インタビュー

才能があったかはわからない。それでも「トップになりたい」だけは、ずっと本気だった

才能があったかはわからない。それでも「トップになりたい」だけは、ずっと本気だった
PROFILE
株式会社えるじぇーぴー 代表者
おハトさん(大沢 佳貴)

お笑い芸人という原点

中学生で芸人を目指した

笑いが、ずっと好きだったんですよね。小学校、中学校、高校とその気持ちは変わらなくて、中学ぐらいのころにはもうお笑い芸人になりたいなと思っていました。中2、中3のころには、ほぼほぼ決めていましたね。

就職活動をしたことは一度もないですし、社会経験もありません。お笑い芸人を7、8年ほどやっていて、そこからいきなり社長になっている状態なので、珍しいパターンかなとは思います。

TikTokがきっかけだった

芸人を辞めるか辞めないか迷っていたタイミングで、TikTokを始めたんです。フォロワーが増えていくなかで、InstagramやYouTubeの運用代行という仕事もすでに増えてきていたので、TikTokもいずれ仕事になるだろうなという感覚がありました。

そこで個人でTikTok運用を始めて、自分のアルバイト先などから実績を作っていって。ただ、いろいろな企業様と一緒にお仕事をするうえで、会社じゃないと信用がないという壁にぶつかったので、一旦会社にしようというのが弊社の始まりです。

憧れは居酒屋のバイト先にあった

独立願望や社長になりたいという気持ちは、もっと前からありました。22、23歳のころにアルバイトをしていた居酒屋の社長が、すごくよくしてくれたんです。社員さんたちも私にやさしくて。芸人時代はお金もなくて貧乏だったので、どこへ飲みに行っても全部おごってもらっていて、本当にお世話になっていました。

こんな会社を作りたいなと、そのときから思っていて。売れても売れなくても、いつか居酒屋はやろうと決めていました。「社長」というワードにずっと憧れがあったので、会社をやりたいという気持ちは若いころから持っていましたね。

二つの事業の柱

TikTok運用と飲食、両軸で

現在の事業は、TikTok運用と飲食店経営という、二つの軸で動いています。もともとインフルエンサーとして活動しているので、知名度という点では採用面で強みがありますし、TikTok運用のほうは仲間のインフルエンサーに企画や編集で入ってもらえるので、そこも武器になっているかなと思います。

飲食店のほうもSNSを活用して、採用と集客につなげています。取引先の業種はとくに限定しておらず、飲食以外にもトラック会社や塾など、いろいろな業種を担当させていただいています。

芸人の発想力が武器

自分のアカウントを伸ばすのと、他の業種や業界のアカウントを伸ばすのとでは、また違った難しさがあります。インフルエンサーはコンプライアンスをそこまで気にしないので、少し際どいことにも踏み切れますが、会社となるとマイナスブランディングになってしまうことはできません。そこの線引きは難しいなと感じますね。

差別化を意識しているわけではないのですが、もともとお笑いをやっていたので、芸人の脳みそはかなり長けていると思っています。手伝ってくれる他のインフルエンサーは元俳優や元女優、元芸人にお願いすることが多いのですが、面白い企画や他の人が思いつかない企画を作れるという点には自信があります。

一番大変だったのは、飲食1店舗目

芸人時代のほうがしんどかった

知識ゼロから始めているので、この瞬間がとくに大変だったというのはあまりなくて。どちらかというと、芸人時代のほうがしんどかったです。お金がない、遊べない。売れない、ウケない、スベる。そういう瞬間のほうが今よりつらかったですね。今はやっと稼げるようになってきて、やりたいこともできるようになってきているので、大変というのはあまりないかもしれません。

1店舗目オープンまでの1か月

唯一挙げるとしたら、初めて飲食店を出すときの、オープンまでの1か月間はめちゃくちゃしんどかったです。全部ゼロから準備するので、社員もゼロから集めなければいけなくて。不動産との契約や、食品衛生責任者の資格取得など、知らないことだらけで大変でした。

いろいろな業者と契約したりして、あまり眠れなかったですね。その1か月で結構痩せました。コストを抑えるために壁の塗装を自分でやったり、居抜きの掃除も自分でやったり。「これ何やってるんだろう、俺」となった時期はそこかもしれないです。

これからのビジョン

10年で10店舗が最低ライン

今は飲食店を2店舗やっていて、基本的には1年に1店舗ずつ増やしたいと思っています。10年で10店舗は最低ラインで出したいです。10店舗だと年商はおそらく7、8億ぐらいにしかならないので、12、13店舗までいかないと年商10億には届かないかなと。そこから20店舗、30店舗と増やしていって、100店舗というところも今後は目指しています。

最低でも10店舗というのは決めていて、そこから先は何なら100店舗、というくらいの気持ちです。現在の従業員数は28名ほどです。

学生へのメッセージ

失敗してもいいから挑戦する

社会経験なしのこんな私でも、ゼロからやれています。会社も今なお挑戦ですし、人生をかけてやっています。何でも挑戦することは、失敗してもいいから挑戦したほうがいい。やらないよりは挑戦したほうがいい。伝えたいのは、こんな私でも頑張っていますよ、ということですね。

才能があるかは、わからない

才能があるかどうかは、正直考えたことがありません。ただ、トップになりたい、誰かの下にはなりたくないという気持ちは、ずっと持っていました。自信がなければ、そもそもやっていなかったと思います。心のどこかで、自分ならできる、才能があるとは思っていたのかもしれません。

才能がないと思っている方には、若いころは不安なことが多いと思いますが、いろいろな人生経験を積んでいくうちに、自信につながっていくと思う、と伝えたいです。いろいろな人と出会って、いろいろなメディアを見て調べて、これなら自分にもできそうというものが見つかると思います。私自身も学生時代は、今を楽しみながらも将来への不安がありました。いろいろな人と出会って人生経験を積むことが、大事なのかなと思います。

編集後記

大沢さんのお話で印象に残ったのは、お笑い芸人からTikTok運用、そして飲食店経営へと軸足を移しながらも、「トップになりたい」という一貫した気持ちがずっとあったことです。社会人経験がないまま社長になったという経歴は珍しく感じますが、居酒屋のアルバイト時代に憧れた社長像を、今まさに自分の会社で体現しようとしている姿が印象的でした。10年で10店舗、その先は100店舗という具体的な数字を持ちながら、才能の有無よりも挑戦し続ける姿勢を大切にされている点は、就職活動やキャリアに悩む同世代の学生にとっても、ヒントになるお話だったのではないかと思います。