インタビュー

「わくわくを、ともにつくる」。ソフトボール一筋だった私が、愛媛でAIの会社をつくるまで

「わくわくを、ともにつくる」。ソフトボール一筋だった私が、愛媛でAIの会社をつくるまで
PROFILE
株式会社LIBERACK 取締役
杉野 諒

スポーツだけで生きてきた学生時代

ソフトボール一筋で育った

私は愛媛県東温市の出身です。松山市の隣町で、いわゆるベッドタウンのようなところで生まれ育ちました。実は小学校2年生のころからずっとソフトボールをしていて、スポーツ少年団から始まり、中学校でもソフトボールを続けていました。仲間にも恵まれて、全国大会で優勝することもできたんです。高校もソフトボールでの進学で、そこでも国体で優勝しました。本当にスポーツだけをして生きてきた人間でしたね。

大学でも部活漬けの日々

大学は京都の立命館大学法学部に進学しました。これもソフトボールのご縁があっての進学です。在学中もずっと部活でソフトボールを続けていました。ただ、部活をしながらも「自分に何かできることはないかな」とずっと考えながら生活を送っていたように思います。卒業後は地元の愛媛に戻ることにしました。

ホテル運営からIT、そして起業へ

社長業を知りたかった

愛媛に戻ってまず考えたのは、「社長業ってどんなものなんだろう」ということでした。それを知りたくて、知り合いの社長さん何人かに連絡してみたんです。その中で「ちょっと手伝ってくれないか」と声をかけていただいたのが、ホテルの運営でした。そこで経営の部分などをいろいろと手伝わせていただくことになり、社会人としての一歩を踏み出しました。

コロナ禍でITと出会う

ITとの出会いは、本当に必要に迫られてのことでした。ホテルの仕事を手伝っていたころに、ちょうどコロナの時期が来たんです。「Webサイトなどでちゃんと集客しないとまずいぞ」と思って、そこからITの勉強を始めました。そうしたら、これがすごく面白くて。もっと本格的にやってみたいという気持ちが強くなり、地元のシステム開発会社への転職を決意しました。

26歳、タイミングが来た

ところが、転職した会社が倒産してしまったんです。「会社ってこんなにすぐなくなるんだ」と身をもって学びました。ちょうど26歳くらいのタイミングで、「よし、起業しよう」と決めました。何か特別なきっかけがあったというより、もともと起業したい気持ちはずっとあって、そのタイミングがちょうど来たという感覚です。こうしてLIBERACK(リベラック)を創業しました。

わくわくを、ともにつくる

原点はクリエイティブ

ITは私の強みのひとつです。ただ、ディレクションやプロジェクトマネジメントは、すべての業界に共通するものだと思っています。イベントの運営も、ブランディングの支援も、家を建てることも、やることは同じなんですよね。その基礎知識があったので、とにかくお客さんにわくわくを届けたい、というのが昔からずっと変わらない弊社の理念です。創業当初は3DCGを手がけるなど、クリエイティブな仕事もたくさんしていました。

AI開発とブランディング

今はおもに2つの事業をおこなっています。ひとつはシステム開発で、AIやAIエージェントの開発、Webシステムの開発など、ITに関わる部分全般です。もうひとつがブランディング支援です。こちらはこれまでやってきたことをすべて踏襲しているような形で、企業さんの価値をいかに広めていくかを一緒に考えます。その手段はWebサイトかもしれないし、システムやアプリかもしれない。そういったところから一緒にご支援させていただいています。

「面倒」を「やりたい」に

ブランディング支援でも、AIエージェントの開発でも、システム開発やAI導入支援でも、すべてに共通しているのは「わくわくを一緒につくりましょう」という目線です。経営者の方も現場で働く方も、日々の困りごとや「こうなったらいいな」という想いは誰しも持っていると思うんです。「これ面倒だな」ではなく「これを使えばこんなこともできそう」「こういうことをやってみたい」。そんな気持ちを一緒に育て、形にしていくことが弊社のミッションであり、強みだと考えています。

とにかく現場に出社する

わくわくを一緒につくるためには、まず想いを聞かなくてはいけないし、現場を知らなくてはいけません。だから弊社は、システム開発でもAI導入でも、お客さんのところにとにかく出社しています。現場の方とコミュニケーションを取りながら、その場でシステムを開発してしまうこともあります。最近はFDE(顧客の現場に入り込んで開発するエンジニア)という言葉が流行っていますが、その言葉が広まる前から、現場に入って一緒に可能性を探し、一緒に形にしていくことを大切にしてきました。

