インタビュー

川越の「フィットネス空白地帯」に、身ひとつで挑んだ5年間

川越の「フィットネス空白地帯」に、身ひとつで挑んだ5年間
PROFILE
株式会社リバレイズ 代表
田中光

理学療法士から、パーソナルトレーナーへ

趣味のトレーニングが仕事になった

もともとは病院に勤務する理学療法士でした。当時は趣味としてトレーニングをおこなっていて、その延長で大会に出場したんです。そうした折、パーソナルジムを経営しているオーナー様からお声をかけていただいたことが、トレーナーとしてのキャリアの始まりです。医療従事者として働きながらトレーニングを続けていたので、体の構造や動きについての知識は、その頃から自然と身についていたように思います。

その後、大手パーソナルジムの「BEYOND」で経験を積み、独立して今のRays GyMを開業しました。

川越で、ジムを開業した理由

フィットネスがまだ浸透していない街だった

「Rays GyM」を開業したのは約5年前のことです。当時の川越はまだフィットネスが浸透していない印象があり、「地域に密着して、正しいフィットネスを届けたい」という強い想いがありました。まずは自分たちの手で、この街を盛り上げていこうと決意したのです。

顧客の信頼を先に築く、逆算のスタートアップ

店舗完成前の3か月間で実践した、確実な集客戦略

社長業を始めてから一番頭を使ったのは、最初の集客ですね。パーソナルジムは決して安いサービスではありません。だからこそ、知り合いの紹介だけに頼るのではなく、ビジネスとして長く続く「確かな土台」を最初から作らなければいけないと考えていました。

勝負をかけたのは、店舗が完成する前の「3か月間」です。テナントが決まってから海外の機材が届くまでにそれくらい時間がかかるのですが、ただ待っているだけでは絶対に遅いと分かっていました。

そこで、まだ店舗がない段階からチラシを配り始めたんです。大手が真似できないような成果を約束する強気なプランを打ち出しました。リスクはありましたが、それくらい思い切ったことをしないと、まだ形もないジムにお客さまは来てくれないと確信していたからです。

さらに、店舗がない間はレンタルジムを借りて、先にお客さまのセッションをスタートさせました。その結果、オープン前にもかかわらず5〜6名の方がついてくださり、店舗ができたタイミングでそのほとんどの方が本契約に進んでくださいました。

おかげで、グランドオープンの当日には、すでに家賃や運営コストをすべてカバーできる状態になっていたんです。この先手のアクションによる土台があったからこそ、オープン初月から焦ることなく、お客さまと冷静に向き合いながら健全な経営をスタートさせることができました。

2店舗目、そして3店舗目へ

富士見野への出店を予定している

ありがたいことに、今では「川越 パーソナル」と検索していただければ、ある程度見つけていただけるくらいにはなりました。問い合わせも安定してきています。現在は川越で2店舗を運営していて、次は近隣の富士見野への出店を予定しています。

新店舗は、弊社の従業員のうち1人に任せる予定です。新店舗の現場を引っ張っていってもらう形になります。

採用における、人材確保の課題

SNSだけの求人には限界を感じている

お客さまが増えるのはありがたいことですが、それに伴って必要になるのが人材です。これまで求人は個人のSNSでおこなうことがほとんどで、正直なところ、SNS経由で来てくれる方とは長く続かないケースが多いという実感があります。実際に今在籍している社員2名は、紹介とスカウトで入ってくれた方です。

店舗の規模が大きくなるにつれて、やはり「人材の確保と育成」という部分には常に真剣に向き合っています。特にここ川越のような地方都市において、優秀なトレーナーと出会い、長く一緒に働いてもらうための環境づくりは、経営者としての尽きないテーマですね。

だからこそ今後は、これまでの枠にとらわれない柔軟な組織づくりを進めていきたいと考えています。具体的には、正社員という雇用形態だけでなく、業務委託という形での採用も選択肢に入れています。

学生に伝えたいこと

「与える」精神を持った人と働きたい

トレーニングが好きで、自分自身がちゃんと取り組んでいることは大事だと思います。それに加えて、人に何かを与えることを喜びと感じられるマインドを持った人と一緒に働きたいですね。

知識や資格をたくさん持っていることも、もちろん素晴らしいことです。しかし、それ以上に大切なのは、テイクばかりではなく、ちゃんとギブする精神を持って世の中と向き合えるかどうか。お客さまと長くよい関係を築けているトレーナーを見ていても、結局は知識の量よりも人柄が大きいと感じています。小手先のスキルよりも、人としての根本的な部分を大切にしたいと思っています。

編集後記

理学療法士として病院に勤めながらトレーニングを続け、そこから大会出場、独立、そして2店舗経営へとつながっていく田中さんのお話は、ひとつの選択が次の道をひらいていく過程そのものだと感じました。特に、店舗オープン前の3か月間を「待つ時間」にしなかったという姿勢には、学生としても学ぶところが多いです。人柄を大切にするという採用の考え方も、フィットネス業界に興味がある方にはぜひ知ってほしい視点だと思いました。