な人が何かに困った時に「じゃあ、うちで働きなよ」と迷わず言ってあげられる規模。それには、ある程度の会社の体力が必要ですから、そこまでは成長させたいですね。一緒に働くなら、とにかく「人としてちゃんとしている人」。嘘をつかない、約束を守る、悪口を言わない。そんな誠実なチームでありたいと思っています。
学生たちへ:やりたいことは「経験」の先にある
僕は意識が低かったし、いわゆるエリートコースを歩んできたわけでもありません。でも、タイミングと運には恵まれてきた。それは、なんだかんだ言いながらも「チャレンジ」し続けてきたからだと思うんです。
「やりたいことがない」と悩む学生さんは多いですが、それでいいと思います。ただ、いろんな経験をしてほしい。経験を積めば価値観が広がるし、自分の得意・不得意も勝手に見えてきます。
「とりあえずやってみる」。その積み重ねの先に、いつか自分なりの「看板」が見つかるはずですよ。
編集後記
今回、杉本社長のお話を伺って一番心に響いたのは、「看板を背負う」という考え方です。ビジネスの世界では「社会貢献」などの大きな言葉が踊りがちですが、杉本社長の原動力は家族や仲間といった、とても身近で誠実なものでした。
私は今まで、就活のために「何か特別なこと」をしなければと焦っていましたが、まずは目の前のことに泥臭く向き合い、自分の言葉に責任を持つことから始めようと思いました。「企画屋には勝てないけれど、営業なら負けない」と自分の強みを潔く認める姿勢も、とても格好良かったです。自分も、誰かに「あいつはちゃんとしている」と信頼されるような、厚みのある人間を目指していきたいです。