大学生と経営者、2つの顔を持った学生時代
特別なきっかけはないですね。18歳の頃、大学に通いながら、並行してフィットネスアパレルとスポーツイベントの事業をしてました。また、個人的にカンボジアに約半年間住んで孤児院の子供達へ衣服や教育の支援をしたり、当時、本田圭佑さんが実質オーナーをされていたカンボジアのプロサッカーチームとご一緒して現地でサッカースクールをさせていただいたりもしました。
年商の壁を突破できなかった
4年間ほど経営をしていたんですけど、当時目標にしていた数字を突破できなくて。原因は、単純に自分の経験と営業力不足だなと感じたんです。大学3年生で就職活動しているときに「入社後3年で独立します」と宣言して、株式会社大塚商会に新卒入社しました。宣言通り3年で独立したというのが、創業までの流れです。
「石の上にも三年」で選んだ修行の場
大塚商会は法人専門の営業なので、法人営業のいろはを学べる環境でした。3年あれば何か学べるだろうという、割と漠然とした理由で3年という期間を設定しました。今、弊社のお客様はエンタープライズのお客様をはじめ法人様との取引が100%なので、あのときの経験はしっかり生かされていると感じます。
ダイレクト取引にこだわる理由
弊社は大阪に本社を置き、熊本にも支社を構えています。企業様を中心に、自治体や大学などのクリエイティブ支援にも携わっています。
その中で、創業当初から一貫して大切にしているのが、業種や規模を問わず、お客様とダイレクトに取引をすることです。
間に何社も入るような体制では、どうしても伝言ゲームのようになってしまい、お客様が本当に抱えている課題や、プロジェクトに対する思い、温度感などが伝わりにくくなります。
だからこそ私たちは、単に「映像をつくる会社」として入るのではなく、課題のヒアリングや戦略設計といった上流の部分からご一緒することを大切にしています。
戦略だけを描いて終わらない。制作だけを請け負って終わらない。
目指しているのは、映像制作会社でも、広告代理店でも、総合コンサルティングファームでもない。その3つの境界線上にあるポジションです。
映像領域に特化したメディアコンサルティングファームへ
弊社が目指しているのは、単に映像制作会社として大きくなることではなくて、映像領域に特化したメディアコンサルティングファームです。お客様にとっての外注先ではなく、経営者や広報部署、採用部署のすぐ隣にいる「外付けのクリエイティブチーム」として、戦略立案から実装まで担える存在になっていきたいなと思っています。
AI時代でも、実写のクリエイティブにこだわり続けるワケ
確かに最近AI動画と価格を含めて比較されることは増えましたね。
もちろん、AI動画には大きな可能性がありますし、弊社でも提案時などで活用しています。ただ、AIを使えば自動的に良い映像になるわけではありません。企画やターゲティング、構成、画角、演出といった映像制作の基本的な戦略設計があってこそ、AIも初めて効果的に活用できるものだと考えています。
一方で、AIを使うことでお客様自身が内製化できる領域も、これからさらに増えていくと思っています。そうした領域については、すべてを私たちが制作するのではなく、eラーニングなどを通じてインハウス化をご提案しています。
そのうえで、私たちが今後も大切にしたいのは実写のクリエイティブなんです。
実際に見た極端な例ですが、採用シーンにおいてAIで生成した人物の「社員インタビュー」動画を学生や求職者の方々へ見せることが、本当に採用活動の本質なのか、ということですよね。
そこで求められているのは、映像としての完成度だけではなく、「実際にどんな人が働いているのか」「どんな空気の会社なのか」を伝えることだと思っていますし、ターゲットはその情報を欲しています。
また、これは採用に限った話ではなく、企業やサービスの信頼・信用をつくるという観点でも、実写映像には大きな役割があると考えています。
AIで情報が簡単につくれる時代になればなるほど、そうした一次情報の価値は確実に高まっていくと考えています。
学生へのメッセージ「選んだ道を正解にする力」
私も現在29歳なので、成功した経営者として語れる立場ではないんですが、私自身、創業した当初からやりたいことやビジョンが明確に見えていたわけではなかったんです。学生のうちに将来の目標を明確に決める必要はないと思っていて、小さなことから「選んだ道を正解にしていく力」をつけることの方が、学生時代には大事なんじゃないかなと思います。まずはやってみる・動いてみる。過ぎたことは変えられない。失敗って言葉自体、あまり使わなくていいんです。私自身も現在進行形で自分がしたこと、選んだ道を正解にするために、動き続けています。
編集後記
今回、株式会社レクストの近清将希さんにお話をうかがいました。学生時代から複数の事業を経験し、有言実行で3年後に独立を果たされたキャリアには、素直に圧倒されました。とくに印象的だったのは、代理店を挟まないダイレクト取引へのこだわりと、AI時代においても実写にこだわり続けるという姿勢です。「選んだ道を正解にしていく力」という言葉は、私自身の学生生活にも重ねて考えさせられるものでした。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。