インタビュー

団地の小さな買取店から、全国出張買取と学生の暮らしを支える会社へ

団地の小さな買取店から、全国出張買取と学生の暮らしを支える会社へ
PROFILE
株式会社アイスタ 代表者
押立 浩二

団地の片隅から始まった買取業

埼玉の団地の小さな店だった

創業は2017年、今から約10年前のことになります。埼玉県朝霞市の大きな団地の中にある、ちっちゃな買取商店みたいなところから始まりました。隣はおにぎり屋さん、裏はスーパーというような場所です。

団地には高齢のおじいさん、おばあさんがたくさん住んでいて、テレビや冷蔵庫、洗濯機を買い替えたいけれど、新しいものは高いし、あと何年使うかわからないというお困りごとがありました。そんな時に「冷蔵庫だけでいいから買ってほしい」というような依頼が来るようになったんです。

もともとは冷蔵庫や洗濯機の買取・販売に特化していたわけではありませんでした。しかしながら、近所の人たちの依頼を受けて買い取っているうちに、お客様のお困りごとを解決していくと物が集まる、それをきれいにして再販すれば商売になる、と気づいたのがはじまりです。

出張で査定できることが強みになった

当時、中古品は基本的に持ち込まないと買い取ってもらえないのが普通でした。ハンドバッグや時計、ギターのような楽器を質屋に持っていって、その場でお金に変えるというのが一般的な中古買取のイメージだったと思います。

弊社が始めたのは、大型のものを出張で買い取り、その場で査定もするというやり方です。冷蔵庫や洗濯機は買い取っても置く場所がないので、大きな倉庫も必要になりますし、参入障壁が高い分野でした。だからこそ、今でも「冷蔵庫、洗濯機、テレビ買います」というCMはほとんど見かけないと思います。この分野はまだブルーオーシャンだと感じています。

倉庫を借りながら少しずつ規模を大きくした

はじめのうちは、買い取った冷蔵庫や洗濯機を、それを専門に販売している中古屋さんに直接売りに行っていました。今で言うと、大手家電量販店の中にある中古品専門コーナーのようなところです。

そこでお金を貯めて倉庫を借り、空きテナントを増やしていく形で、少しずつ、少しずつ規模を大きくしていきました。急激に拡大したというよりは、一つひとつステップを踏んで大きくしてきたという感覚です。もともと私自身、買取や中古の世界の出身ではなく、会社員から転身してこの業界に入りました。お客様のお困りごとを解決するという付加価値を、うちなりのやり方でやってきたつもりです。

全国展開を支えるフランチャイズの仕組み

対応しきれない問い合わせが次の課題になった

現在、社員だけで30人弱、パートやアルバイトの方も含めるとさらに多くのメンバーが働いています。ホームページからの問い合わせが増えていく中で、次第に自社だけでは対応しきれない依頼をいただくようになり、お客様のお困りごとに応えきれないことが新たな課題として出てきました。

その解決策として加盟店を募集し、パートナー契約を結んだ加盟店様に対応いただく形を取っています。弊社は品質や金額面を担保しながら全体を回していく役割を担うことで、全国展開を実現しました。

ノウハウのある方を中心に集めてきた

オペレーションには力を入れていますが、それ以上に大事にしているのは、地元で買取経験のあるオーナー様を中心に加盟店を集めてきたことです。ノウハウがある方を中心に集め、弊社のやり方やルールとのすり合わせをおこない、蓄積したデータを横展開していくという進め方をしています。

加盟店費用もそれほどいただいていません。自社の利益だけを追求するのではなく、加盟店様にもご家族や目指したいところを実現していただきたい、そういう設計を大切にしています。

新生活や困りごとに寄り添う今後のビジョン

新生活と家電の親和性は高い

冷蔵庫や洗濯機、テレビといった大きなものが動くのはどんな時か、考えてみると新生活のタイミングと非常に親和性が高いんです。学生さんであれば3月、4月の進学のタイミング、社会人であれば就職や引っ越しのタイミングです。

3年、4年ほどしか使わないのに新しい冷蔵庫を買うよりも、きれいな中古の方がいいという方は多いと思います。うちは物を集められますし、情報も集められますので、そうした困りごとに応えていきたいと考えています。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、掃除機、電子レンジといった5点、6点のセットを提供するようなイメージです。

外国人技能実習生や生活困窮者の支援にもつながる

外国人技能実習生を雇う企業様は、法律上、生活できる体制を用意してから受け入れる必要があります。冷蔵庫や洗濯機、ベッドやテーブルなど、生活家電をまるっと用意してあげられる存在は、実は多くありません。ここにも、弊社のサービスとの親和性の高さを感じています。

これ以上詳しくは言えない部分もありますが、生活保護を受けている方など、国からの補助額に上限がある中で、中古家電のセットが助けになっているというデータもあります。利益度外視というわけではありませんが、そうした方の助けになれることも、今後やっていきたいと思っている領域です。

「困りごとから発想する提案力」が強みだと思う

買取という強い基盤があるからこそ、そこで集めたものを、新生活や引っ越し、外国人の受け入れといった別の困りごとの解決に使っていく。目先の利益だけでなく、お困りごとから発して「じゃあこうしましょう」と提案していく力が、うちの強みなのかなと感じています。

学生の間に、相手のためになることを早く理解してほしい

学生さんの中には、やりたいことがはっきりある人もいれば、何をしていいかよくわからない人もいると思います。夢があって、それで食べていきたいという人は、それが一番いいと思います。

一方で、まだよくわからないという人には、自分の労働や思考を、共感してくれる相手に使ってみてほしいと伝えたいです。労働は対価に変わるものですが、それが誰かの喜びやためになっていると早く理解できると、頑張れる力になります。学生の間にそこに気づけると、その先が長いぶん、生きやすくなると思います。

理想ややりたいことがある人は、それに向かって進んだ方がいいと思います。親が言うからという理由ではなく、自分自身がやりたいと思うことに時間や体験を使えるうちに、使っておいた方がいいと感じています。

編集後記

創業のきっかけから、全国展開を支えるフランチャイズの仕組み、そして新生活や外国人技能実習生、生活困窮者の支援にまで広がるビジョンまで、幅広くお話をお伺いしました。買取という一つの事業を通じて、さまざまな人のお困りごとに向き合い続けてきた歴史に、強く興味を惹かれました。学生団体との連携という新しい取り組みも含め、今後の広がりが楽しみな会社だと感じています。

買取と販売サイト:https://www.recycleshop-aisuta.com/