会いに行ける距離で

お取引先は、ほぼ愛媛県の企業さんです。弊社は現場に行けるかどうかを本当に重視しています。オンラインだけの関係だと、なかなか想いを届けられないと思っていて。もしオンラインだけで十分なら、その企業さんの地元の会社にお願いしたほうがよいかもしれない、と本気で考えているんです。県外の企業さんの場合は、会いに行くことを前提に、費用感を調整させていただけるかどうかご相談しています。

愛媛でAIといえばLIBERACKへ

頼られる会社をめざして

長期的な目標を細かく描いているわけではないんです。ただ、「愛媛でAIといえばLIBERACKだよね」と言われるくらいにはなりたいと思っています。何か困ったときに助けてくれる、そんな会社でありたい。そのために今は、とにかく現場に入ることを意識しています。愛媛にもシステム開発の会社はもちろんありますが、首都圏の仕事を請け負っているところが多いんです。私の前職もそうでした。だからこそ、弊社は地元に目を向けていきたいと考えています。

ITに場所は関係ない

以前、交流会で東京の企業の方から「愛媛でシステム開発ってできるんですか?」と言われたことがあります。でも今、ITは場所とはほぼ関係がなくなっているのが現状だと思うんです。一方で、地方のIT活用にはまだまだ伸びしろがあります。やっとAIを使い始めたことでDXが進み出したような状況で、社内のチャットツールすらない会社も少なくありません。これからAIが台頭していくなかで、地方だからいいや、ではいけない。弊社がしっかり下支えをして、愛媛全体のレベルを底上げできたらいいなと思っています。

動ける範囲を広げたい

今後は、活動の範囲も広げていきたいと思っています。弊社のメンバーが動ける範囲を広げるのか、仲間を増やして広げるのかはまだわかりません。それでも、たとえ他県であっても会いに行ける、現場に入れる。そんな環境をつくっていきたいです。現場に入るというスタイルを大切にしたまま、四国全体へと広げていけたら、まさに理想的ですね。

学生へのメッセージ

大学時代はとにかく挑戦

大学時代は本当にいろいろなことをやりました。遊びもそうですし、投資の勉強をしてみたり、イベントを企画してみたり。部活をしながら、「面白そうだから」という理由でクラブで働いていたこともあります。平日の夕方などはお客さんが少ない時間帯だったので、その時間を活用して何かできないかという話になり、イベントを開いたこともありました。人には言えないような経験もありますが、大学生だからこそできた経験ばかりで、今につながっていると思います。

しない後悔より、する後悔

おこがましい話ですが、学生のみなさんには、弊社が大切にしているわくわくする気持ちを大事にしてほしいと思っています。「何かやってみたい」「なんか面白そう」、きっかけは何でもいいんです。その「やってみよう」という挑戦がすごく大事で、仕事をしていくうえで人としての厚みになると思っています。やったことのないものは、たぶん語れないですから。やってみて初めて「向いてなかったな」とわかることもあります。しない後悔より、して後悔するほうが絶対にいいですし、それがすべて経験値になっていきます。

しんどい時は原点に

学生のみなさんが今取り組んでいることも、きっと最初はわくわくする気持ちから始まったと思うんです。でも続けていくと、しんどいと感じる瞬間が絶対にありますよね。そういうときに、最初のわくわくを振り返ってもらえたら、みんな幸せになれるのに。そう本気で思っています。わくわくは、挑戦を続けるための原点なんだと思います。

編集後記

お話をうかがってまず驚いたのは、ソフトボール一筋だった杉野さんが、ホテル運営やコロナ禍をきっかけにITの世界に飛び込み、26歳で起業されたという経歴でした。何より印象的だったのは、オンラインで完結できる時代にあえて「現場に出社する」というスタイルを貫いていることです。私自身、学生起業に関わるなかで効率ばかりを追いがちでしたが、相手の想いを聞くために足を運ぶことの価値を改めて考えさせられました。「しない後悔より、する後悔」。わくわくする気持ちを原点に、私も一歩踏み出してみようと思います。