異業種3社が絡み合って創り出すもの
株式会社PRIERE(プリエール)は、マンションの設計を行う「株式会社宮田建築事務所」を親会社に持ち、不動産仲介を行う「株式会社REGULUS(レグルス)」と連携して経営を行うスタートアップ・ベンチャー企業です。3社の創業者は父です。じきじき大きなデベロッパーにしたいという、若いころの父の野望がこめられています。
プリエールは、父の遊び心から生まれた会社でした。オリジナルグッズを作ったり、レースクイーンのスポンサーになったりと、遊び心満載の会社でした。ですが父の設計の仕事が忙しくなるにつれ、プリエールとレグルスは、ほとんど動いていない状態がしばらく続きました。
「好きなことをしていい」と育てられた
私は、父がそういう仕事をしているということを知らずに育ちました。学生を終えて社会人になるとき、父の会社を継ぐという考えは一切なく、「好きなことをしていい」と言われて育ってきたんです。車が好きだった私は、自動車業界の憧れだったトヨタ自動車に就職しました。
トヨタでの営業、完全燃焼
トヨタディーラーで営業マンとして夢中に働き、その結果、年間最優秀スタッフ賞をいただくこともできました。完全燃焼、やり切った感のタイミングで、父から「2つの会社を動かしてくれないか」という話をもらいます。それがきっかけで、私は転職を考えました。トヨタを辞め、プリエールとレグルスを任されることになりました。こうした流れで今、代表を務めています。
シングルマザーになって見えたもの
小さな子どもを抱えて働くということ
夫が若くして亡くなり、私は2人の子どもを抱えるシングルマザーとして働くことになります。小さな子どもを育てながら、大黒柱として家族を支える、仕事をしていくという大変さを、身をもって知りました。トヨタで働いていたころも、男性社会のなかで女性として働きづらさを感じることは多くありました。そこから「女性を応援する会社にしたい」という思いが強くなり、それがプリエールの方向性になっていきます。
ワーキングマザーのための派遣会社として
まずはワーキングマザーが働きやすい派遣会社として、プリエールを動かし始めました。子どもが学校に行っている間の時間だけ働けるお仕事や、子どもが小さいうちに突然熱を出して保育園に行けなくなった、といった急な事情にも対応できるお仕事を紹介するところからのスタートです。
レグルスで力をつけて、夢のマンションを建てる
開発用地の仲介という仕事
宮田建築事務所とレグルスがグループ会社としてあるので、私の最終的な夢は、女性が子育てをしながら働きやすい「ビレッジ」のようなマンションを建てることです。実現にはとにかく資金が必要なので、そのためにレグルスで開発用地の仲介の仕事に力を入れています。うまくいけば大きなお金が動く仕事なので、いまはプリエールの夢を叶えるために、レグルスで体力をつけている段階です。
じつはこの仲介という仕事、私でも「自分の強みが全部つながった」と感じています。もともと口下手なほうなのですが、トヨタで営業成績1位を取った経験から、気持ちを伝えるのには、必ずしも巧みな話術は必要ではない。自分らしさ、真摯さ、真心、人間力が最大の武器になるということは、信念として持っていました。これまで歩んできたことすべてに意味があって、それがうまく重なった結果だと思っています。子どもが3人生まれ、産休と育休を何度も繰り返してきたので、社会とのつながりをうまく持てず、仕事に打ち込めなかった時期が10年以上ありました。いちばん下の子もある程度手がかからなくなり、今ようやく「さぁ、ここから」というタイミングです。
子育てしながら働けるビレッジ構想
保育園や学習塾、医療機関、商業施設、公園やカフェを併設したマンションで、地域みんなで子どもを育てるような雰囲気の住空間を作りたい。仕事をがんばりたいのに妊娠中や子育て中は思うように動けない、という葛藤を経験してきたからこそ描けるビジョンだと思っています。
不動産という仕事の面白さとリスク
「人間力」が試される世界
不動産と聞くと、地面師の映画のイメージなどから「怪しい世界」「怖い世界」と思う人も多いかもしれません。実際、莫大なお金が動く仕事なので、ミスをすれば大きな損害賠償につながることもある、厳しい世界でもあります。しかし、人と話すのが好きな人や、ビッグになりたいと思っている人(笑)には、とても向いている仕事だと感じています。何より試されるのは人間力です。夢が大きい人には、ぜひ一度挑戦してみてほしいと思います。
大学生へ伝えたいこと
限りある時間の中に、可能性無限大の自分をどう組み込むか
大学生の皆さんに伝えたいのは、時間は無限にあると思っていませんか、ということです。限りある時間をどう使うか、それに早く気づいたもの勝ちだと思っています。時間と対比して、自分の可能性は無限大です。出会う人、出来事、環境、経験によって、いくらでも広がっていく自分の人生を、ぜひ、今、想い描いてみてほしいです。
何かに挑戦して、たとえうまくいかなくても、それには意味があります。私もいろいろな経験をしてきましたが、結果的にすべての経験が、いまの仕事につながっていると感じています。遊びから得られることも山ほどあります。片っ端からいろいろなことに手を出してみてほしいですし、もし学生時代に戻れるなら、私自身もっと遊んで、もっと勉強して、資格も取って、1日24時間じゃ足りないくらい詰め込みたいと思っています。
編集後記
遠藤さんのお話をうかがって、経験に無駄なものはひとつもないという言葉が、いちばん心に残りました。就職活動をしていると、つい遠回りを避けたくなってしまいますが、遠藤さんご自身がトヨタでの営業経験や子育てを通じて、いまの事業にたどり着いたお話を聞き、まずは目の前のことに全力で取り組んでみようと思えました。私自身の学生生活の使い方も、あらためて見つめ直したいです。